秋田県議会のネオニコ質疑、知事の「画期的答弁」
12月議会の議事録、石田寛さんの一般質問。
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秋田県議会 一般質問 令和5年12月4日
●三十番(石田寛議員) 立憲民主党会派の石田です。
中略
次に、ネオニコチノイド系農薬の使用禁止などについて お伺いします。
東大大学院の山室教授らによる 昨年八月の調査で、秋田市の水道水から、EU基準の八・七倍の
ネオニコチノイド系農薬が検出されたと発表されました。ネオニコ系農薬は、神経系に影響を
与える恐れなどが指摘されており、秋田市民から、とりわけ 小さなお子さんを持つ親御さんから、
不安の声が上がっております。
新聞報道によれば、秋田市水道局へ 検査や改善を求める要望が届いているようですが、
問題は 農業の現場にあります。言うまでもなく、ネオニコ系農薬は、湯沢から横手・仙北平野、
秋田市などの水田で、カメムシ防除のために散布されたものが、全て雄物川に流れ込んでくる
ものです。浄水施設の改善により 水道水では除去できたとしても、その多くは 海へと流れ出す
わけなので、海の生物への影響を考えると、そもそも、そうした農薬を使わない農業へ転換
すべきではないでしょうか。
国の「 みどりの食料システム戦略 」に 化学農薬の使用量の五〇%低減が打ち出されており
ますが、二〇五〇年まで待たなくとも、全国に先駆けて カドミウム低吸収米を取り入れる
この機会に、秋田県産の農産物が どの県よりも安全だと評価され、そこに付加価値がつくような
農業にかじを切ろうではありませんか。
具体的には、カメムシ防除を行わない農業が成り立つように 国の検査基準を見直すこと、
二等米の値段を 一等米と変わらないくらいに上げること、斑点米を除去するための色彩選別機の
導入などが考えられます。大潟村では、一等米と二等米の値段の差は 三百円だそうです。また、
色彩選別機で選別した米は 一等米で販売できます。
県として、改めて 検査制度の見直しを国に要望してはいかがでしょうか。また、色彩選別機導入
へ補助を出してはいかがでしょうか。
さらに、サキホコレを特別栽培米として販売され 人気が出ているように、県産米全てを
特別栽培米にしようと 県が旗を振るのはいかがでしょうか。
物価高騰で 農家から悲鳴が聞こえてきます。農薬や肥料が半減できるなら コスト削減で
助かりますし、エコライスとして評価が上がり 一石二鳥と言えます。また、学校給食を全て
オーガニック食材にし、有機農業を支援し拡大していく考えはないのか、知事にお伺いを
いたします。
●知事(佐竹敬久君) 石田議員の一般質問にお答え申し上げます。
中略
現在、国では、農薬取締法に基づき、ネオニコ系農薬も含めた 全ての農薬について、最新の
科学的知見により、安全性に関する再評価を行っているところであり、県としましては、
その結果を踏まえて 適切に対応していくことにしております。
また、米の検査制度の見直しについては、令和元年度の農産物検査規格検討会で協議された
ものの、各委員から賛否両論の様々な意見が出され、結果的に改正には至らなかった経緯があり、
引き続き 国の動きを注視してまいります。
仮に、ネオニコ系農薬を使わない場合、着色粒が多発する可能性があり、全てを色彩選別機で
除去する方法は、歩どまりや作業性の悪さに加え、経費がかかり増しになるなど、現実的には
困難であると考えております。
一方、環境負荷軽減への関心の高まりなど、社会ニーズに対応していくことも重要であること
から、環境直接支払交付金の活用を促進するほか、サキホコレについては、特別栽培を標準化する
ことにしております。
また、有機農業については、大潟村 や にかほ市において、国の交付金等を活用しながら、
機械除草の実証や、学校給食への有機米の供給などに取り組んでいるところであり、こうした
モデル的な取組が各地で展開されますよう、市町村に働きかけてまいります。
●三十番(石田寛議員) 再質問を少しさせてください。
一つは ネオニコ系農薬の禁止ですけれども、国の方向に沿っていくというお話で、その部分
については理解できますけれども、やはり 産地間競争の時代ですので、他県より、やはり
秋田県の米が 安全・安心だというのを掲げるということと、先ほども質問で申したように、
今、物価高騰で 農家のコストが高くなっているので、その農薬と肥料を半減することによって
コストを抑えると。そして、コストを抑えることによって、逆に また その安全・安心面で評価
が上がると農家の収入が増えると、そういう意味で、できるだけ まあ 特別栽培までいかなく
ても、エコライスとして売れるような働きかけを 県がやったらどうかということで、できるだけ
ネオニコを使わないようにしようと、軽減するという意味で、それぐらいは呼びかけることが
できるのでないかと。そのことで 農家の収入が増えるのだよと。農薬と肥料が高上がりしている
ので一石二鳥ですよ。
どうか もう一度お答えをお願いします。
【知事(佐竹敬久君)】
●知事(佐竹敬久君)
ネオニコ系の農薬も含め、一般的に 農薬を減少させるという方向性は、我々も前から言って
いますし、また、サキホコレ以外に、あきたこまち においても、なるべく そういう方向という
ことで、前から サキホコレ以外についても 特別栽培米はあるのです。そういう方向性に
ついては、これからもやっていきます。ただ、全部が これを使わないということは、これ 相当、
代替するものがないので、なかなか そう簡単にいかない。これ 全部を 全く県で使わないと
なれば、なかなか そう簡単に収量も出ませんので、そこら辺で、なるべく使わない方向性を
探りながら、やはり 等級の問題、これが 一番です。これは 今年も今回、新潟県も中心になって、
相当一等米が低くなっていますので、これは 米産県の間で やはりそういう動きが出てきて
います。ですから、この等級の関係については、そう簡単にいかないと思いますが、これからも
やはり一回見直し、これを提言していきたいと思います。