CLO市場、地銀含め日本勢に期待-米銀敬遠後の生命線に

           2023年4月20日     Bloomberg

 米国のローン担保証券(CLO)を組成・販売するマネジャーらは、有力投資家である日本の銀行

に これまで以上に期待している。

  1兆3000億ドル(約175兆円)規模のCLO市場で、日本の大手銀行や保険会社と共に 重要な

買い手となっているのが 地方銀行だ。米国勢の一部が敬遠している CLO市場で、日本の投資家は

発行体の生命線となっている。

 

  住友生命保険は CLOの買い増しを検討。昨年 手控えていた農林中央金庫は 再びCLO投資を

探っている。また 事情に詳しい関係者によると、複数の地銀が 一部案件の最上級部分全てを 購入

するため協力している。

                     農林中金がCLO購入の再開を計画、英年金混乱受けた停止後-関係者

  購入の理由は 高利回りだ。「AAA」級格付けCLOの流通市場での利回りは 5.8%前後と

米5年国債の3.7%より高い。外債に投資する日本の投資家は、上昇するヘッジコストをカバーする

ためにも 高めのリターンを必要としている。

 

   ある推計によれば、日本勢は 最上級格付けCLOの2割程度を保有している。これに対し 米国の

銀行は、預金流出や資本要件の強化で CLO投資を控えている。多くの米銀は レバレッジドローン

をパッケージしたCLOへの投資で リスクを取ることに及び腰だ。

 

 CLOを組成し販売するベネフィット・ストリート・パートナーズのマネジングディレクターで

CLOプラットフォーム共同責任者、ビンセント・ポンプリアノ氏は、日本の地銀向けに「 優良な

CLOマネジャーが AAAトランシュを全て発行した例が最近あった 」とし、「 米銀など CLO投資

に消極的になった投資家の穴を埋めるのに役立った 」と説明した。

 

日銀の警告

 日本の投資家は 以前からCLO市場の重要なプレーヤーだ。SMBC日興証券によれば、農林中金

は 昨年9月末時点で 世界2位の買い手だった。日本勢のCLO保有拡大を受けて 2019年には

日本銀行が 世界の景気悪化による価格下落の可能性について警告したこともあった。

だが、米リセッション(景気後退)懸念の中でも 日本の銀行と保険会社は CLO投資を継続している。

 住友生命の菅野航太・運用企画部運用戦略室長は「 変動金利の CLOアセットは有益な投資対象

なので 収益の向上と安定化のため 」4月以降も「 積み増す方向で考えている。従来は AAAのみ

だったが スプレッドが一時期に比べて縮小してるので 一部AAとかAとかのトランシュにも投資

している 」と語った。

 

   昨年は 日本勢にとってのドルヘッジコストが 5%超に上昇し、外債投資のリターンが浸食された。

その中で、CLOには 妙味があった。

ブルームバーグがまとめたデータによると、Aクラス格付けのCLOの利回りは7%に近く、

菅野氏のように より大きなリスクを取る用意があれば 高いリターンが望める。

 モルガン・スタンレーのチャーリー・ウー氏らストラテジストは 今月のリポートで、

「 ヘッジ後でも 米国と欧州のAAAクラスCLOの利回りは 日本の投資家にとって魅力的だ 」

と指摘。同社は CLOの最上級トランシュの約20%を 日本勢が保有していると推計している。

 

 事情に詳しい関係者は2月時点で、農林中金が 昨年の手控え後 CLO購入再開を計画している

と明らかにしていた。

                  ウォール街からあぜ道へ、CLO市場の「クジラ」農林中金が原点回帰

農林中金の広報担当者は 同行の投資の基本コンセプトは「 国際分散投資 」であり、全体として

リスクバランスの取れたポートフォリオ構築を目指しており、CLOについても クレジット資産の

一つとして、投資対象に含めていくことに変わりはなく、基本的な投資スタンスに変更はない

と述べた。

 ゆうちょ銀行の広報担当者は、格付けが高いCLOへの投資を続けると、詳細には触れずに話した。 

 関係者が 匿名を条件に19日語ったところによれば、地銀1行が CLO購入を増やすことを 計画

している。

 

リスクと魅力

 価格自体も 必ずしも足元ではないが、下がったり乱高下してたりもするので注視する必要がある

と日本の金融庁当局者が 18日、電話で述べた。

 

 米銀が 資本要件を満たすために購入を減らしたことや ローン市場が二分化したことで、一部の

CLOマネジャーは 販売に苦戦している。ブルームバーグがまとめたデータによると、米国での

今年これまでの発行高は 前年同期比で1%余り減少した。

 

  こうした環境の中で、日本の買い手ヘの期待は強い。

SMBC日興証券の宮坂知宏チーフ証券化アナリストは、日本の投資家にとって CLOは「 変動金利が

魅力的であり安定して 利ざやを取れる数少ない債券 」だと述べた。

 

      みずほリサーチ&テクノロジーズ            2023年1月4日

    金融環境の引き締まりで債務不履行が増加へ ─ 米国レバレッジド・ローンのデフォルト率を試算

 

     ゆうちょ銀、6月末の国債保有比率は16.6% CLOは増加

                          2023/8/10    

     [東京 10日 ロイター] - 日本郵政グループが10日発表した2023年4―6月期決算によると、

  ゆうちょ銀行国債保有残高は 6月末時点で 37兆6555億円、運用資産に占める割合は

      16.6%で 3月末からやや減少した。償還・売却額対比で 投資額が下回ったこともあり、

      前年度末と比較して減少したという。

         法人向けローン証券化商品(CLO)への投資は 昨年3月末時点から 1029億円増加した。

      6月末の運用資産額は 226兆7873億円。3月末の 226兆3804億円から4068億円増えた。

      6月末時点のCLOへの投資(取得原価)は 2兆4289億円で、3月末の 2兆3260億円と

      比べ増加した。

          かんぽ生命国債保有額は 37兆2600億円と、3月末の37兆1146億円から

      1454億円増加した。運用資産に占める割合は 59.5%となった。

 

 

地域金融機関、公庫CLOローン広がる 過去最多45先の見通し

                        2023.08.12      ニッキンONLINE

 

     日本政策金融公庫貸付債権担保証券(CLO)ローンに参加する地域金融機関数が、

 2023年度は 過去最多となる。足元では、22年度の39機関を上回る40機関となっており、

 最終的には 約45機関まで増える見通し。実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資の返済開始が

 本格化するのを受けて、「リスクヘッジしながら資金繰り支援が可能なCLOローンの利用ニーズが...

 

 

  中小企業者向け CLOローンの今年度募集を開始

             2023/8/1   日本政策金融公庫

   日本政策金融公庫(略称:日本公庫)中小企業事業は、地域経済活性化の担い手となる

  中小企業者に対する無担保資金の供給円滑化のため、本日(8月1日)、地域金融機関を通じ、

  CLO(貸付債権担保証券)ローンの募集を開始しました。・・・

 

 

 ぬか喜びのウォール街-195兆円規模のCLO市場縮小、経済にも影響

                   2023年10月23日    Bloomberg