5類移行後もコロナ報道が続くことに疑問 日米の違いで女医が気づいたこと
ちょっとだけ医見手帖(山本佳奈医師)
2023/05/17 AERA dot.
世界保健機関(WHO)は 5月5日、新型コロナウイルスに関する「 国際的に懸念される公衆衛生
の緊急事態 」の宣言を終了することを発表しました。 テドロス事務局長は 同日の会見で、
新型コロナについて 「 新型コロナウイルスが もう世界的な脅威ではない、という意味ではない。
新型コロナ感染症は、緊急事態から他の感染症と同様に流行を制御し管理する時期がきた 」
と述べたといいます。
「コロナパンデミック」は、3年3カ月で終了を迎えたことになりますが、パンデミックの起源
に関する最終的な結論は 依然として出ていません。しかしながら、今年の3月中旬、2020年の
中国武漢の動物売り場や排水溝、屋台、市場の地面などで採取された検体からの遺伝子データが
中国の科学者によって データベースに一時的にアップロードされたようです。
束の間ではありましたが、情報へのアクセスが可能となった結果、多くの研究者が それらの情報
を入手することができたといいます。
これまでの調査報告によると、新型コロナウイルスの起源は おそらくコウモリから発生したので
あろうことが言われていました。しかし、今回一時的にアクセス可能となったことで判明した
ウイルス配列やゲノム情報を解析した研究によると、新型コロナウイルスのパンデミック初期の
データは、人間に到達する新型コロナウイルスにおける タヌキの役割を示唆することを含む、その
起源に関する 新たな情報を提供するものであったといいます。
さて、日本でも GW明けの5月8日に、新型コロナウイルス感染症における感染症法上の分類が
「2類相当」から「5類」に移行されました。分類の移行に伴い、新型コロナウイルス感染症は
「 感染した時の重篤化など危険性が高い感染症 」から「 一般的な感染症の一つ 」として認識される
ことになり、感染対策などは 個人や事業者の判断に委ねられることになりました。
都内に住む友人からは、「 やっとマスクを外せるようになって嬉しい 」という連絡が舞い込んで
きました。その友人は、GWには 両親の住む中国にも 一時帰国できたようで、「 やっと これまで
のように行き来ができるようになった 」 と、とても喜んでいました。「 いつ両親に会えるか
分からない、もう会えないかもしれない…… 」という不安に押しつぶされそうになり、一時は食事も
通らなくなってしまったほど 落ち込み苦しんでいた彼女でしたが、すっかり元気になっている様子に
私も嬉しくなった出来事でした。
私が 昨年末から長期滞在している米国でも 5月11日、2020年1月に出された新型 コロナウイルス 感染症
に対する公衆衛生上の緊急事態宣言が終了しました。それに伴い 新型コロナウイルス対策チームも
解散されています。空路で入国する外国人に求められていた 入国制限であるワクチン接種証明書の
提示義務も撤廃され、5月12日から ワクチン接種証明書の提示も不要となりました。
「 日本のように、きっと アメリカでもコロナの緊急事態宣言の終了が トップニュースになる
のだろう 」 そう思っていた私の予想は 大幅に外れ、コロナの公衆衛生上の緊急事態宣言が終了した
ことは 私が見ていたニュース番組では触れられることはありませんでした。
その日のニュース番組で扱われる報道の中心は、5月11日米国東部夏時間午後11時59分で失効
した「タイトル42」と呼ばれる 不法移民希望者の流入制限措置に関するものだったのです。
「タイトル42」とは、2020年3月、トランプ前大統領が 大統領令で公衆衛生法に則って不法越境者
を即刻追放する政策として導入したものであり、77年前に制定された公衆衛生法の条項で「 伝染病を
持つ可能性のある国からの米国入国を阻止することができる 」ということから、新型コロナウイルス の
感染拡大を理由に、不法越境者を 即時にメキシコに追い返す法的根拠となっていたといいます。
恥ずかしながら、 私は この報道をもって、「タイトル42」と呼ばれる不法移民希望者の
流入制限措置が導入されていたことを知りました。日本の報道を見る限り、地震や強盗、殺人事件
など日々のニュースに加えて、コロナの感染症上の分類が変わって 生活はどう変わるか、といった
ことなど、コロナに関するニュースが 依然として多く報道されているように感じますが、アメリカ
では そういった報道は 私が知る限り無く、移民問題や銃、差別問題や債務上限問題、金利引き上げ
など、コロナ以外の問題が大半であり、コロナだけが問題ではないことを 日々気づかせてくれている
ような気がしてなりません。
さて、WHOで緊急事態対応を統括しているマイク・ライアン氏は「 コロナの緊急事態は終わった
かもしれないが、脅威は まだそこにある。新型コロナウイルスは 今後も感染し続ける。これが
パンデミックの歴史だ。ほとんどの場合、パンデミックは 次のパンデミックが始まった時に本当に
終息する。」といいます。次のパンデミックは起きてほしくない と、願うばかりです。
2023/06/07 AERA dot.
新型コロナワクチン接種後の副反応に関する厚生労働省の調査結果が公表された⊛。
厚労省のHPから見つけることができなかった。
この記事が言っているのは、もしかすると ↓ だろうか?
厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)
「40代女性」の受診が 最多だった理由や、留意すべき点とは。AERA 2023年6月12日号より
紹介する。
【グラフ】コロナワクチン接種後の副反応に男女の性差がみられた
厚生労働省が4月に公表したのは、新型コロナワクチンの副反応が疑われる事例を含む、接種後
に長引く症状(後遺症)に関する調査結果だ。概要は こうだ。
医師から寄せられた回答は 2021年2月~22年5月に受診した119人分。
このうち、42.9%(51人)は 基礎疾患があった。 受診のきっかけになった主な症状は、37度以上
の発熱(28人)、疼痛(とうつう)(13人)、倦怠(けんたい)感(12人)、頭痛(11人)、
関節痛(9人)など。医療機関から報告された確定病名は、予防接種副反応(54人)、アナフィラキシー(4人)
など多様だった。
■欧米では性差なかった
一方で、見逃せない特徴が浮かんだ。性差だ。
男性 34.5%(41人)に対し、女性は 65.5%(78人)。中でも、40代女性(22人)の受診が最多、
次いで 50代女性(13人)だった。
この結果について「予想通りの展開」と話すのは 医療ガバナンス研究所の上昌広理事長だ。
どういうことなのか。同研究所が 22年3月に発表した、厚労省の副反応情報の分析結果と符合する
面があるという。それによると、接種後1週間以内は 女性の死亡率が高く、2週間以降になると男性
の方が高くなっていた。 なぜか。男性より 女性の平均寿命が長いため、時間の経過に伴って 男性の
死亡者が多くなるのは必然。問題は 接種間もない時期に 女性の死亡率が高い要因だ。
上さんは言う。 「 コロナワクチンが 致死的な副反応を起こすリスクがあるとすれば、男性よりも
女性の頻度が高い仮説が成り立ちます 」
一方、米国や欧州のワクチンデータベース解析では、こうした性差は検出されなかった。
欧米女性は 一般的に日本人女性より大柄なため、体重あたりの投与量が少ないからではないか、
と上さんらは推測する。
ファイザー製ワクチンの投与量は、アジア諸国が参加していない 国際共同第一相臨床試験に
基づいて設定されている。この試験では、発熱や倦怠感といった副反応は 用量が増えるほど増加。
つまり、投与量を増やすほど 副反応は強くなる。だが、世界各国が承認した投与量は 人種、性別、
体重にかかわらず、1回あたり 30マイクログラム。小柄な人ほど 副反応が強くなる可能性がある、
と上さんは言う。
「 日本人の成人女性の平均体重は 約50キロ。一方、日本人男性の平均体重は 約70キロ、
米国人男性は 約90キロです。日本人女性は 米国人男性の 1.8倍のワクチンが投与されている
と考えることもできます 」
【ご注意ください】
・新型コロナワクチンの情報については、科学的根拠や信頼できる情報源に基づいていない
不正確なものがあり、注意が必要です。ワクチンの接種のメリットが、副反応などのリスク
より大きい⊛ため、接種をおすすめしています。詳しくは こちらをご覧ください。
・厚生労働省では、医師から副反応を疑って報告された事例を、透明性をもって全て公開
しています。詳しくはこのページをご覧ください。
⊛ 誰にとって、メリットが リスクより大きいのか?
メリットは 何で、リスクは 何か?
――― こうしたことを、厚労省は アナウンスしただろうか?
合掌