中国共産党の3中総会

 米欧とは異なる「中国式現代化」推進に向け目標を設定し閉幕

            2024/07/19      読売新聞 

 【北京=川瀬大介、山下福太郎】北京で開かれていた中国共産党の重要会議・第20期中央委員会

  第3回総会(3中総会)は18日、米欧とは異なる発展モデル「中国式現代化」の推進に向けた

  改革任務を建国80年の2029年までに完成させるとの目標を設定し、閉幕した。

   27年に3期目の任期満了を迎える 習近平 総書記(国家主席)が、4期目続投に向け布石を

  打った形だ。

 

    国営新華社通信が閉幕後に伝えた声明によると、3中総会は、一党支配を前提にした

    「中国式現代化」に向け 改革を深化させる決定を採択した。決定の全文は公表されておらず、

     改革の具体的な内容は不明だが、声明は 従来路線を踏襲する内容が目立つ。

    「国家の安全」を「中国式現代化の重要な基礎」と明記し、スパイ摘発などの統制がさらに強まり

    そうだ。

 

     経済分野では「イノベーション(技術革新)主導型」の発展戦略を打ち出した。財政・税制改革

    や金融システム改革を深化させる一方、不動産や地方政府の債務、中小金融機関を挙げ、リスクの

    予防や解決を図る と表明した。不動産市況の悪化で企業向け融資や住宅ローンが焦げ付くなどの

    問題が背景にある。

    また、中国軍内の汚職に絡み摘発された前国防相の 李尚福氏と ロケット軍前司令官の李玉超氏

    への党籍 剥奪処分を追認した。昨夏に外相を更迭された 秦剛氏は 辞職願が受理され、中央委員の

    職務が解かれた。

 

 

海外投資家、なぜ中国共産党「3中総会」を注視するのか-Bloomberg      

                                                2024年7月8日

    中国共産党が 定期的に開催する無数の会議の中でも、世界2位の経済大国に潜在的な影響を

与えるという点で 中央委員会第3回総会(3中総会)は際立っている。

 通常5年に1度開催される3中総会は、主要な経済・政治政策の変更を扱う。1978年の3中総会

では、主導権を握った鄧小平氏が ソ連をモデルとしていた計画経済に市場原理を持ち込み、

「改革開放」路線を敷いたことで有名だ。

 習近平総書記(国家主席)は 15日、異例の開催延期が続いていた第20期中央委員会の3中総会を

招集する。投資家は 失速しつつある中国の経済成長エンジンを再起動させる取組みを注視している。

 

1. 3中総会とは

 3中総会とは 共産党中央委員会の全体会議だ。党の最も重要な政策と人事を公式に発表するが、

実際には、習総書記を筆頭とする党最高幹部から成る より小さなグループによる決定を追認する

だけだ。

  中央委員会は 通常、5年間の任期中に総会を7回開催する。そのうち 3回目の総会は、新指導部

が 経済・政治問題に対する広範な考え方を 正確に紹介する最初の機会となるため特に重要だ。

  例えば、習氏が 総書記に就任した翌年の2013年の3中総会では「一人っ子政策」のさらなる緩和

や戸籍制度の変更、国家安全の重視などが打ち出された。

 

2. どこで開催され、誰が出席するのか

 ほとんどの重要な党・政府の会議と同様、3中総会は 通常、北京の京西賓館で行われる。この地味

で 灰色の複合施設は、中央軍事委員会が直接管理している。

3中総会の出席者には、中央委員 約200人や中央候補委員170人、党の反腐敗機関幹部らが含まれる。

学識経験者や他の党員も招待される可能性がある。

 中央委員は 党内だけでなく、省や市、中央政府、軍、国有企業などで要職に就いている。今回は

205人中44人が軍からとなる。

 

3. 何が行われるのか

 今年は 18日まで4日間にわたり、習総書記率いる中央政治局が主催する非公開の会議で政策が

話し合われる。3中総会の結果は 通常、国営メディアを通じコミュニケで発表され、詳細は 後日

明らかにされる。

 

4. これまでの3中総会は

 中国を大混乱に陥れた「文化大革命」を経て 1978年に開催された3中総会では、中国を経済発展

の軌道に乗せ、民間経済の成長を可能する改革開放政策が決まった。

その15年後の3中総会では、「社会主義市場経済」を構築する計画を具体化し、非効率な国有企業

近代化と刷新、社会保障制度の確立、政府による 経済への直接介入縮小といった政策がまとめられた。

 習体制となった2013年は、地方政府の債務や生産年齢人口の減少など 経済が逆風に直面する中で、

一人っ子政策の追加緩和や国有企業への民間投資の奨励など、野心的な改革の骨格が示された。

 前回2018年の3中総会では、党や政府、軍、その他の公的機関の再編に加え、中央・地方政府の

権限バランスを図るとされ、政府の主要人事案も内定した。