デモクラシータイムス 【金子勝の言いたい放題】No3  20191126
賃金下落と年金財政破綻

  日本の
経済政策(経産省)と経済社会(経団連等)の崩壊 




上野宏史厚労政務官
(元経産官僚)
〇 「口利き」疑惑
(外国人在留資格認定証明書の交付をめぐる口利き疑惑)  
 秘書や仲介者との生々しい会話の音声も報道された。 
 上野氏は、2018年政務官に就任、2019年8月末 この疑惑が原因で辞任した。


〇 年金財政検証公表の恣意的先送り。
 安倍政権は、2019年6月に予定されていた「5年に一度 公的年金財政の健全性を
 チェックする財政検証」の公表を8月(参議院選後)まで先送りした。
 ・「老後の資金が2000万円必要」という金融庁審議会報告書で年金不安が高まり、
 財政検証の結果でも 将来の給付水準の低下が不可避であるため、7月の参院選への
 影響を避ける姑息な策だった。


 実質賃金の異常な下落が 猛烈な貧困と格差社会をもたらしている最大の原因。
消費税増税よりも、実質賃金の下落が問題。

 雇用の破壊・賃金の異常な下落
  正規労働 ――>非正規労働 ――>外国人労働

 企業が自社株を買ったり、内部留保をため込んだり、配当を増やしたりして、
 株価をあげ、賃金(労働分配率)を上げない。
 ――> 現場を大切に 地道に研究開発をして新しい製品を作るという
 従来の日本的経営が崩壊して、長期的戦略を立てる経営ではなく、
 株主を含めて企業経営者の株価が上がれば自分の利益になるという身勝手、
 「今だけ、金だけ、自分だけ」になっている。


 有効求人倍率:バブル期並み(1.8)超
 実質賃金:持続的に下落
 名目賃金:今年に入って下落

 ――― 人手不足なのに、賃金が上がらず 下がる
 なぜ?
 ◎ 有効求人倍率 ↑ の原因 : 大量の定年退職と少子化
 ◎ 実質賃金 ↓ の原因: 産業の衰退、世界に売れるものがない
  ――> 金融緩和による円安と人件費抑制で競争力維持のゴマカシ
 ◎ 必要なのは、新しい『産業』 と 地域分散型社会
  ――> 産業の支え手となる若者の教育機会の保障
      エネルギーの転換(原発・火力の寡占から再生・省エネへ)
      地域分散ネットワーク社会
 ◎ 対策を誤ると、実質賃金は上がらず デフレは止まらず・・・

  ※ 労働者派遣法 (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律)
    1986年(昭61)施行 7月 13業種、10月 16業種、96年12月(26業種) 中曽根内閣
     99年12月- 派遣業種の拡大(ポジティブリストからネガティブリストへ)  橋本内閣
    2004年 3月 物の製造業務の派遣解禁、紹介予定派遣の法制化  小泉内閣
      06年 3月 派遣受入期間の延長、派遣労働者の衛生や労働保険等への配慮  小泉内閣
      12年10月「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」へ題名改正
    派遣先や派遣会社に対し、労働契約申し込みみなし制度や、マージン率などの情報提供などが新たに
    課される事項として追加  野田内閣
      15年9月 「同上法律等の一部を改正する法律」成立、同日施行  安倍内閣
     労働者派遣の期間制限の見直し( 派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受け入れは 3年を
    上限とする。それを超えて受け入れるためには 過半数労働組合等からの意見聴取が必要となる。
    派遣先の同一組織単位(課)における同一の派遣労働者の受け入れは 3年を上限とする。 )、
    派遣労働者の派遣先の労働者との均衡待遇の推進、雇用安定措置の義務化、派遣労働者の
    キャリアアップ推進を法令化、労働者派遣事業の許可制への一本化などが新たに規定。


  ※ 入管難民法改正 2018(平30)年12月8日成立、19年4月1日施行
     外国人は一定の技能が必要な業務に就く特定技能1号 と 熟練技能が必要な業務に就く2号
    の在留資格で日本に在留できる。
    1号は 在留期限が通算5年で 家族帯同を認めないが、 2号は 期限の更新ができ、
    配偶者と子どもの帯同も可能。  
     技能実習制度と違いは、同一職種なら転職や移転があること。


  ※ 基礎的財政収支(プライマリー・バランス)とは、
    税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除く歳出
   との収支を表し、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等で どれだけ
   まかなえているかを示す指標


 賃金の下落 ―――> 年金財政の破綻

  ※ マクロ経済スライドってなに? 厚労省
https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/finance/popup1.html


      
  れいわ新選組へのメッセージ

 ① 格差の原因と産業衰退の原因が どこにあるかを分析
 ――― 最低賃金保障など、お金を配ることだけでなく、
  外国人労働者を規制する等、経済の根本構造にメスを入れる
 ② 何が一番 将来の不安をもたらし、何が一番 格差で深刻かを分析
 ――― 最低保障年金を確保
 ③ 賃金を上げるための産業政策が必要
   ※ 今、経産省は経済政策を 重厚長大型の古い産業を中心とする経団連と一緒に
   やっており、どうしても従来の企業を守る(既得権益擁護の)ための産業政策になってしまう。



              (未完成)