🔶PFOS、PFOA の国内の検出状況 - 環境省 

  

    ★ 令和3年度公共用水域及び地下水の PFOS及びPFOA調査結果一覧  

           20/114~   岡山県は、P33、34/114

    ★ 用途

   PFOSの用途

   ① 航空用油圧作動油  (約 0.1% 以下の含有率で航空 用作動油の添加物として、

                                   蒸発、 火災、腐食を防ぐ目的で使用)

   ② 泡消火薬剤   (水成膜フォーム AFFF Aqueous Film Forming Foam)

               濃縮液として販売され 3%、6% などの割合で水と混合され使用 

               2000 年以前:大半 PFOS 系

     ③ 殺虫剤 (N-エチルパーフルオロオクタンスルホンアミド(別名スルフルラミド、

                      スルフラミド)がハキリアリ、ヒアリ、シロアリの防除用の有効成分、

                      PFOS やその他の フッ素系物質は補助成分として使用)

     ④ 金属メッキ (硬質クロムメッキ 及び装飾ク ロムメッキの界面活性剤、湿潤剤、

                          ミスト抑制剤として使用)

     ⑤ カラープリンター、カラーコピー機の電気電子部品 (はんだ、接着剤、塗料、エッチング、

              分散液、表面処理等) 半導体やセラミックフィルターの製造 (エッチング剤の界面活性剤)

   ⑥ 化学的手法による石油生産 (岩石粒子間の石油を回収する ための界面活性剤として使用)

     ⑦ カーペット、革、アパレル、テ キスタイル、椅子張り (フッ素仕上げ剤) 

            以前は 製品中に 最大 2w%含ま れていた。

     ⑧ 紙・パッケージ (ポリフルオロアルキルホスホ ン酸(PAP)が、食品接触紙製品に

                               使用されるほか、レベリング剤や湿潤剤としても使用)

     ⑨ ゴム 及びプラスチック (ゴム成型の消泡剤 や プラスチック添加剤)

     ⑩ コーティング、塗料添加剤 (クレーター防止や表面外観の向上、流動性やレベリング

                   の向上、泡立ちの低減、ブロック(ダマ)の減少、塗装間隔の延長、撥油性、

                   汚れの付着防止などの 様々な特性を付与するための界面活性剤として使用)

     ⑪ 写真現像

     ⑫ 半導体のフォトレジスト と 反射防止膜コーティング

     ⑬ 化合物半導体 (compound semiconductor) や セラミック フィルターのエッチング剤

     ⑭ 一部の医療機器 (ETFEレイヤ ー、X線不透過性 ETFE製造、 体外診断用医療機器、

                                    CCDカラーフィルター)

     ⑮ 半導体と液晶ディスプレイの フォトマスク

     ⑯ 自動車やフロアーの洗浄剤、 ワックス、磨き剤

 

   PFOAの用途

       ① ポリマー (重合の処理助剤としてパーフル オロオクタン酸アンモニウムまたは

                     ナトリウム(APFO および NaPFO) を使用、ポリフッ化ビニリデンの乳化重合に

                     パーフルオロノナン酸アンモニウム(APFN)を使用)

   ② 繊維:標準的な性能要求(標準衣 料等)    (防水、防汚等の処理剤として使用)

     ③ 泡消火剤

     ④ 紙及び食品包装

 

   PFHxSの用途

   ① 泡消火剤

   ② 金属メッキ

   ③ 革及び室内装飾品を含む織物

   ④ 研磨剤及び洗浄剤

   ⑤ コーティング、含浸/ 補強剤

   ⑥ 電子機器及び半導体 の製造

   ⑦ 紙及び包装

   ⑧ その他の用途 

       ・農薬 ・防炎剤 ・石油産業 ・調理器具

 

  ★ PFASに対する総合戦略検討専門家会議(第2回)  P 67/114 ~114/114

             令和5年3月28日

 

 

 

 

 令和4年度化学物質環境モニタリング調査結果について

 

 

 
  「永遠の化学物質」6種類の濃度に基準値、歓迎の一方で莫大な費用に懸念の声
          2024.04.17  ナショナル ジオグラフィック日本版
 
     米環境保護局(EPA)は 2024年4月10日、飲料水に含まれる有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」

(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)に対する初の規制を発表した。PFASは 環境にいつまでも残留するため「永遠の化学物質」と呼ばれる。

   EPAによると、新たな規制は、体内に蓄積して多くの健康問題を引き起こすことが知られている

6種類のPFASから、1億人もの米国人を守ることにつながるという。PFASとの関連が指摘される

健康問題には、腎臓がんや精巣がん、妊娠高血圧症候群、早産、肝臓および免疫系の疾患が含まれる。 

 

    「この決定を歓迎します」と語るのは、米シンシナティ大学環境遺伝学センター所長のスーザン

・M・ピニー氏だ。「 PFASが 健康に与える影響について われわれが知っていることを踏まえると、

これは妥当な措置と言えます 」

 

    だが 公衆衛生の専門家らは、規制を支持する一方で、PFASを飲料水から取り除くのは 一筋縄

ではいかないだろう と指摘する。また、水道利用者に処理費用の負担がかかる可能性もある。

   新たな規制を巡る 今後の展開について、また これが人々にとって何を意味するのかを

以下にまとめた。

 

水道水の浄化には何が必要?

   新たな規制のデメリットは、年間15億〜38億ドル(約2300億~5900億円)かかると言われている

導入コストだ。米国のすべての公共水道システムは、EPAが指定する 6種類のPFASの検査を 3年以内

に行い、その濃度を 新たな全米基準値まで 5年以内に下げるよう求められる。

 

    なかでも 毒性の強いPFOS(ペルフルオロ オクタンスルホン 酸、ピーフォス) とPFOA(パーフルオロ オクタン酸、

ピーフォア)は 基準値を 1リットルあたり4ナノグラム(ナノは10億分の1)とした(編注:日本の

暫定基準値は PFOSとPFOAの合算で 同50ナノグラム)。

 

   EPAの推定では、全米に 6万6000ある公共水道システムの6〜10%が、新規制に合わせてインフラ

を更新しなければならない可能性がある。すでに 11の州が PFASの濃度に制限を設けているが、

それらが 新たな全米基準を超えている場合、多くの州が さらなるシステムの変更を求められること

になる。

   ピニー氏によると、最初に取り組むべき課題は、汚染源を特定し、PFASが 水系に入るのを防ぐ

ことだという。これは、すでに汚染されている水から PFASを除去するのに比べて対策しやすく、

費用も安く済む。

   今後は 多くの施設が、粒状活性炭、イオン交換、逆浸透浄水システムといった、効果が証明されて

いる一方で コストのかかる処理法を採用しなければならないだろう。

   米国の一般的な浄水施設には すでに、水中にある固形物を取り除く 凝集・沈殿処理、重金属など

の物質を取り除く 高度浄水処理、有害な微生物を除去する 塩素処理といったプロセスが導入されて

いる。

   「 新しいインフラは おそらく、高度浄水処理と塩素処理の間に設置されることになるでしょう 」

と、4300の水道事業者からなる米国水道協会(AWWA)で 規制コンプライアンスを担当するクリス

・ムーディ氏は言う。

 

   インフラの更新には また、PFASを取り除く 新システムを設計するエンジニアの雇用や、それが

うまく機能するかどうかをテストする試験プロセスも必要になる可能性がある。

   EPAは、規制の順守にかかるコストを 年間15億ドルと見積もっているが、ムーディ氏は これを

著しい過小評価だと考えている。AWWAは 2023年の報告書で、実施にかかる予算は年間約38億ドル

にのぼると推定している。

   水道料金には どの程度の影響があるのだろうか。コスト負担は 地域の水処理施設の規模によって

異なると、ムーディ氏は言う。「 小規模なシステムでは スケールメリットがないため、1世帯あたり

のコストが大幅に高くなります 」

 

    EPAは すでに、米国の超党派による「インフラ投資・雇用法」を通じて 連邦政府から 新たに

10億ドル(約1500億円)を補助すると発表しているが、自治体は 州レベルでも 資金を確保しな

ければならない可能性があり、その費用の大半は おそらく水道の利用者が負担することになると

思われる。

    ムーディ氏は、小規模施設の地域であれば 顧客1人あたり年間数千ドル、多くの人口に負担が分散

される大規模システムでは 数百ドルのコストがかかると見ている。

 

 その価値はあるのか

    それでも 多くの専門家は、PFASに関連する健康問題を示す「証拠の重み」を考えれば、

新たな基準値は理にかなっていると主張する。

 

  「 これだけ低い濃度でも、長い年月の間には 大きな影響を及ぼすことがあります。化学物質が

  体内で 生物濃縮を起こすからです 」と、米ノースカロライナ州立大学PFAS環境・健康影響センター

所長のスコット・ベルチャー氏は言う。

    PFASは そこら中に存在し、洗剤から食品包装、耐水性の布まで、あらゆるものに含まれている。

ベルチャー氏によると、「 長期的な汚染危機 」を解消するための対策として、飲料水の浄化は

取り組みやすく実現しやすい目標だという。 

 

   EPAが 科学的証拠の重要性に基づいて 規制をかけたPFASは 6種類にとどまっているが、環境には

さらに何千種類ものPFASが存在している。新たなインフラが整備されれば、まだ禁止されていない

PFASの多くも取り除かれる と期待される。

 将来的には、汚染源を事前に特定することを優先しなければならないと、ベルチャー氏は言う。

「 過去数十年間で われわれが学んだのは、いったん環境内に入り込むと、これらの化学物質を

  取り除くのは 非常に難しいということです 」