「理解しがたい現状」馳知事がぶち上げた被災家屋の「自費解体」
2024.08.28 Smart FLASH
8月26日、石川県の馳浩知事は 記者会見で、これまで 約2万2000棟としていた被災家屋の
解体数を、実際の被災棟数や解体申請棟数の推移などから 1万棟余り増加して 3万2410棟になる
と発表した。
「 知事は 併せて『解体見込棟数は増えたが、解体完了は 引き続き来年10月を目標とし、今年の
12月末までに 1万2000棟の解体完了を設定した』と述べましたが、8月19日時点の解体完了数は
申請数の10%に過ぎない 2722棟。 計画通りに完了する と思っている県民は 皆無ではないで
しょうか 」(社会部記者)
遅々として解体が進まない背景には「 解体業者不足 」がある。自治体は 解体業者を選定するため、
煩雑な書類手続きなどが必要になるのだという。そのため、業者も 敬遠することが多いとみられて
いる。 そこで 馳知事は同日の会見で、公費解体と自費解体を両輪で進める方針をぶち上げた。
「 これまでも 自費解体をする被災者はいましたが、解体数全体のおよそ15%でした。『自費』
という言葉から『自己負担』と思い込んでいる方も多いようですが、実態は少し違います。
自費解体は、被災者が 自分で解体業者を見つけ、解体費用を立て替えます。そして 後日、
市町から払い戻しを受けるのですが、公費が受けられる解体部位は 意外に複雑なんです。
例えば、リフォームを前提にした一部解体や地下室、ブロック塀、庭石などは 公費撤去の対象外
です。そのため、業者から取った詳細な見積書を、事前に 自治体の窓口に見せて相談することが
必須になってきます。そうしないと、被災者が予期しなかった 自己負担が生じてしまう可能性が
あるからです」(同前)。
しかし 仕事を失った被災者も多く、生活に余裕はない。
「 立て替えた解体費用は、いつ払い戻しをしてくれるのか 」という被災者の不安の声が聞こえる。
「 払い戻しは、申請を受け付けた日から 概ね2カ月以内とされています。しかし 自治体だけでは
解体内容の判断ができず、コンサルタントが入るケースもあるようですから、遅れることがある
かもしれません 」(週刊誌記者)
馳知事は会見で「 自費解体という言葉面で、何で自分の金で解体するのかと、こういう印象を
持たれがちであります。私は しょっちゅうお叱りをいただいているんですが、あとでちゃんと
公費解体と同じように払いますよ、あとで 」と、市井の人々の勘違いについて語気を強めている。
しかし、単なる勘違いでは済まないのが この「自費解体」だ。被災者は、一時的に 自分の財布から
大きな額が失われることになるからだ。こうした施策に関して、Xでは 怒りの声が多く投稿されて
いた。
《 公費解体と同じ金額で、自費解体は 受けてくれないよ。 割高でも 全額払ってくれるん
だろうね?》
《 原因は 人手不足だと聞いてたけど、お金の出どころを変更しても意味ないのでは? 》
《 どうして 他県から応援を頼まないのか どうにも 理解し難い現状です 》
被災者の負担がどんどん増えていく 馳県政。 被災地に希望が見える日は来るのか――。