真備豪雨訴訟 県、市への訴え撤回 原告団、国のみ相手に継続

             2024年06月30日   山陽新聞デジタル

  2018年7月の西日本豪雨で小田川と支流が決壊し、甚大な浸水被害を受けたのは河川の

 管理不足などが原因として、倉敷市真備町地区の住民らでつくる「り災者の会」の227人と

 1企業が国と岡山県、倉敷市に対して 約6億3千万円の損害賠償を求めている訴訟で、

 原告団は29日、県と市に対する訴えの取り下げを決めた。争点を小田川の治水対策に絞り、

 管理者の国のみを相手取って訴訟を継続する。

  同日、地区内で開いた原告集会で協議した。賠償請求額に変更はない。原告団によると、

   支流の決壊などは 国による小田川の管理不足が原因で引き起こされており、県と市も被害者の

 側面があるとした。争点を整理することで訴訟の早期解決も見込めるという。

  訴状では、国に対して 小田川の治水工事を先延ばしにした不作為の責任がある上、河川内の

 樹木伐採を怠って 流下能力の低下を招いたなどと主張。 県や市に対しては、堤防の切れ目を板で

 ふさいで流水を防ぐ「陸閘(りっこう)」を封鎖しなかった ▽避難情報を適切に発令しなかった

 ―などと指摘していた。

  原告代表の吉田勤さん(78)は「 市には陸閘の管理と避難情報の発令について 訴訟外で

   再発防止を要望する 」とした上で「 国が適正に小田川を管理していればあれほどの被害は

   なかった。補償を得られるよう一対一で話し合っていきたい 」と話した。

    西日本豪雨を巡っては 国と県、市、中国電力に対して提訴した被災者49人のグループ

  「 真備水害訴訟原告団 」の訴訟も岡山地裁で係争中。