6年前の動画ですが、
今も そのまま、否、今は さらに 事態は重篤になったようです。
 近代国民国家は、このように 内部に恐ろしく腐敗が進行しており、
総体的な崩壊を待つしかないかのように思われます。
 
 こうした事態に対して、
我々は どう向き合うべきか といった議論が、ここではなされています。
郷原氏の最後の言葉は、その余韻が ずっしりと 私の胸に残ります。

                         合掌

ニュース・コメンタリー (2013年09月28日)
大阪地検大坪元特捜部長ら二審も有罪
検察組織の病理を個人に押しつける判決

   ゲスト:郷原信郎氏(大坪弘道被告弁護人)



(動画に付されたコメント)

 検察は トカゲのしっぽ切りによって、自らの体質を改める機会をまたしても
逸してしまうのか。


 郵便不正事件の証拠品として押収した フロッピーディスク の日付を、捜査を担当
する前田恒彦元検事が改ざんしたと知りながら それを報告も捜査もしなかった
ことが 犯人隠避に当たるとして、一審で有罪判決を受けていた 大阪地検特捜部の
大坪弘道元部長
と、佐賀元明元副部長の控訴審判決が25日、大阪高裁で開かれ、
いずれも 懲役1年6月、執行猶予3年の一審判決が支持され、両被告の控訴は
棄却された。

 控訴審から弁護人に加わった元検事で弁護士の郷原信郎氏は、村木厚子氏の
冤罪を生んだ 郵便不正事件をめぐる捜査では、証拠を改ざんしてでも狙った標的
を犯人に仕立て上げてしまう検察の体質
が問われなければならないところを、
単に特捜部長と副部長のクビを差し出してお茶を濁すことで、検察の病理が温存
される
ことを危惧する
と語る。

裁判では 1月30日に前田元検事が佐賀副部長に電話をして証拠の改ざんを告白
した事実があったかなかったかに議論が終始し、郵便不正事件とはどんな事件で、
そこに 検察本体と特捜部がどのように関わったのか、証拠改ざん問題が明らかに
なった時の検察や大坪、佐賀両氏の対応がどうだったかなどの本質的な問題が、
議論の対象にならなかった と郷原氏は言う。

 田代元検事による虚偽捜査報告書作成事件など、あり得ないような劣化が
起きていることが 日に日に明らかになっている検察と、その体質を変えるために
必要な対応を取ることができない司法や政治の体たらく
について、ジャーナリストの
神保哲生と社会学者の宮台真司が、郷原氏と議論した。
  ※ 2011年12月15日の陸山会公判で、田代政弘検事が 石川議員取り調べに関し
 事実と異なる捜査報告書を作成し、その虚偽報告書が検察審査会に資料として提出
   http://shiminnokai.net/kokuhatsu2.html



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つづいて、翌年の動画。
(2014年9月6日)
元検事郷原信郎氏、
現職の美濃加茂市長を逮捕・起訴した検察を厳しく批判


 愛知県警と名古屋地検は、史上最年少の市長として 全国的に名を知られる
30歳の藤井浩人美濃加茂市長を収賄容疑で逮捕・起訴し、現職の市長ながら
62日間にわたって勾留した。

 しかし、藤井氏の主任弁護人に就いた郷原氏は、その容疑はあまりにも裏付け
が弱く、とてもではないが 現職の市長を逮捕、起訴することが正当化される類いの
ものではないと言い切る。

 警察・検察が描く事件の構図はこうだ。

 藤井市長が市議だった 2013年、氏の強い働きかけにより、藤井氏の出身中学校
に雨水濾過機設置が設置された。あくまで 社会実験ということで、市から料金の
支払いなどは行われていないが、それを納入した名古屋市の浄水設備業者「水源」
の中林正善社長は、それをモデル事業として提示することで、全国の自治体に
雨水濾過装置の営業をかけていたという。
 その中林社長が 2014年の2月と3月に別の詐欺容疑で逮捕され、その取り調べの
過程で 藤井市長に賄賂を渡していたと供述した。これを受けて 愛知県警・岐阜県警
による合同捜査本部は 藤井氏が市議時代に中林氏から現金30万円を2回に分けて
受け取った疑いがあるとして、事前収賄容疑などで逮捕した。
 藤井市長自身は 市の担当課長に 浄化設備の導入を促していたことなどは認めて
いるが、金銭の授受は 一切なかったと主張している。藤井氏自身が 東日本大震災で
被災地が水に困っている様を見て、雨水濾過装置は 非常時に市民の役に立つもの
と考え、その導入を積極的に働きかけたことは認めているので、この事件での 唯一
の争点は 金銭の授受の有無ということになる。

 しかし、そもそも 藤井氏に 30万円を渡した と主張している中林社長が、既に
2100万円の融資詐欺で起訴されている上に、郷原氏が検察から開示された証拠を
確認した結果、中林氏は 他にも愛知県の10金融機関から約4億円の融資詐欺を働いて
いたことを供述していることがわかったという。中林氏の融資詐欺については、
なぜか 2100万円分のみしか起訴されていないが、実は 中林氏は、藤井氏が関わった
美濃加茂市への濾過装置の導入を巡っても、融資詐欺を働いていたことがわかって
いる。濾過装置の導入が決まっていない段階で、教育委員会の文書を偽造するなど
して、4000万円を金融機関から騙し取っている と郷原氏は指摘するのだ。
 この事件は、そのような人物が 「市長にカネを渡した」と言っているというだけで、
現職の市長が逮捕されてしまった
わけだ。
 しかも、実は 賄賂を渡したとされる市議当時の藤井氏と中林社長との会食の場には
同席者がいて、その同席者が金銭の授受は無かった と明言している。その同席者は、
会食中、一切席を外していないと断言している というのだ。
 藤井市長は「 市のためになると思ったことを 市に働きかけるたびに、裏でカネが
動いているに違いないといった疑いをかけられるようになってしまえば、市議は 仕事が
できなくなる 」と、この事件で無罪を勝ち取ることの重要性を強調している。・・・・

 美濃加茂市長収賄事件の主任弁護人を務める郷原信郎氏と、美濃加茂市長収賄事件
の問題点と日本の刑事司法に蔓延る病理を議論した。




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          (2015年3月14日)
          何の証拠もない事件でも無罪を勝ち取るのは容易ではなかった
           

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後日談
2015年 3月 5日、一審の名古屋地裁:無罪。
     3月18日、名古屋地検、名古屋高裁に控訴
2016年11月28日、名古屋高裁、一審判決を破棄。
       懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金30万円の有罪判決。
         藤井は 即日上告。
2017年12月13日、最高裁第三小法廷は、藤井の上告を棄却。
         藤井の有罪確定。
       公職選挙法第99条の規定により公職(市長職)の当選効力を失う。
        これを受けて藤井は同日、「市政に混乱を来さないため」として辞職を表明。
    12月26日、最高裁第3小法廷は上告棄却に対する藤井の異議申し立てを退け、
       名古屋高裁判決が確定。


                               以上