「空き家率」世界一の日本はヤバい…新築住宅優遇策のツケ

                      2024年05月27日 

 

 

三重県の空き家 過去最多

…住宅6戸に1戸は「誰も住んでいない」 県はリフォーム補助増額

                    2024.6.5           (読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

 

   三重県内の空き家の戸数が昨年、14万3000戸と過去最多になったことが総務省の集計でわかった。住宅 6戸に1戸は誰も住んでいない計算になる。老朽化した空き家は 倒壊リスクが高く、災害時の

住民避難や消火活動に影響を及ぼしかねない。県は 4月から空き家のリフォームに対する補助金を

増額し、市町も再利用や取り壊しを呼びかけている。

 

   深緑の山々に囲まれた集落の一角に、1軒の木造住宅が立っていた。陽気のなか、青やオレンジ色

のチョウが飛び回り、ウグイスのさえずりが響く。 

5月下旬、津市美杉町(旧美杉村)にあるこの家に、所有者の男性医師(70)が訪れた。6年前に

母親が亡くなってから 空き家となっているが、「 祖父が昭和初期に建て、幼少期を過ごした家。

柱の傷一つ一つに思い出がある 」と語った。

 月に 2回ほど、自宅のある市中心部から片道1時間以上かけて掃除に来る。心臓を患い、

「 二つの家を 守もるのが難しくなった 」として、今年1月、空き家の売買や賃貸を仲介する津市の

「空き家バンク」に登録。これまでに 数件の問い合わせがあった。「 手放すのは心苦しいが、

田舎の風景を楽しめる人に継いでほしい 」と話す。

 市は 2017年度から空き家バンクを始め、毎年30件前後の成約がある。男性の生家の周辺には、

複数の空き家がある。「 移住する人が増え、美杉を活気づけてくれたら 」と願っている。

 

30年で 2・4倍

   総務省や県の統計によると、23年の県内の住宅総数は 87万戸、空き家は 16・4%の14万3000戸

に上る。30年前の約5万9800戸から 約2・4倍になった。 高齢化が進み、住人が死亡したり、

福祉施設に入居したりしているのが要因とみられる。

 高齢化が顕著な県南部では、特に 多い傾向にある。県の18年の集計では、四日市、桑名市など

北勢地域の空き家率は 約11%だったが、尾鷲、熊野市などの東紀州地域は 約28%と 2倍以上の開き

があった。  

    空き家の増加が問題視されているのは、南海トラフ地震などの大規模災害が発生した際に、被害を

拡大させる恐れがあるためだ。 一見勝之知事は 5月の定例記者会見で「 能登半島地震では、家屋の

倒壊で亡くなった方もいた 」と述べた。能登地震では、崩れた家屋が 道路をふさぎ、緊急車両の通行

を妨げたとの指摘もある。 

  県住宅政策課の担当者は「 空き家は火災の原因となり、動物が住みつくなど衛生上の問題もある 」

として、対策を急ぐ。 だが、持ち主と連絡がスムーズに取れなかったり、所有者が不明だったりする

ケースもあり、問題を複雑にする。

 

   伊勢市内の男性(26)は、隣の家が 20年以上前から空き家になり、生い茂った草が 道路に

はみ出して 車と接触したり、虫の発生源になったりして困っているという。「 持ち主は県外にいる。

勝手に除草できないし、近くの野焼きが燃え移らないか心配だ 」とつぶやいた。

 

最大50万円補助

   県は、所有者が 空き家を取り壊す場合、市町を通じて 上限12万5000円の補助金を支給している。

所有者が不明で 市町が取り壊す際は、25万円を県が負担している。

 今年4月からは、空き家への移住者を対象にした補助金の上限額を引き上げた。従来は、居住目的で

リフォームする場合に 上限25万円を補助していたが、県外からの移住者や、店舗への改修は

上限50万円とした。

   人口減少に歯止めをかけるのと同時に、地域の商店などを増やして利便性の向上につなげたい考え

がある。県の担当者は「 補助金制度の周知を進め、空き家が減少するよう努めたい 」と話している。

 

全国も最悪、共通の課題 国交省が相談呼びかけ

 空き家の増加は 全国共通の課題だ。総務省の統計によると、2023年の全国の空き家は 約900万戸

で、空き家率は 13.8%と、いずれも過去最悪だった。 

   都道府県別でみると、空き家率が最も高いのは 和歌山、徳島県( いずれも 21.2% )。

三重県(16.4%)は 全国18位だった。 

 

 国土交通省は 空き家対策の特設サイトなどを作成し、空き家を放置するリスクなどを紹介している。

管理が不十分だと、固定資産税などの軽減措置が受けられなくなることもあるという。「 早めに

市区町村の窓口、または不動産・相続などの専門家へ相談を 」と呼びかけている。

 

<取材後記>自然と共生、移住期待

 取材などで 県南部を訪ねるたび、一目で分かるような空き家の多さに 驚かされる。観光客らで

にぎわう伊勢志摩地域でも、放置された店舗や家屋は目立つ。 

 東京出身で趣味が釣りの記者にとっては、自然が豊かな三重は私生活も充実した暮らしを送れた。

ただ、県が呼びかける 移住を決断するにはハードルが高い。  

県外移住者の空き家リフォーム支援額を 県が引き上げたことは評価できる。ほかにも 移住促進施策を

充実させている。  喧騒を離れ、自然と共生しながら伸び伸び暮らしたい人が注目してくれたら

うれしい。再利用可能な土地や建物はあるのだから。

 

 

 

 

 

 

三重県|住まい:空き家の現状        令和03年09月01日

 

三重県の空き家状況

 

 平成30年に 総務省が実施した住宅・土地統計調査による三重県の状況は 以下の通りです。

  ・ 三重県内の住宅は 約85.4万戸であり、そのうち 約13万戸が空き家となっています。
  ・ 空き家の住戸数は、S63年(1988) から右肩上がりで増えています。
   また、H30年(2018)の三重県空き家の住戸数は、S63年の 約2.4倍に増加しています。
  ・ 三重県の住宅総数に占める空家率は 15.2%で、全国の空き家率 13.6%と比べて高い水準

     となっています。
  ・ 空き家の中でも「適正に管理されず 放置されている可能性のある住宅」が 約7.8万戸にのぼり、
   空き家全体の約6割を占めています。また、そのうちの8割が木造一戸建て住宅となっています。
  ・ 県内の地域別の空き家率は、北勢地域 約11%、中南勢地域 約16%、伊賀地域 約16%、

     伊勢志摩地域 約19%、東紀州地域 約28%と県南部ほど高くなっています。

 


【三重県空き家数、空き家率の推移】


 

          【三重県空き家の構成別内訳】        【管理されず放置されている住宅 建て方別内訳】


 

【地域別の空き家率】


※地域別の空き家率は、H30住宅・土地統計調査において掲載のある市町のみの集計結果です。