[能登半島地震]

能登地震で原発周辺400人8日間孤立 避難計画機能せぬおそれ

        市野塊       朝日新聞デジタル 

 能登半島地震のあと、北陸電力志賀原発(石川県志賀町)の半径30キロ圏内で、最大8地区

約400人が 8日間孤立状態になっていたことがわかった。

   原発事故時には 5キロ圏の住民は 30キロ圏外に避難、5~30キロ圏は まず 屋内退避し、

放射線量が上がった場合に 圏外に避難するが、この避難計画が機能しないおそれがある。

 内閣府などによると、地震を受け、志賀原発の5~30キロ圏の輪島市の7地区と穴水町の

1地区が8日時点で、道路の寸断などで 車での人や物資の移動ができない孤立状態だったという。

9日以降 順次解消されたが、最長で 2週間程度かかった地区もあったとみられる。5キロ圏での

孤立はなかった。

 原子力規制委員会が定める「原子力災害対策指針」では、5キロ圏は 放射性物質の拡散前に

避難する「予防的防護措置準備区域(PAZ)」、5~30キロ圏は 屋内退避し、状況に応じて

避難する「緊急時防護措置準備区域(UPZ)」としている。

 

 

   「避難計画は絵に描いた餅」 志賀原発差し止め判決の元裁判長の警句

         福地慶太郎         

     能登半島地震で電源設備の一部が使えなくなるなどのトラブルが相次いだ 北陸電力志賀原発

    (石川県志賀町)は、かつて 金沢地裁から2号機の運転差し止め判決を受けました。

     当時、裁判長を務めていた 井戸謙一弁護士は、今回の地震で 原発の避難計画が「絵に描いた餅」

     であることが明確になったと指摘しています。

     ――  今回の地震をどう見ていますか。

     「 2006年に 私が志賀原発2号機の運転差し止め判決を出した時、いちばん問題になっていた

      のは、内陸の『邑知潟(おうちがた)断層帯』でした。(今回の地震が起きた断層が広がる

      とみられる)海域は 三つの断層が把握されていたけれども、いずれも 数キロで ほとんど

      問題になっていなかった。それが、07年に 能登半島地震が起きて海底調査が本格化し、

      10年ごろに 能登半島の北側に(より長い)断層があるとわかってきました 」

    「 今回、言われている 150キロにわたって断層が動くなんて、北陸電も想定していなかったし、

      そんなことを言う学者も ほとんどいなかったんじゃないでしょうか 」

      原発は「必要悪」と思っていたが…
       ―― 志賀原発2号機の再稼働に向けた審査では、能登半島北側の断層が連動する長さは

         96キロと 北陸電は想定しています。

     「 海底の活断層は、音波探査などをしていますが、陸地以上に難しいのだと思います 」
     「 地震による揺れを予測する『強震動地震学』の進歩のためには、過去の地震の詳細な

        データが必須ですが、日本で 詳細なデータが取られるようになったのは、阪神・淡路大震災

       (1995年)以降です。20年ちょっとのデータだけで将来の地震が正確に予測できるはずが

        ありません 」

     ―― 日本で原発を動かすこと…

 

      「原子力災害対策指針の見直しを検討する

   のではなく、

    事故が起きる可能性がある場所に原発を作った電力会社

    と、原発を許可した政府、

    および、住民避難をさえ疎かにした規制委員会

   の存在意味の見直しを検討すべきである

                    合掌

 

     「原発避難できぬと確信」 能登地震で道路寸断、各地で強まる危機感

               佐藤常敬  神谷毅  平川仁  原篤司  福地慶太郎      

     能登半島地震によって、道路の寸断やモニタリングポストの欠測、家屋の倒壊といった被害

       が明らかになった。同時に 原発事故が起きた場合、住民は 避難や屋内退避ができるのか。

       原子力規制委員会は、避難のあり方を定めた原子力災害対策指針の見直しを検討する


       避難道路の多重化、めど立たず
        関西電力美浜原発や、日本原子力発電の敦賀原発などが集まる福井県の敦賀半島。

        住民の避難を想定して整備された道路は険しく、山の斜面が道路脇に迫る場所も多い。

        美浜町の沢田忠義さんは道路の寸断を懸念する。

       「 陸上は たぶん無理。海からの避難方法を地区でも確認する必要がある 」

       避難道路の複線化の必要性を強く感じたというのは、町南部の新庄地区の前区長、高木剛さん。

         町は、滋賀県高島市側に抜ける避難道路の整備を求めているが、着工のめどは立っていない。

       「事故が起きた時のリスクを…