99%評価不能なのに「安全」? 日本のワクチン評価制度の課題

                  2024/5/8    毎日新聞

 2021年2月から始まった公費によるワクチン接種は 24年3月で終了した。総接種回数

(4月1日時点)は 約4億3620万回に上り、国による大規模な予防接種事業は 一旦区切りを迎えた。

 

    ただ、ワクチンの安全性に対する評価制度には課題もある。厚生労働省は 現行制度のままで

十分なのか検討を進めている。

 

 厚労省が有識者で作る「副反応検討部会(以下、検討部会)」では、ワクチン接種の安全性を

評価するため、重篤な副反応が疑われる事例などを報告するよう医師に求めている。

仮に 重篤な被害の報告が相次げば、個別の因果関係や頻度などを総合的に判断した上で、安全性評価

の観点から注意喚起したり、接種体制の見直しを求めたりする。

 

 医師から報告された事例は、独立行政法人・医薬品医療機器総合機構で 専門家が 因果関係などを

審査し、因果関係が否定できなければ「α」、認められないと「β」、評価不能なら「γ」の三つに

分類する。その結果を検討部会で検証し、認定する。

 

 これまで 接種後に死亡し、副反応が疑われる事例として 報告が上がってきたのは 2195件

(4月15日時点)。このうち、αと認定されたのは…

 

ワクチンと副反応の因果、99%「評価不能」 国が見直しも検討

                                              (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

    厚生労働省は、新型コロナウイルスワクチンを含む ワクチンの副反応が疑われる症例とワクチン

との因果関係を評価・分類する基準について、専門家による調査研究班を立ち上げ、見直しを含めた

検討を進めている。現在は、「評価不能(γ)」などと三つに分類しているが、WHOの関連組織が

作成している基準よりも 大ぐくりなため、専門家や厚労省内から「分かりにくい」との声が上がって

いた。

    調査研究班の代表は 小児科医の加藤元博・東京大教授。調査研究は 23年度から 2025年度まで

予定されている。具体的な研究内容は、ワクチンの副反応と症例の調査手法や分類、表現ぶりなど

としているが、詳細は明かされていない。

 

  現在、ワクチンの接種後に起きた死亡事例や症例について、国は 予防接種法に基づいて、医師や

医療機関に副反応疑い報告を求めている。報告を受けた独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」

(PMDA)で、医師や専門家2人が因果関係を評価する。 

 ワクチンとの因果関係が否定できなければ「α」、認められなければ「β」、情報不足などによって

評価できなければ評価不能の「γ」の三つに分類している。

   WHOの関連組織が示している基準は、

確実に認められるおそらく認められる認められる可能性がある考えにくい条件付き・未分類

評価・分類不能 ―― の6段階に分けている。

 ワクチン接種後の死亡事例として報告された 2195件(4月15日時点)のうち 99・4%が「γ」で、

別の評価基準に見直すよう求める声が上がっていた。  厚労省は 調査研究班の結果を踏まえ、基準の

変更や運用の見直しについて検討する方針だ。【金秀蓮】