コモンエイジ:「消滅可能性都市」1000超に拡大も 政府に増田元総務相が苦言
2023/12/31 毎日新聞
元総務相の増田寛也・日本郵政社長は、人口減少問題に警鐘を鳴らした「増田リポート」の発表
から 10年となるのを受け、毎日新聞のインタビューに応じた。
この間の政府の地方創生の取り組みは「十分な効果を上げなかった」と指摘。 将来的に「消滅」の
恐れがある自治体数は、10年前の試算(896自治体)より増え、1000超に拡大している可能性が
あるとの厳しい見方を示した。
増田氏が 座長を務めた政策提言機関「日本創成会議」の分科会は 2014年、若年女性(20~39歳)
の人口が 10年から40年までの30年間で 半分以下に減る自治体を「消滅可能性都市」として、
896の市区町村名を公表。この年代の女性による出産が大半であることに着目した独自推計で、
「増田リポート」は 当時の安倍晋三政権が 地方創生に取り組むきっかけにもなった。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が 12月22日に公表した地域別将来推計人口では、
50年の総人口は 東京都を除く すべての道府県で 20年を下回り、
市区町村の約2割は 20年比で人口が5割以上減るとの結果だった。
2050年の人口、11県で3割減予測 25道県で高齢者4割に
増田氏は「 2割もの自治体で 30年間で人口が半分未満になるというのは、大変恐ろしいことだ 」
と指摘。社人研の最新の推計を基に、消滅可能性都市を試算し直し、新たな提言を出す考えを示した。
政府の「 異次元の少子化対策 」の財源については、岸田文雄首相が「 実質的な負担を生じさせ
ない 」と主張していることに対し「『将来の子どもたちのために 負担をお願いする』と真正面から
言ったほうが(国民に)伝わったのではないか 」と提起。
外国人政策についても「 真正面から移民政策について議論すべきだ 」と語った。【横田愛】
基礎自治体 | 2018年10月1日 | (1999年3月31日) | ||
---|---|---|---|---|
市 | 792 | (670) | ||
町 | 743 | (1,994) | ||
村 | 183* | (568) | ||
市町村計 | 1,718 | (3,232) | ||
特別区 | 23 | (23) | ||
総計 | 1,741 | (3,255) |
* ロシアが実効支配している北方領土
に属する色丹村、泊村、留夜別村、留別村、紗那村、蘂取村の6村は含まない。
コモンエイジ:人口減少「無策」の10年「政治の責任だ」 増田元総務相
2023/12/31 毎日新聞
「 警鐘 」は 結局、生かされなかった――。
人口減少で 日本の市区町村の約半数が 2040年までに「消滅」する可能性があるとした増田寛也
元総務相(現日本郵政社長)による「増田リポート」の公表から10年。
足元では 出生率低下が 一層進み、人手不足で社会がきしむ。増田氏は毎日新聞のインタビューで
「 政府に 本気で取り組む覚悟が欠けていた 」と厳しく指摘。国の地方創生のあり方を見直すべき
時期に来ていると強調した。【聞き手・横田愛、原田啓之】
―― 23年末に国の研究機関が公表した地域別将来推計人口では、今後も 東京一極集中が
より深刻化する見通しが示されました。政府が「地方創生」を始めて 10年。政策の評価は。
◆政策が十分な効果を上げなかったことが、今回の推計結果に厳然と出てきていると思います。
データから見えるのは 地域の二極化です。東北北部の3県(青森、秋田、岩手)などで
人口減少が一層加速する一方、おそらく 外国人増加の影響でしょうが、予想ほど減りが大きくない
自治体もある。日本全体で 地域の分断、分裂が より進むことが懸念されます。
―― 何が足りなかったのでしょうか。
◆人口減少の要因は、出生数が 死亡数を下回る「自然減」と、ある地域で 転出が転入を上回る
「社会減」に分けて考える必要があります。このうち 社会減に当たる、若年人口の地域からの流出
に対する取り組みが不十分で、当事者に対策が届かなかったことが、今の状況を招いています。
政府は 地方での仕事づくりに取り組み、就業率は 全体として上がりましたが、中身を見ると
女性や高齢者は 非正規が多く、正規雇用の拡大は 十分ではありません。
男性は 一度東京に出ても、30代ぐらいで故郷に戻るケースが結構ありますが、女性は 一度出ると
ほとんど戻らない。東京に出た女性へのアンケートから浮かび上がるのは…