フランスの校長、スカーフ外すよう生徒に求め殺害を予告される 

         辞職し社会問題に

           2024.3.28     (BBC News) - Yahoo!ニュース

 

 

 フランス・パリの中等学校の校長が先月、イスラム教徒が着用する頭髪を覆うスカーフを外すよう

女子生徒らに指示したところ、ソーシャルメディアで殺害を予告され、今月辞職した。

生徒の1人は 校長にたたかれたと虚偽の主張をしたとされ、首相が この生徒は訴追されると発言する

など、社会的な問題となっている。

   フランスでは 2020年以降、学校に対するイスラム主義者の脅威が 非常に深刻に受け止められて

いる。 同年10月には、学校教諭のサミュエル・パティさんが パリ郊外の路上で首を切り落とされて

殺害される事件が発生。その5カ月後にも、北部アラスの学校で教諭ドミニク・ベルナール氏が殺害

された。

 

   今回の校長(氏名非公表)は 今年2月28日、パリ20区にある学校「モーリス・ラヴェル・リセ」

で、10代の女子生徒3人に、国内の法律に従って 校内では スカーフを外すよう求めた。 生徒2人は

従ったが、もう1人は 従わず、言い争いとなった。 その後の数日で、校長は ソーシャルメディアで

殺害予告の対象となった。同校は 内務省のホットラインに通報した。 校長は 今月22日、同僚らに

メールを送信。公教育には 45年間携わってきた末に、「 自分と学校の安全への懸念から 」「 辞職

を決断した 」と説明した。

 

 ■殺害予告で2人を拘束 

   殺害予告をめぐっては、検察が 2人を拘束したと発表した。身元は 明らかにされていないが、

教育省は 学校とは無関係の人物だとしている。 女子生徒の1人は 校長にたたかれたと話したが、

警察は 証拠を見つけられなかった。

   これを受け、ガブリエル・アッタル首相は、この生徒は 偽証について裁判にかけられると発言した。 政治家らは 左右を問わず、尊敬を集めていた教職者が インターネットのヘイト(憎悪)キャンペーン

でキャリアを絶たれたことに憤りを表明。

  「 現在の政府は 私たちの学校を守ることができない 」、「 これは 国家の敗北であり(中略)

イスラム主義の壊疽(えそ)は さらに範囲を拡大している 」、「 殺害予告のために校長が辞職する

のは集団的な失敗だ 」などの意見が噴出した。

 

 ■爆破予告で休校 

  これとは別に、パリのいくつかの学校が 27日、イスラム主義者と思われる人物から爆破予告を受け、

休校に追い込まれた。 先週も パリ地域の約30校に同様の脅迫があった。その際、斬首の動画が

添えられていた。 捜査当局は、ロシアの偽情報活動の一環である可能性もあるとしている。

  アッタル首相は 今月初め、同国のウクライナ支援を弱めることを目的に、ロシア政府が「 大規模な

不安定化の活動 」に乗り出したと警告した。