手作りの茶室で
昨日訪れたのは、陶芸家が自ら手作りしたという山の中の茶室。
入り口に掲げられた「坐忘」の文字は、北海道の書家・平田鳥閑先生による。
「坐忘」とは、 静座して雑念を去り、われを忘れる、の意味だとのこと。
門を入り、石が敷かれた、苔むす道を奥へと進む。
コンクリートを流し込んだという池には、ハスが咲いていた。
手を洗い、(感染予防のため口をすすぐのは、やめ)
にじり口から入ると、床には、同じく鳥閑先生のお軸と半夏生の花。
知人が檀家になっているお寺の若さんのお濃茶をいただく。
お濃茶も回し飲みはせずに、1人ずつ茶碗を変えて。
窓も入り口も開け放して、換気は十分。
庵主が陶芸家とあって、お茶碗は様々な作品を楽しむ。
菓子器もダイナミックな作品。
当初予定の茶会は取りやめて、少人数でお茶をいただいた。
それにしても、苔を張り巡らせ、敷石を置き、池をつくり、
茶室まで作ってしまうとは!
庵主の陶芸家は、武蔵野美大卒業後に東京で中学の美術教師をしたのち、
実家のある旭川に戻り、かつては一世を風靡した人気ブティックを経営していた。
その後、何度聞いても面白い(失礼!)波乱の人生を歩んだが、
「79歳の今がいちばん幸せ」と笑う。
彼の人生を、まちの歩みと並行させて書いてみたら、面白いだろうと思う。