ハイチ 治安回復に  国連加盟国の部隊派遣認める決議  安保理

                 2023年10月3日     NHK 

 カリブ海の島国ハイチで ギャングによる殺人や誘拐が相次ぎ、治安が急速に悪化しているとして

国連の安全保障理事会は、治安の回復を支援するため 国連加盟国が 現地に部隊を派遣することを

認める決議を採択しました。

   カリブ海の島国ハイチでは おととし、モイーズ大統領が暗殺されて以降、ギャングの活動が活発化

し 治安が急速に悪化していて、国連の人権高等弁務官は、ことしに入って 8月半ばまでで少なくとも

2439人が殺害され、951人が誘拐された と報告しています。

   ハイチ政府は、これまでに 治安回復のために 多国籍部隊の派遣を国際社会に求めていて、

国連安保理では 2日、国連加盟国が ハイチに部隊を派遣することを認めるとする決議が賛成多数で

採択されました。

 

    今回の多国籍部隊は、国連のPKO=平和維持活動の部隊ではなく、自主的に派遣する国が主導する

ことになります。

   決議では、地元警察をサポートして 治安回復にあたるのが任務だとしていますが「国際法を順守

したうえで、任務を遂行するために必要な すべての措置を講じることを認める 」としていて、

多国籍部隊による武力の行使を事実上、容認しています。

   すでに ケニアが部隊の派遣を表明しているほか、カリブ海の国々も検討していて、今後、現地での

活動に向けて準備が進められることになります。

 

長年の不安定な社会情勢でギャング支配地区が拡大

   ハイチでは、長年にわたり 不安定な社会情勢が続いています。

2004年には、当時のアリスティド大統領の退陣を求めて 反大統領派の武装勢力が 各地で蜂起し、

大統領が辞任して 国外へ出国する事態になりました。

これを受けて 国連は PKO部隊を派遣し、治安の確保や人道支援の活動を行いました。

    また、2010年1月には、マグニチュード7.1の地震が発生し、首都ポルトープランスなど主要都市

で 建物の倒壊が相次ぎ、22万人以上が犠牲になり、被災地では 略奪行為が発生しました。

  日本の自衛隊も PKOに参加し、復興や治安の回復にあたりました。

  しかし、その後も ハリケーンなどの自然災害に見舞われて状況は改善せず、政情不安も続き、

2021年には モイーズ大統領が 自宅に押し入った武装グループに暗殺される事件が起きました。

   外務省によりますと、ハイチでは、食糧危機や失業、貧富の格差などが広がっているうえ、

首都圏を中心に ギャングが支配する地区が拡大、市民が 暴力や誘拐、殺人などの事件に巻き込まれる

ケースが頻発しているということです。

   外務省は 去年、ハイチでの「危険情報」を 最も高いレベル4の「退避勧告」に引き上げ、

渡航しないよう呼びかけています。

    国連によりますと、ことしに入って、8月半ばまでに 少なくとも 2439人が殺害され、951人が

誘拐されたほか、子どもが性犯罪に巻き込まれるケースや、学校への襲撃も増加しているという

ことです。