イスラエル企業が一堂に会する生命科学の祭典、Biomedとは

       2024.05.27   Forbes JAPAN 公式サイト

 昨年10月から続く イスラム組織ハマスとの戦争の中でも、イスラエルの起業家たちの

イノベーションに向けた意欲は衰えていない。その一例に挙げられるのが、5月21日から

テルアビブで開催された Biomed Israel Conference(バイオメッド・イスラエル・カンファレンス)だ。

 

 今回で 22回目を迎えた 年次カンファレンスの主催者は、「 不確実な時代の中で協力し合い、

まだ満たされていない ニーズを解決しようという 私たちの決意は、希望の光となり最大の強み

になるのです 」と述べている。

 このカンファレンスは、世界のライフサイエンス業界から 数千人が参加するもので、さまざまな

分野の治療法や医療機器、デジタル・ヘルス・ソリューションの幅広いトピックに焦点を当てている。

 

 バイオメッドでは、新興企業から大手企業まで、100社を超えるイスラエルの ライフサイエンス 企業が

革新的な プロダクトやテクノロジーを展示する。

 

 毎年5月に開催されるバイオメッドは、ヘルスケア分野の企業の幹部や投資家が革新的な製品や

技術と出会い、次に 何が来るのかを学ぶ場となっている。今年のイベントでは、人工知能(AI)と

その バイオテクノロジーへの影響に対する世界的な関心が高まっていることから、イスラエルのAI

の熟練度が ヘルスケアの未来にとって何を意味するのかについて注目が集まった。

 さらに、膨大なデータを分析するための効率的 かつ 独創的なアルゴリズムの開発は、

サイバーセキュリティ分野におけるイスラエル企業の強みであり、こうしたスキルや専門知識が

ヘルスケアに何をもたらすかについても議論された。

 

 今年のカンファレンスの目玉の一つとなったのが、がん治療にAIを用いた精密医療スタートアップ、

OncoHostのCEOであるオファ・シャロン(Ofer Sharon)医学博士と、イスラエルの ヘルステック 関連の

投資会社 aMoonのゼネラルパートナーの ヤロン・ダニエリィ(Yaron Daniely)がモデレーターを

務めたセッションだ。このセッションでは、機械学習 と AIに焦点を当て、これらのテクノロジーが、

新たな治療法の開発と、患者への対応にどのように役立つかを議論した。

 

世界のライフサイエンス産業に革新を

 OncoHostのシャロンCEOは、イベントに先立ち、「 今回のカンファレンスのセッションでは、

新たなアイデアを持ち、その検証を進めている アーリーステージの企業と、すでに プロダクトの

商品化に取り組んでいる成熟したスタートアップが 一堂に会することになる 」と説明した。

    彼は、このディスカッションが、企業が どのようにビジネス構築するか、そして 彼らが

「 最初から収益を上げるための道筋 」を探る方法を解き明かすものになることを望んでいると語った。

 

   OncoHostは、自社で開発した 非小細胞肺がん(NSCLC)検査の完全商業化に向けた取り組みを

行っている。この検査は、機械学習と血漿プロテオミクス・パターン解析と呼ばれるメソッドを

用いて、特定の患者の臨床的利益を予測することにより、免疫療法の決定を導くものという。

   OncoHostは、個別化された治療指針によって患者の生存率を大幅に改善しており、同社の

プロダクトは 米国の100を超える医療施設で販売されている。

  シャロンは また、がん治療に対する従来のアプローチにもう一つの大きな変化を予測している。

「 この分野で 次に大きく飛躍するのは、再発の早期発見だと思います 」とシャロンは言う。

「 重要なのは、なぜ腫瘍が再発したのか、その背景にある生物学的メカニズムは何なのか、そして

次の介入は何であるべきなのかを理解することなのです 」

    バイオメッド2024の主催者は、次のように述べていた。

「 このカンファレンスは、世界のライフサイエンス産業が関心を寄せる現在のトレンドと一致する

様々な分野で、イスラエルが提供できる最高のものに焦点を当てるものなのです 」