嵐山光三郎の幅広さ
嵐山光三郎は好きな作家で、今も2冊を読んでいる。
1冊は、芭蕉についての考察。
芭蕉についての深い知識と俳句の解説も素晴らしい。
そして、文体が優しく、とてもわかりやすい。
芭蕉について、このように解説してくれる人はそういない。
じっくりと時間をかけて読んでいる。
そしてもう1冊は、お笑いともいえるエンターティンメントのエッセイ。
53人の「人妻」を各4ページずつ紹介している。
坪内逍遥や夏目漱石の妻、岡本かの子、伊藤野枝、幸田文、相馬黒光など
個性あふれる「人妻」を軽妙洒脱に解説。
それぞれの「人妻」につけたタイトルもおもしろい。
「さすらいの人妻」「人妻女王伝説の怪」「夫に自殺された妻」「流浪する淫乱妻」
「もてあそばれる人妻」「浪費妻の行く末」「譲渡された人妻」などなど。
最後は「情事の果ての人妻」として森瑤子で締め。
嵐山光三郎の知識と好奇心の幅広さには驚く。まぎれもない才人だ。