経済アナリスト森永康平 日経平均史上最高値は経済破綻への序章!?

 円安是正は「日銀の愚策になる可能性」

                   2024年02月24日    スポニチ

 経済アナリストの森永康平氏が 24日、ABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」に

出演し、日経平均の史上最高値更新を機に 起こりうる日本経済転落の予兆に警鐘を鳴らした。

 森永氏は 株価が大きく上がった理由について3つ上げる。

 1つは 物価高と それに伴う賃金アップの動きで「 外国の投資家が、日本は デフレ経済から脱却

できるかもしれないと期待し始めているので、日本の株を買い直している 」こと。

   また「 今は 中国の経済が ボロボロ。同じアジアでも ちょっと中国はないわ、という意識が

働いて そのお金が流れてきている 」ことも 好結果を生んでいる。

   そして「 何よりも 円安。これのおかげで トヨタを はじめ輸出企業が大もうけしている 」

のが最大の理由だ。

 

 一方で、番組出演者を含め、多くの日本人は 好景気を実感できていない。

森永氏は「 実質賃金は 21カ月連続マイナス、収入が減っているので もちろん 消費支出も

10カ月連続マイナスです。さらに GDPは ドイツに抜かれ 4位になりました 」と、株価以外の

数字は “お寒い” ものばかりの状況だ。

 

 日経平均の指標になる企業の多くは 円安で儲けている大手輸出系企業。 しかし、日本の約7割を

占める中小企業は 円安のため、燃料費、電気代、材料費が増えて 厳しい経営状況を強いられている

企業が少なくない。そのため 大手と中小の格差が さらに広がっている。その状況で 森永氏が危惧

するのは「 中小企業から 従業員が 大手に流出して、人手不足倒産が起こる という恐ろしいことが

起こっている 」と指摘する。

 

 とはいえ、好景気な大企業が 引っ張る形で 少しずつ 日本経済に明かりが差し始めてきたのも事実。

その中で、日銀は 物価高などを問題視して、円安の是正に向けて 動き始めた。 アメリカが 今年

金利を下げることが確実視されていることから、現在のマイナス金利を見直し、円買いを促進させる

狙いだ。

 

 しかし、森永氏は「 日銀の愚策になる可能性が高い 」と考えている。

 「 マイナス金利の場合、民間の銀行は 日銀に預金すると 金利を取られる場合があるので、

それならば 企業に貸し出して 金利をとろうと考えるんです。その流れがストップしてしまうと

企業への貸し渋りが起きて 投資が冷え込み、大変な状況になる可能性がある 」と危ぐした。

 

 では なぜ、日銀は そのような選択を取ろうとするのか?

 森永氏は「 政府も 日銀も バブルのトラウマがあるんです。少しでも景気が良くなると

つぶしにかかるところがある。ただ、バブルの時は わけのわからない上がり方でしたが、今の株価

は 適正価格。実際に 欧米各国の株価は 約30年間で数倍になっている 」。

 

 その森永氏が「 おっ? 」となる質問を投げかけたのは WEST.の中間淳太だ。

「 例えば 法人税を上げると どうなるのでしょうか 」と聞くと「 それは 実は とてもいい政策です 」

と即答。「 企業も 税金として取られるのなら、人件費に使うほうがいいというインセンティブが

働きますので、賃金アップが見込める。ただ 経団連の偉い人からすれば、何で うちの金を取るんだ、

と考え、政治家に “(選挙で)落とすぞ” ということになってしまう 」と苦笑い。

仲間も「 なんやそれ 」と あきれ顔だった。