黒岳・北鎮岳・鋸岳・比布岳 | 独り言ちの山暦

独り言ちの山暦

「風の又三郎、又三郎、早く此さ飛んで来!」「この頂で赤道から北極までの大循環の自慢話を聴かせてくれ。」

 

2024.9.10。

鮮やかな紅葉にはまだ早かった。

朝6時の始発の層雲峡ロープウェイで立ち、6時49分に七合目から

スタート。

団体さんの姿はなく、考えていたよりは登山客も少なく静かな登山となりそうだ。

当初はお鉢廻りを計画していたが、地図を眺めている内に北鎮岳と比布岳

間が未踏であるのに気付いた。

計画を変更して比布岳のピストンとした。黒岳には7時39分。

今は晴れているが午後からは強風の予報である。

ロープウェイの案内によると強風で運行を止めることも想定している

とのアナウンスである。

黒岳石室テント場には8時06分。

強風が吹か荒れる前には戻ってこようと歩を進める。やはり黒岳頂上からは

強い風が出迎えてくれた。

紅葉の訪れはまだ少しの時間が必要だ。凌雲岳の装いも夏から秋へとは

完全には変わっていなかった。

風が塵を吹き飛ばしてくれたのか、視界は頗る良好である。

ナナカマドの実も朱に染まってきているが葉は色ついてはない。

8時44分。

お鉢平に着いた。

風が益々強まってきた。アウターを着こんだ。

ここから北鎮岳を目指す。

向かい風に全身で抗うよに一歩一歩。

この分なら北鎮岳で折り返すことになるかも、と弱気が横切った。

9時16分。

まさに強風の真っただかに頂上に着いた。

眺望は素晴らしい。これ以上のロケーションはない。

以前登った時はガスの中だった。

この眺望は得られなかった。

左から安足間岳・比布岳・愛別岳。手前には鋸岳。

強風の中、360度の眺望に魅せられた。

来しかたには黒岳。背後にはニセイカウシュッペ山

遥かには東大雪に位置する二ぺソッツ山。

同じく表大雪に位置するトムラウシ山。

お鉢の向こうには烏帽子岳。

「どうするかね?」

益々、強風が強まる懸念があるけど、この絶景に撤退は退けられた。

当初通り比布岳まで行くことと決めた。

仮に強風でリフト、ロープウェイが動ないとしても、7合目からも「かち」で

下山すれば良いと腹を決めた。

9時35分に北鎮岳を後にした。

大好きな山だ「愛別岳」。

こうして眺めるだけで胸がときめく。

また昇る日が訪れるか分からないがその気持ちは失くさぬように

しようと、思った。

目指す比布岳。強風に煽られながらも指呼の間に捉えた。

9時56分。

鋸岳を通過した。文字通り鋸の歯を連想させる山容だ。

愛別岳の頂上が顔を覗かせる。

10時21分。

比布岳に辿り着いた。風が一段と強まったようだ。

愛別岳へと向かう分岐を望む。

鋸岳を眼下に。

思えば比布岳頂上はガスの中の思い出ばかりだ。

こんなにクリアに鋸岳を拝めたのは初めてのことだ。

そして心置きなく感動した。

これから戻る北鎮岳を望む。

頂上直下で風を避け初めてゆっくりと休憩を取った。

シャリバテ回避としてKAWAさんは握りメシ。自分はパンを摂った。

16分ほどの休憩。

10時37分に北鎮岳へと戻りを開始した。

43分で北鎮岳に到着。頂上は風が煽るように噴き上げてくる。

歩を停めることなく下山。

11時40分、お鉢に到着。

途中に色付いた光景もあった。

 

12時35分に石室まで戻ってきた。

もう大丈夫だろう。例えロープウェイが動かなくても「かち」で下山

できる時間がある。

15分程の一息入れた。

12時50分、石室小屋を出て黒岳へと向かう。

13時14分に黒岳からの下山を開始。

下山道には全く風が無い。汗を拭いながら13時53分に七合目リフト駅に

着いた。

眼下には紅葉した箇所を眺めることが出来た。

間もなく万遍なく山全体が燃えるように紅葉するだろう。

 

無事にロープウェイが運行されていた。

14時30分にロープウェイ駅。無事に山行を終えた。

総行程距離14.7キロ。活動時間(休憩時間含む)7時間11分。

実に久しぶりに長い時間を歩いた気がした。ともない疲労もあったが充実感

が勝った。

自分の現在地に合った山行。これからもこれで行こう。

自宅でのビールが天に昇るほどに美味しかった。

自分が好きな酒。これも今の現在地を尋ねながら飲み続けよう。

「山と日本酒」。これがこれからも自分の人生のモットーである。