2024.01.12 日本海テレビ
鳥取県立中央病院 廣岡保明 院長
「 県民の皆さんのみならず、消防署の職員の皆さまに 非常に心配また不安、また 心を崩される
ような障害を与えてしまったこと、それについて 深くお詫びしたいと思います。
申し訳ございませんでした 」
こう陳謝したのは、鳥取県立中央病院の廣岡保明院長です。 中央病院救命救急センターの
小林誠人センター長は 12月、東部消防などに「 特定行為指示要請に応じない 」といった主旨の
メールを送信。 特定行為指示要請とは、救急搬送の際、救急救命士が器具を用いた気道確保や
薬剤の投与など、一定の医療行為を行うために医師の指示を要請すること。
約10日間にわたり指示要請が拒否され、その間、3件の救急搬送で別の病院の医師に指示要請し
直したということです。
なぜ、こうした事態が起きたのでしょうかー。
鳥取県立中央病院 廣岡保明 院長
「 東部地区MC(メディカルコントロール)会長が、県プロトコルで運用するとメールで伝達
したことから、県のプロトコルは 現状に合った内容ではないと、医学的観点から責任が取れない、
責任問題もあることで、指示要請を拒否したものであります 」
プロトコルとは、救急救命士が処置を行うための手順書のこと。修正を重ねてきた東部地区の
手順書ではなく、改訂が不十分だと判断した県の手順書に従うことで、医療事故が起きた際に
医師の責任が問われることを問題視した対応だったとしています。
ただ、こうしたメールを 小林センター長が送っていたことを 院長は事前に知らされて
いなかったと言います。
鳥取県立中央病院 廣岡保明 院長
「 私も対応したのですが、改善が見られず 10日間も そういった状況が続いてしまったこと。
これは 私の能力不足、いわゆる 院長としてのガバメントができていないということに尽きる
と思います 」
一方、問題となっているのが、県立中央病院の医師などによるパワハラです。複数の関係者から
入手した調査書。 東部消防が救急隊員などへの聞き取りを行い、病院側のハラスメントについて
まとめたものです。 調査書には、「 目も合わせず無視 」「 一方的に電話切断される 」といった
意見が記されています。
鳥取県立中央病院 廣岡保明 院長
「 以前にも 消防からなんとかしてよ という依頼があったので、その都度 注意は 実は 私の口
から 直接していたんですけど、なかなか改善が見込めないということで、もし 同じようなこと
をしたら それは 業務命令違反になるので 懲戒処分に該当しますよと、そういったことをして
いかないといけないかなと考えています 」
こうしたことを受け、院内に ハラスメント連絡会を設置。 聞き取りの結果、救急医1人を
ハラスメント認定したことを明らかにしました。
一連の問題で 明らかとなった県立中央病院と消防との溝。11日の定例会見で、鳥取県の
平井知事はー。
鳥取県 平井伸治 知事
「 いろんな行き違いがあったのだろう とは思うんですけれども、非常に残念な事態だと
言うふうに申し上げなければいけないと思います。優先されるべきなのは、やはりワンチーム
で救急隊員や医療機関などが一緒に行動できる、そういう環境づくりだと思います 」
今後は、組織的な体制作りのほかに、業務命令違反の際は厳正に処罰していく、ということです。
県民の命を守るための救急医療、病院と消防が緊密な連携をとり、高い水準の医療が提供できる
環境づくりが急務です。