改正マイナンバー法が成立、24年秋に健康保険証廃止し「マイナ保険証」に 

                               2023/06/02          読売新聞

 

   マイナンバーカードの活用拡大に向けた 改正マイナンバー法などの関連法は 2日の参院本会議で、

賛成多数で可決、成立した。2024年秋に 現行の健康保険証を廃止して「マイナ保険証」に

一本化するほか、マイナンバーの年金受給口座とのひもづけを進める。マイナカードを巡っては

他人情報の登録など 不祥事が相次いで発覚している。政府は 丁寧な説明、対応が求められる。

   関連法には 自民、公明両党と日本維新の会、国民民主党が賛成した。


   関連法では、マイナ保険証への移行に伴い、マイナカードを取得しない人でも保険診療を受け

られるよう、本人からの申請に基づき 保険者が「資格確認書」を発行する制度を盛り込んだ。

施行後も 最長1年間は 現行の健康保険証を使える 特例措置も設けた。

マイナ保険証は、患者が同意すれば、医師や薬剤師が 過去の診療情報をみられるようになる。


   マイナンバーの利用範囲も拡大する。これまでの 社会保障や税、災害対策の3分野に、国家資格

の取得・更新や自動車登録の手続きなどを加える。これらに「準ずる事務」も対象とする。また、

マイナカードを申請しやすくするため、在外公館での交付・更新や、市町村が指定した郵便局での

交付手続きも可能にする。

 年金受給者を対象に、本人が 不同意と回答しない限り、年金口座をマイナンバーとひもづけ

「公金受取口座」に登録する仕組みも導入する。自治体からの給付金などの迅速な支給につなげる。

公金受取口座を登録済みの年金受給者は対象外となる見通し。

 年金受給者には 法律の施行後、日本年金機構から口座ひもづけに同意するかどうかを尋ねる

書留郵便が届く。回答しなければ 同意したとみなされる。変更や取り消しは いつでも可能だ。

 マイナカードを巡っては、マイナ保険証に 別人の情報をひもづけるミスや、公金受取口座の誤登録、

カードの取得者が受け取る「マイナポイント」の別人への付与など問題が相次いで判明している。

関連法に反対した立憲民主党と共産党は、問題の実態解明と再発防止のほか、健康保険証の廃止が

「国民皆保険の崩壊につながりかねない」と主張していた。

 

 

「完璧に失敗」マイナ保険証、国家公務員の利用率4.36%にあふれる憤慨

 …河野大臣“過去の発言”への批判も再燃

             2024.02.05    Smart FLASH

  「マイナ保険証」の国家公務員の利用率は 4.36%。

 

 2月4日、朝日新聞が報じた数字に波紋が広がっている。

 

 マイナ保険証の全体の利用率は 2023年4月の 6.3%をピークに、12月は4.29%と8カ月連続で減少。11月の利用率は 4.34%だった。

 朝日新聞は 国家公務員とその家族が加入する国家公務員共済組合のマイナ保険証の利用率が記載

された厚労省の文書を入手。そこに記された 2023年11月の利用率は、以下のとおりだったという。

 

      【関連記事:「もう滅茶苦茶」岸田首相、

      マイナカードの取得義務化「現段階では難しい」発言で強まる「マイナ保険証」への疑問】

 

 ・総務省 6.26%

 ・内閣府や農林水産省など4省庁 5%台

 ・厚労省 4.88%

 ・文部科学省や法務省 4%台

 ・外務省 3.77%

 ・防衛省 2.50%

 

 政府は 現行の保険証を原則廃止し、2024年12月2日から マイナ保険証に移行すると閣議決定

している。マイナ保険証の利用促進を訴えている厚労省でさえ 4.88%、防衛省にいたっては

最低の 2.50%という低い利用率に、SNSでは 憤慨する声が多く上がった。

 

 《 マイナ保険証なんて 国家公務員ですら たった 4.36%しか使っていないのに、

   現行の保険証を廃止してまで ゴリ押しするなよ… 》

《 一般国民どころか 公務員さえ この有り様。マイナ保険証は、完璧に失敗ですね 》

《 嗤うしかないが、一体 どうするのだ? これ。河野太郎は 言う事を聞かない自衛隊員や公務員

  を全員、分限免職にでもするつもりなのか? 》

 

 2023年12月12日、河野太郎デジタル担当相は 記者会見で、現行の健康保険証を廃止する方針

について、「 イデオロギー的に反対される方は、いつまで経っても『不安だ』『不安だ』と仰る

でしょうから。それでは物事が進みませんので、きちんとした措置をとったということで進めます 」

と述べ、批判を浴びた。

 

 SNSでは 河野氏の発言への批判が再燃している。

 

《 制度を作った側の公務員さえ ほとんど使っていないというポンコツさ これでも 利便性が

知られれば~とか、イデオロギー~とか 主張するのでしょうか 》

《 河野さん見てますか? 国家公務員 特に防衛省で

   「イデオロギー的に反対する人が多いみたいですよ」 》

《 国家公務員にも 全く使われず、一番利用率が低いのは 防衛省で 2.50%... 個人情報などを

「防衛」しなければならない重要性を、職業上よく理解しているから? 》

 

 ここで思い出されるのが、2022年11月16日の衆院内閣委員会での質疑だ。

立憲民主党の山岸一生衆院議員はこう切り出した。

 

「 政府は マイナカード普及の一環として、国家公務員の身分証との一体化を進めてきました。

2016年から実施しておりますが、今回 わたしが調べましたところ、一部の省庁では 実施していない

ことがわかりました 」

 

 山岸氏が示したのが、

「 国家公務員身分証の個人番号カード一元化における問題点等について 」という文書だ。

 

 政府は 2016年から、霞が関の中央省庁で マイナカードを身分証に利用しているが、文書は

その直前の2015年11月6日付で、内閣官房、警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省が連名で 政府に

提出したもの。

 

 文書は、マイナカードを身分証として使用することの問題点として、「職員の人定把握の容易性」

をあげている。「 紛失・盗難等により、職員の氏名、住所、年齢等を所属省庁とともに把握できる 」

とし、外国情報機関などが取得したり、一般人がネットなどで拡散したりすると、「 職員や その

関係者に対する危害・妨害の危険性が高まる 」と指摘。

 

 マイナポータルにアクセスすれば閲覧できるため、「 個人情報を一括して盗まれ、それらを基に

した職員個人に対する不正な働きかけに利用される可能性が否定できず、最悪の場合、秘密情報の

流出につながる 」とし、「 内閣官房の一部、警察庁、公安調査庁、外務省及び防衛省 」について、

身分証との一元化の適用除外を求めている。

 

 山岸氏は、「 政府部内で こんな文書が取り交わされるケースは見たことがない。非常に異例な

文書だ 」と谷公一国家公安委員長(当時)に政府の見解を求めた。

 

 答弁した谷氏は2015年当時の判断として、身分証とマイナンバーカードを一体化し、これが

盗まれた場合など、警察の対抗勢力に 職員の所属省庁・住所・氏名等を一括して把握されるとの懸念

があったことから、一部の関係省庁とともに一体化を見送ることにした と文書の内容を認めた。

 その上で、他省庁の運用実態や政府の方針を受けて、警察庁でも 身分証に利用する方針だとし、

早期に実現されるよう指導していくと述べた。

 山岸氏は、河野太郎デジタル担当相にも見解を求めた。河野氏は、すべての国家公務員が身分証

として使うことを すでに決めていますので、民間にも ぜひぜひ、どんどん活用してもらいたいと

思っている と話した。

 

 外務省が 3.77%、防衛省が2.50%と明らかにされたマイナ保険証の低い利用率。これで 12月に

本当に紙の健康保険証を廃止できるのだろうか。