効率と福利
(誰⼀⼈ 取り残されない、⼈に優しいデジタル化)
「持続可能な開発」という標語と同じく、
本来互いに相矛盾するものを、”両手に花”の欲張り。
合掌
2024-04-18 あたらしい経済
中間整理を報告
日本銀行が「CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する関係府省庁・日本銀行連絡会議 中間整理」
を 4月17日公表した。
政府・日銀は 1月26日、CBDCに関する連絡会議の初会合を財務省内で開き、関係府省庁が CBDC
を導入した場合に生じる課題を洗い出し、今春を目途に その時点での議論を整理することで 一致
していた。 今回の発表は、その中間整理報告となる。
5つの論点で構成
まず 中間整理では、経済・社会の急速なデジタル化に伴い、キャッシュレス決済のサービス利用
が拡大している背景が挙げられ、諸外国では CBDCについて 明確な発行判断が行われていないが、CBDCの検討が本格化し、調査研究・検討が進められている と現状が伝えられた。
また 日銀は、日本が検討する CBDCは「 アプリ や カードを⽤いた決済が想定されている
デジタル通貨 」だとし、「 現⾦同様、日常取引に 信用リスクなく 安全に利用できる決済手段 」
だとした。
今回 発表された中間整理報告では、「 制度設計の⼤枠の整理に向けた考え⽅ 」として、
「 ⽇本銀⾏と仲介機関の役割分担 」、「 CBDCと他の決済⼿段の役割分担 」、「 セキュリティ
の確保と利⽤者情報の取扱い 」、「 法令⾯の対応 」、「 その他 」 の5つの論点から意見が
まとめられている。
⽇銀と仲介機関の役割分担
「 ⽇本銀⾏と仲介機関の役割分担 」では、現金同様に 仲介機関が 日銀と利用者の間に立ち、
CBDCの仲介を行う「二重構造」が適当とされている。また 日銀の一元的発行に伴い、CBDCの記録
・確認を正確に行う台帳等の仕組み管理がふさわしいとされた。
また 日銀の役割として、「 ⺠間決済サービスの⾼度化を図るといった『触媒』としての役割も
求められうる 」と述べられている。
また 仲介機関の範囲については、「 現在決済サービスを提供している銀⾏をはじめとする
預貯⾦取扱⾦融機関やその他の事業者が該当する 」となっているが、「 求められる業務内容を
整理していく中で検討 」するとのこと。
CBDCと他の決済⼿段の役割分担
「 CBDCと他の決済⼿段の役割分担 」では、各種の決済手段と共存し、「 利⽤者の選択肢の確保や
利便性の向上、決済システム全体としての安定性・効率性の確保を図ることが重要 」とされている。
また、政府・日銀は、仮に CBDCが導入されても 現⾦に対する需要がある限り供給を継続する
との姿勢を示し、「 CBDCは、現⾦と相互に補完するものと考えることが基本 」だとした。
なお、オフライン機能は「 ⼆重使⽤や偽造のリスクもあるため、当初から導⼊する必要性は低い 」
とし、匿名性については「 ⾼額・⾼頻度での取引が容易になる可能性も踏まえ、検討 」となっている。
セキュリティの確保と利⽤者情報の取扱い
「 セキュリティの確保と利⽤者情報の取扱い 」では、CBDCは 決済手段として常時機能する必要
があるため、「 万全のサイバーセキュリティ対策・情報セキュリティ対策を講じる必要 」があると
日銀は指摘。 事前の対応は もちろん、事後の対応にも 万全を期す構えを見せた。
プライバシー確保を前提とした上で、仲介機関は 関係法令を遵守し適切な情報の取り扱いを行い、
日銀は 取り扱い情報を最小限にとどめ、政府は「 AML/CFTをはじめ 公共政策上の⽬的に基づき、
必要に応じて 情報提供を受けることが基本 」とした。
なお 本人確認等の理由から 利用者範囲は「 当面国内居住者 」としつつ、非居住者については
今後の検討課題となっている。
法令⾯の対応
「 法令⾯の対応 」では、「 将来の技術⾰新に柔軟に対応できる制度設計とし、法制度が 特定の
技術を前提としないようにしていくことが重要 」とされた。
また、「法定通貨法」「民事法」「刑事法」上の整理について それぞれ検討内容がまとめられて
いる。
国際間決済、行政上の課題にも触れる
そして 「 その他 」の項目では、コスト負担 や クロスボーダー決済、行政上の課題に焦点が
あてられた。
具体的には、CBDC間の相互運⽤性の確保の観点から、技術⾯の標準化を通じた国際連携推進の
重要性の指摘や、各国間の規制・法制度の調和の図り方等、課題への対応を検討するとのこと。
また 行政上の課題として、多様な属性を持つ利⽤者に利⽤されることも踏まえ、「 誰⼀⼈
取り残されない、⼈に優しいデジタル化 」への配慮が挙げられている。