先日掲載の 「武田教授が明かす、個人レベルの節約が環境破壊を早めている証拠」では、

節約しているという人は、実は エネルギーを2倍消費している 」と断言した中部大学教授

の 武田邦彦 さん。今回 武田さんはメルマガ 『 武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない

真実」 』で、自身の研究により明らかになった数々の「環境問題のウソ」を 改めて明らかに

するともに、 「 リサイクルを実施した方が 資源をより多く使うことになる 」といった真実が

伝えられない理由を記しています。

 

どうなったゴミ問題。
     「あと8年で廃棄物貯蔵所が溢れる」に踊らされた人々
 

 1990年、バブルの崩壊とともに 環境問題が 日本社会の大きな話題になった。その原因は、

不思議なことに 環境が悪化していたのではなく、将来、悪化するだろう ということだった。

このまま進めば、ゴミは 8年後にあふれダイオキシンで 多くの人が死に環境ホルモンで

男性が女性化し石油が枯渇し、そして 温暖化ガスで 地球に住めなくなる

というものだった。

 その頃、ちょうど 筆者は 大学に移った時で、リサイクルにしても ダイオキシンにしても

すべて科学的な課題だったので、一つ一つ、計算したり 調査をしたりした。

リサイクルは 有効なのか、ダイオキシンは 毒物なのか、環境ホルモンというのは 存在する

のか、石油は 枯渇するか、さらに温暖化するのか、などを科学的に研究した。

 

 その結果、

リサイクル は 天然資源を使うのに比較して 最低でも 3.5倍の資源を使う ( リサイクルすればするほど 

資源の枯渇が早くなる )、 ダイオキシン は ほぼ毒性がない、 環境 ホルモン はでっち上げである

石油は 約4000年分ぐらいある、そして 温暖化は 今でも 議論がなくならない

 

 しかし、日本社会の多くの人は 環境問題が本当であり、取り組むべきと考え、政府は

膨大な予算を投入し、大学の研究ですら 環境問題が主力になった。ちょうど、タイミングが

悪かったこともあった。 1990年から 「役に立つ研究」が叫ばれ、 政府が気に入る研究しか

できなくなった (見かけ上は 東大の先生が研究テーマを選定したが、実際は官僚が決めて

いた)。御用学者が 激増し、朝日新聞は 途中で寝がえり、NHKは 毎日のように放送し、

時には ヤラセをやった

 

 日本の学者のモラル不足と学力不足が重なった。ゴミ問題では 学者が「 あと8年で廃棄物

貯蔵所が溢れる 」という計算結果を出し、マスコミは そのまま報道した。当時、筆者が同じ

計算をしたら 150年程度は持つという結果になった。これは モラル不足の例であった。

 

日本人は金になるのであれば
  誠実さや礼節を捨て去る民族に成り下がったのか
 

 リサイクルが 資源の節約になるか を筆者が計算したら逆になった。でも 多くの廃棄物の

専門家は リサイクルは資源の節約になると発表した。 これは エントロピー計算や資源の

本質を知らない学者の学力不足だった。

 ダイオキシンは データがないのにあるようなウソをついた例であり、 環境ホルモンは

科学研究の経験のないアメリカの女性学者の妄想だった。石油の枯渇は 石油価格を高く

維持したい欧米の石油会社の推定を マスコミが取り上げ、資源は まだあると発言する学者

を 「モラルが足りない」と道徳的に批判した。

 

 その頃、筆者は 「 環境問題は 科学の問題である。もし 問題があれば 科学的に正しい

方法で防ぐ必要がある。ケガをして血を流しているといっても、腕から血が出ているのに

脚に包帯を巻いてもダメだ 」と言い、懸命に 本を書いて科学的結論を社会に訴えたが、

1:300 と言われ、反対勢力に押されて潰されてしまった。

  当時、地上波の有名キャスターが、筆者が 私立大学の教授だったこともあり、「 私立の

先生が売名のためにおかしなことを言っている 」と朝の番組で名指しで批判した。

学問的な反論が許されない社会の雰囲気だった。

 

 筆者はと言えば、

中心的に活動していた高分子学会で、「 リサイクルをした方が 資源を多く使う 」という学術発表

発表名はもっと学術的だが )をしたら 会場から「売国奴!」と罵倒され、 学会の持続性社会

特集号に「 高分子では 持続性社会は自動的に達成される 」という趣旨の論文を提出しら、

「 持続性社会が破綻するという内容の論文しか受理しない 」とされた。  資源系の学会では 筆者の「 石油は枯渇しない 」という発表に対し、座長が 「 この発表では質疑応答はしませ

ん。次の方 」という方法をとって 学会の議論を封殺した。

 

 2001年、東大医学部の教授だった和田先生は 学士会報に 「ダイオキシンが猛毒という

間違いは 科学が社会に負けた例である 」という趣旨の論文を書かれた。

 科学的には 猛毒ではない ダイオキシン を猛毒にし、それを 御用学者とマスコミが支援して

猛毒になり、さらに 『ダイオキシンの夏』という映画が作られ、文部省推薦になって小学校など

で放映された

 

  まるで ナチスの時の民族論文(ユダヤ人排斥)やスターリン時代のソ連のようだ。それが

30年間にわたり 日本を席巻したのだから、社会の道徳が廃れ、科学は衰退し、会社では

不祥事が連発するはずである。 真面目で正直で努力する日本の学会は 社会的な圧力で

崩壊してしまった。

 

 学問を尊敬し、世界でも まれに見る 真面目さを持っていた日本社会は どうしてしまった

のだろうか? お金になると思えば、学問も、誠実も、礼儀も、環境も、日本の将来も すべて

捨て去る社会が平成の時代だった。日本人は これを真正面から考え、不真面目な泥沼から

立ち上がる必要がある。(メルマガより一部抜粋)

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MAG2 NEWS

 

 ◆ 歴史の転換点:グローバリズムの終焉

         ー  崩壊させられた平成の日本経済をケースに  ー
            山口 薫・国立アンカラ社会科学大学経済学部教授

      第1回公共貨幣講演  2019年5月11日

             https://www.youtube.com/watch?v=P-NLqh_bgmQ

    第2回公共貨幣講演会 from アンカラ 2019年5月18日

     https://www.youtube.com/watch?v=NhWPn9b_JcY

       第1部「 MMT(現代貨幣理論)の批判的活用で、公共貨幣を実現しよう」

        第2部「 『公共貨幣で新国生み」イニシアティブをシステム思考する」