八ヶ岳に移住をして様々な苦楽を体験しているが、総じて思えば苦よりも楽が遥かに多い。つまり殆どが楽しい事ばかりだと言っても過言ではない。そんな多くの楽しみの一つに温泉がある。この辺りはフォッサマグナ、つまり大地溝帯の真上にあり、彼方此方から極めて上質の天然温泉が湧き出ている。
「パワースポットに行くとパワーがもらえる」などという仕掛けられた流行りがあるが、そもそも八ヶ岳山麓は、北に霊峰八ヶ岳、南は南アルプスの甲斐駒ケ岳~鳳凰三山、東は奥秩父の瑞牆山から金峰山、そして西は諏訪湖に至るまで広大なエリア全体がフォッサマグナの真上に位置し、広範囲にわたり物凄いパワースポットだということになる。
もしそうならば、我々を含めこの辺りに住んでいる人々は、日々パワーのもらいすぎで不老不死のエスパーになっているはずである。という事は、死にたくても死ねない、まるで未来惑星ザルドスの世界になってしまうではないか。しかし、実際の住民にとって、フォッサマグナの恩恵はそんな曖昧模糊としたパワーとかではなく、いつでも低料金で利用できる温泉なのだ。
北杜市だけでもかなりの数の温泉があるが、隣の韮崎市や奥秩父山麓、さらに長野の尖石遺跡周辺や諏訪湖の周辺まで入れれば驚くほどの数になる。それらの温泉は公営と私営があり、公営は市や町や村が運営しており、私営はホテルや旅館、レジャー施設などが運営している。我々にとって有難いのは公営の中の市営温泉だ。なぜならば市民であることを証明すれば市民料金で利用出来るからだ。
公営も市営も料金は800円~1000円くらい。観光客はどの温泉でも当然通常料金での利用となる。しかし、市営温泉がある市の市民であれば基本的に半額もしくはそれ以下で利用できる。我々は北杜市の市民であり、北杜市内には市営の温泉が少なくとも10ヵ所以上はある。もちろんその全てがフォッサマグナから滾々と湧き出る極めて上質な源泉かけ流しの天然温泉で、その湯に400円ほどで入れるのだから有難い。
我がもののけハウスから近くて、我々がよく利用するお気に入りの温泉は3つ。3つの内一番近いのは車で5分、一番遠くても15分。だから基本的に家ではシャワーだけで、湯船に湯を張ることはなく、たっぷりと湯に浸かりたい時はすぐに温泉に行ってしまう。考えてみればこんな贅沢はない。しかし、贅沢と言っても家で風呂を入れる場合、実際にかかる水道代とガス代、湯を張る時間や風呂場の掃除の手間など考えれば、市営の温泉に行くことは自宅で風呂に入るより遥かに経済的でお得なのだ。
その理由は、我が家の風呂は普通の家庭用の作りではなく、まるで宿屋のような岩風呂風の作りで、夫婦二人で入るにはあまりにも大きい。湯船に湯を溜めるのに優に1時間以上はかかる。しかも湯が岩の隙間から流れ出るような作りで、追い炊きは出来ないため翌日の利用も出来ない。我々はこの風呂を「もののけの湯」と呼んでおり、来客などがあった場合に自慢して入らせることもあるが、夫婦二人で使う事はまずない。勿体なすぎるのだ。だからもののけの湯で使うのは専らシャワーだけで、近所の温泉を利用する方がよっぽど安上がりというわけ。
さて、そんな有難い温泉だが、いよいよ新型コロナウイルスの影響により彼方此方で休業が始まった。お気に入りの温泉が一つまた一つと休業に入って行く。非常事態宣言というのも出るらしく、ここ数日の間に全てが休業になるだろう。温泉に入れなくなるというのは、楽しみが一つ減ってしまうばかりではなく、我が家にとっては非常に不経済になるわけだが、これも致し方ないこと。一日でも早いコロナの収束を心から願うものである。
八ヶ岳に移住をして様々な苦楽を体験している中で、一番の苦と言えば、やっぱり冬の寒さだが、今の現状だけで言えば、フォッサマグナの恩恵の有り余るほど豊富に滾々と湧き出る天然温泉を目の前にして、入ることが叶わず指をくわえてガマンしなくてはならない、というのもかなりの苦なのである。
<食卓は春めいている>
しかしウキウキした気分にはなれないねえ。
<漸く森の中も少し暖かくなり、久々に外でゆったりと抹茶を楽しむ>
噂によるとコロナウイルスには抹茶が効くらしいど。
でもデマが飛び交ってるようなのでネット情報は安易に信じない方がイイかもね。

