新潟県知事へ原子力規制庁が“適格性の再評価結果”説明 

    議論評価も東電への認識は「変わらない」

              2024.02.09   新潟ニュース NST

 新潟県の花角知事は 2月9日、東京電力の原発事業者の適格性について再評価するよう

求めていた原子力規制庁から、その結果について説明を受けました。

丁寧な議論を評価した一方、自身の東電に対する認識は「変わったとは言えない」と話し、

県民の受け止めなどを注視する考えを示しました。



【花角知事】
  「 IDの不正使用の部分と核防護設備の機能不全は、深刻な案件と受け止めている 」

   2021年、当時の原子力規制庁長官を訪ね、東京電力の原発事業者としての適格性を再評価

するよう求めていた花角知事。
その要因となったのが、柏崎刈羽原発で 相次いで発覚したテロ対策の不備です。

   原子力規制委員会は 事実上の運転禁止命令を出し、追加検査を実施。その結果、不備が改善された

などとして、去年12月に命令を解除していました。
  東電の適格性の再評価を求められていた 原子力規制庁の片山啓長官は 9日、花角知事に対し…

【原子力規制庁 片山啓 長官】
  「 防護措置の劣化が発生しても 長期間継続することなく、重大な劣化に至る前に それを自ら

   検出して 自律的に改善できる 一過性のものとしない仕組みを構築されて、定着しつつあると

   判断をした 」

   改善措置活動を評価するための 27の確認項目すべてで 改善が確認できたとし、適格性に

ついても 基本姿勢に則った取り組みが行われていることが確認できたと説明しました。

  花角知事は 再評価の議論が丁寧に行われた と話す一方で…

【花角知事】
Q.今回の説明で東電の適格性についての認識に変化は?
   「 それは ですから変わったとは言えない。まだ(県の)技術委員会での議論も見たいと思うし、

    また 県民の中で どういうふうな受け止めになっていくかということも見ていきたい 」

   また、今回の能登半島地震で 家屋の倒壊などが相次いだことを受け、片山長官に対し、屋内退避

の有効性や避難の考え方などについての検討を要望。
   再稼働の是非については 今後の議論を見守り判断するとしています。

【花角知事】
   「 リーダーとして判断をし、その結論について 県民の意思を確認するというプロセスにいく時が

    来ると思う 」

 

 

 

「議論は福島から柏崎刈羽へ…」県”3つの検証”とりまとめ終了 

     原発再稼働議論本格化へ

                                 2023.09.13       新潟ニュース NST

   東京電力福島第一原発事故を巡る 県独自の3つの検証の総括について、県が報告書を公表しました。

およそ11年にわたる各検証結果について、花角知事は 矛盾や齟齬がなかったとして、今後

柏崎刈羽原発の再稼働議論を進めるとしています。

【花角知事】
   「 これで 県独自の検証は1つ区切りがついて、議論も これから福島ではなくて柏崎刈羽(原発)

    の議論を始める、その重要な材料が出来上がったと思う 」

   13日の会見で、福島第一原発事故を巡る県独自の3つの検証について 各委員会の報告書に

矛盾や齟齬がなかったと総括した花角知事。柏崎刈羽原発の再稼働議論を始めると明言しましたが、

ここに至るまでには11年もの期間がかかっています。

【泉田元知事】
   「 検証なくして 再稼働の議論はいたしませんし 同意もいたしません 」

   2012年に 当時の泉田知事が県の技術委員会に要請し始まった福島第一原発事故に関する

県独自の検証。

【米山前知事】
   「 きちんとした検証を ここでしないでいつするのか。時間をかけて じっくり検証して

    いただければ 」

   続く 米山知事は 避難や健康、生活への影響も検証する必要があるとして 新たに委員会を設置。

事故の検証と合わせ 3つの検証を総括する委員会も立ち上げました。

そして…

【花角知事】
  「 3つの検証を引継ぎ、検証を進めてまいります。その検証結果が示されない限り 原発再稼働の

   議論を始めることはできないという姿勢を堅持してまいります 」

  2018年に就任した花角知事も継承し進められてきた3つの検証は、今年3月末までに

すべての報告書が提出されていました。しかし その総括をめぐり 検証総括委員会の池内了委員長

と 県の間で意見が対立。

【検証総括委員会 池内了委員長(当時)】
  「 知事との共通認識が持てないことが明らかになった段階で 会議は全部ストップしている 」

【花角知事】
  「 なんらか進展があると期待があったが 変わらなかったということで、これから どうするか

   今後 考えなければならない 」

  そして 今年3月末で 委員の任期が切れると、花角知事は 委員会ではなく 県が自ら総括を行う

ことを決定したのです。総括の結果を公表した 13日の会見でも 専門家の入らない総括の妥当性

や客観性に問題がないか問われることに…

【花角知事】
  「 問題ないと思う。あくまでも コアは 各報告書なので その報告書の重なりや関連を整理した

ということであり、客観性とかいう議論とは次元が違う 」

一方、検証総括委員会の池内元委員長は13日。

【池内委員長】
  「 (報告書を見ると)だいたい確認中とか検討中とか 問い合わせ中というのが多くあって、

   これは やっぱり詰めた論点整理にはなっていない。そこまできちんと検証しなければならない 」

   それでも 花角知事は 今後、国の東電に対する検査の進捗や結果を踏まえ県民への説明会などを

開き、再稼働の是非を議論していくとしています。

【花角知事】
  「 私1人の問題ということよりも 県民の皆さんがどうお考えになっていくか、それは相互に

   影響し合うと思うし、どういう風に 県民の意思が収れんするのか、場合によっては 発散するのか

   県政のリーダーとしてしっかり見極めていく必要がある 」

  紆余曲折を経て取りまとめられた県独自の3つの検証。エネルギー情勢など日本を取り巻く環境

が大きく変化する中、柏崎刈羽原発の再稼働議論が始まります。