後藤田知事も激怒、高校生に配備のタブレット「3年もたず半数超が故障」の異常

   後手に回る教育委員会、中国メーカーからは返答なし

           2024年03月17日    47NEWS(よんななニュース)

 

 徳島県の県立高校などに「1人1台」配備されたタブレット端末の半数を超える数が故障する異例

の事態となっている。中国のパソコン会社「ツーウェイ」社製で、2020年度に徳島県教育委員会

が1万6500台を調達し、21年4月から使い始めた。修理したり予備機を使ったりして対応して

いるが追い付かず、現在も 7千台以上が不足する。正常な状態に戻るのは9月ごろになるという。

一体何が起きているのか。

 

▽酷暑で?バッテリー膨張相次ぐ
 教育委員会によると、問題の端末は ツーウェイ社の「UBOOK」という機種。学校のデジタル化

を促進する文部科学省の「GIGAスクール構想」を受け、県教育委員会が国の交付金を活用して

約8億円をかけ、県内の全県立高校など計30校に配備した。1台当たりの価格は4万8950円

だった。
 教育委員会が故障の急増を 初めて確認したのは昨年7月。厳しい暑さが原因とみられるバッテリー

の膨張が各校で続出した。約850台の予備機を投入しても間に合わず、1台の端末を複数の生徒で

共有するなどしてしのいだ。

 

この時点で 教育委員会は 県の知事部局に代替機を確保するための予算措置の相談をしていなかった。

担当者は こう説明する。「 学校が夏休みに入ってしまい、故障台数の集計に時間がかかった。

故障の全体像が見えてきたのが9月下旬だった 」


 そうしているうちに、故障台数は どんどん増え続けた。教育委員会の対応が後手に回っている

ことは明らか。後藤田正純知事は10月30日に臨時の記者会見を開き、代替機を確保する予算措置

を講じると表明。そして 教育委員会を批判した。「 任せておけない。対応がお粗末だったことを

しっかり認めてほしい 」

 

▽新たなトラブル、2年前に予兆も
 故障台数は 11月27日には 6301台となった。代替機6500台をリース方式で調達する

費用7200万円を盛り込んだ補正予算案が 11月30日に県議会で可決。今年3月末までに納入業者

の無償提供も含めて7千台を調達し、新年度が始まる4月には 1人1台が配備できる算段だった。
 だが 1月下旬、充電後にバッテリーが 1時間未満しかもたない新たなトラブルの報告があった。

教育委員会は 充電器に接続しながらであれば使用できるため、外付けバッテリーの確保などで対応

できないか検討している。「 最終的な不足数は見通せない… 」。

終わりの見えない対応に、教育委員会の担当者は 落胆を隠さなかった。
 2月29日に開かれた県議会文教厚生委員会では 委員を務める県議から、納入業者やメーカーの

責任を追及すべきとの声が相次いだ。「 3年ももたないのは異常事態。一般常識では損害賠償請求を

する 」「 (家電店で)3年で6割くらいがダメになると言われたら買わない。感覚的にはリコール

(のレベル)だ 」

 

 ツーウェイ社の端末を巡っては、実は 約2年前に予兆があった。2021年5月24日、徳島市の

徳島県立城ノ内中学校で 1台のタブレット端末が焼け焦げたような状態で見つかった。 生徒が端末を

授業で使うため、保管庫に行くと、黒いすすだらけになっていた。
 発火した疑いがあり、教育委員会が納入業者を通じて調査したところ、この端末のバッテリーに

傷が見つかった。ツーウェイ社のHi10Xという機種だ。この際に、配備されている同機種の他の

端末を調査したが、不具合は見つからなかったという。
 消費者安全法では、消費者に被害が生じる事故が起きた場合、自治体に対し 消費者庁への通知義務

を定めている。だが 教育委員会は 当時、連絡を怠っていた。今回のバッテリーの膨張が急増した問題

を受け、昨年11月に連絡した。

 

 

▽仕入れ価格重視、選択肢なく
 今回の半数以上が故障したタブレットは、入札を経て 四電工徳島支店(徳島市)が納入した。

入札に参加したのは 同支店のみだった。四電工が 複数の代理店に調達を依頼したところ、想定する

仕入れ価格に見合うのがツーウェイ社の製品のみだったと説明する。
 県の監査委員は 2月公表の監査結果で、ツーウェイ社を「 国内の納入実績の乏しいメーカー 」と

指摘し、「 21年5月に県立中で 同社の別機種の端末に不具合が生じた際、危機管理意識を持って

一斉点検をすべきだった 」と教育委員会の対応の甘さに疑問を呈した。

   21年の時点で UBOOKの機種を全てチェックしていれば、今回のような混乱は回避できた

可能性があるというわけだ。


 問題を受け 四電工は昨年11月、こんな見解を公表した。「 教育現場の皆さまに多大なるご迷惑を

おかけしたことを 心よりおわび申し上げます。一日も早く 子どもたちが不自由なく 学習機会を

得られるよう、誠心誠意対応させていただきます 」
 四電工に ツーウェイ社製品を提案した代理店によると、昨秋に故障を巡る問題を ツーウェイ社側

に伝えたが、現在も 返答はないという。

 

 

▽原因を調査、法的措置も検討
 後藤田知事は 昨年10月の記者会見で、県の契約相手である四電工に対して 損害賠償請求などの

法的措置を検討することを示唆した。ある県幹部は バッテリーが1時間未満しかもたない新たな故障

が見つかったことで「フェーズが変わった」と指摘する。
 県は 現在、故障原因の詳細を調べている。幹部は、こう語気を強めた。「 バッテリーの膨張だけ

であれば、酷暑が原因だったという見方もできる。だが 別の故障が出てきたら、もともとの品質に

問題があるという話になってくる。 調査の結果次第だが、遅くならないうちに 動き出さなければ

ならない 」