新型コロナで緊急事態宣言を可能に

政府、特措法改正案を閣議決定、担当相「専門家の意見聞き、適切に判断」

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                                                                          2020年3月10日

 政府は 3月10日の閣議で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大した場合に緊急事態宣言を

出すことができるようになる 新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案を決定した。 10日に 国会へ

提出し、13日の成立を目指す。

 住民の外出やイベントを制限できるほか、医療機関が足りなくなった場合には 臨時の施設を造るために

土地を収用することもできる。改正案を担当する 経済財政再生担当相の西村康稔氏は閣議後の記者会見

で、緊急事態宣言について 「 専門家の意見をうかがい、私権の制限に十分配慮して,適切に判断が行われる

ようにしていきたい。私としては 伝家の宝刀であり続けてほしい 」と述べ、慎重に運用する姿勢を強調した。

 

 従来の新型インフル特措法は、新型インフルエンザ や 再興型インフルエンザ、新感染症のみを適用範囲

としており、政府は、指定感染症である COVID-19は適用対象外との解釈を示していた。

今回の改正案は、COVID-19の患者数が全国的に拡大し、「 国民の生命および健康に重大な影響を与える

ことが懸念される状況 」(西村氏)となっていることから、COVID-19を 暫定的に新型インフル特措法の対象

とみなすものだ。

 新型インフル特措法の適用対象となることで、専門家で作る基本的対処等諮問委員会が 国内外の臨床例

分析し、重症症例が 通常のインフルエンザと比べて 相当程度高いと判断した場合には、首相が「緊急事態宣言」

を出し、区域や期間を指定して、私権の制限を含めた強い措置を講じることができる。

 

早期成立目指す

 西村経済財政・再生相は 「 今が まさにこの感染症を収束させる上で大変大事な時期だ。国民生活や経済

に及ぼす影響を最小化するために、本法案の早期成立を期したい 」と述べた。与党や主要野党は感染拡大

を防ぐため、改正案成立へ協力する姿勢を示しているが、緊急事態宣言による 私権の制限に対する懸念も

根強く、一部修正や付帯決議を求める可能性がある。

 そうした懸念に対し、西村経済財政・再生相は、緊急事態の宣言に当たっては 「 国民の生命および健康に

著しく重大な被害を与える恐れがある 新型インフルエンザ等が国内で発生し、そして その全国的かつ急速な

蔓延によって、国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼし、または その恐れがある事態が発生したと

認めるとき 」という厳格な要件が 新型インフル特措法にあることを説明した上で、「 国民の自由と権利を

尊重する観点から、私権の制限は 新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものでなければ

ならない 」という規定があることを強調。

 具体的に どういった状況になれば 緊急事態宣言を検討するのか問われ、「 なかなか定量的に示すのは

難しいが、感染の状況を含めて、いろいろなデータを見て、総合的に判断していく。専門家の見解をしっかり

と聞いて、適切に判断していく 」と述べた。

 

官房長官「現時点で緊急事態宣言出す状況ではない」

  菅官房長官は 閣議後の記者会見で「 現時点においては 直ちに緊急事態宣言を出すような状況にはない 」

との認識を示した。

 厚生労働相の加藤勝信氏は 閣議後記者会見で、緊急事態宣言について「 国内と海外の状況、WHOが

全体に対して どういった判断をしているかも踏まえて 諮問委員会の判断をいただくことになる。必要な材料、

情報は しっかり収集していきたい 」と述べた。

 

 

平成二十四年法律第三十一号
新型インフルエンザ等対策特別措置法