平成十年法律第百十四号     e-Gov法令検索
    感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 
 
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、感染症の予防及び感染症の患者に対する 医療に関し必要な措置を定めることにより、
   感染症の発生を予防し、及び そのまん延の防止を図り、もって公衆衛生の向上及び増進を図ることを
   目的とする。
(基本理念)
第二条 感染症の発生の予防 及び そのまん延の防止を目的として 国及び地方公共団体が講ずる施策は、
   これらを目的とする施策に関する国際的動向を踏まえつつ、保健医療を取り巻く環境の変化、国際交流
   の進展等に即応し、新感染症その他の感染症に迅速かつ適確に対応することができるよう、感染症の
   患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者の人権を尊重しつつ、総合的かつ計画的に推進
   されることを基本理念とする。
(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じた感染症に関する正しい知識の普及、感染症
   に関する情報の収集、整理、分析及び提供、感染症に関する研究の推進、病原体等の検査能力の向上
   並びに 感染症の予防に係る人材の養成 及び資質の向上を図るとともに、社会福祉等の関連施策との
   有機的な連携に配慮しつつ 感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるように 必要な措置を
   講ずるよう努めなければならない。この場合において、国 及び地方公共団体は、感染症の患者等の
   人権を尊重しなければならない。
 2  国 及び地方公共団体は、地域の特性に配慮しつつ、感染症の予防に関する施策が総合的かつ迅速に
   実施されるよう、相互に連携を図らなければならない。
 3  国は、感染症 及び 病原体等に関する情報の収集 及び 研究 並びに 感染症に係る医療のための医薬品
   の研究開発の推進、病原体等の検査の実施等を図るための体制を整備し、国際的な連携を確保するよう
   努めるとともに、地方公共団体に対し 前二項の責務が十分に果たされるように 必要な技術的 及び財政
   的援助を与えることに努めなければならない。
(国民の責務)
第四条 国民は、感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、
   感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない。
 
  ・・・
(定義等)
第六条 この法律において 「感染症」とは、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類
   感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症 及び 新感染症をいう。
  ・・・
  3 この法律において「二類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
    一 急性灰白髄炎  二 結核   三 ジフテリア
    四 重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。
    五 中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。)
    六 鳥インフルエンザ
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   8 この法律において「指定感染症」とは、既に知られている感染性の疾病( 一類感染症、二類感染症、
    三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症を除く。 )であって、第三章から第七章までの規定の全部 又は
    一部を準用しなければ、当該疾病の蔓延により 国民の生命 及び健康に重大な影響を与えるおそれが
    あるものとして政令で定めるものをいう。
  9  この法律において「新感染症」とは、人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られている
    感染性の疾病とその病状 又は 治療の結果が明らかに異なるもので、当該疾病にかかった場合の病状
    の程度が重篤であり、かつ、当該疾病の蔓延により 国民の生命 及び健康に重大な影響を与えるおそれ
    があると認められるものをいう。
  10 この法律において「疑似症患者」とは、感染症の疑似症を呈している者をいう。
  11 この法律において「無症状病原体保有者」とは、感染症の病原体を保有している者であって当該
    感染症の症状を呈していないものをいう。
  12 この法律において「感染症指定医療機関」とは、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療
    機関、第二種感染症指定医療機関 及び結核指定医療機関をいう。
  13 この法律において「特定感染症指定医療機関」とは、新感染症の所見がある者 又は一類感染症、
    二類感染症 若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当させる医療機関として厚生労働大臣
    が指定した病院をいう。
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  15 この法律において「第二種感染症指定医療機関」とは、二類感染症 又は 新型インフルエンザ等感染症
    の患者の入院を担当させる医療機関として 都道府県知事が指定した病院をいう。
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  19 この法律において「特定病原体等」とは、一種病原体等、二種病原体等、三種病原体等及び四種
    病原体等をいう。
  ・・・
  21 この法律において「二種病原体等」とは、次に掲げる病原体等( 医薬品等であって、人を発病させる
    おそれがほとんどないものとして 厚生労働大臣が指定するものを除く。 )をいう。
    一 エルシニア属ペスティス(別名ペスト菌)  二 クロストリジウム属ボツリヌム(別名ボツリヌス菌)
    三 ベータコロナウイルス属SARSコロナウイルス  四 バシラス属アントラシス(別名炭疽菌)
    五、 六 略
    七 前各号に掲げるもののほか、前各号に掲げるものと同程度に病原性を有し、国民の生命及び健康
    に重大な影響を与えるおそれがある病原体等として政令で定めるもの
 
  23 この法律において「四種病原体等」とは、次に掲げる病原体等( 医薬品等であって、人を発病させる
    おそれがほとんどないものとして厚生労働大臣が指定するものを除く。 )をいう。
    一 インフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルス(血清亜型が政令で定めるものであるもの
      (新型インフルエンザ等感染症の病原体を除く。又は 新型インフルエンザ等感染症の病原体に限る。)