チャンピオンの条件③ | (一社)極真会館 田畑 道場 KYOKUSHIN KARATE UNION TABATA DOJO

(一社)極真会館 田畑 道場 KYOKUSHIN KARATE UNION TABATA DOJO

1979年4月に18歳で極真会館創始者の大山倍逹総裁の内弟子に入寮し、以来40年間、カラテ一筋で歩むことができました。
カラテ修業40年を節目として、大山総裁に教えて頂いたこと、習ったこと、学んだことを皆様にお伝えしたいと思います。

2019年6月 カナダ(ケベック)セミナー

 

 わが極真カラテでは「一に力(パワー)。二に速さ(スピード)。三に技(テクニック)。」と教えている。ひところ力まかせの相撲カラテが横行した時期があったので、私はスピードと跳躍力(ある意味でテクニックの中に含まれるといえよう)の重要性を力説したことがたしかにあった。けれどもその時ですら、力の養成をおろそかにして、技を第一義にせよとは言っていないはずである。やはり、空手の推進力は力にあるにちがいない。
 武道の極意を説いたもののなかに「ワザは力のうち」という言葉がある。そのままの意味である。つまり、力がなければ技は威力を発揮しないものなのだ。
 力のない人間がいくら技を出しても、それは蠅の技(フライ・テクニック)であるといえよう。たとえば組手において、こういう経験を持った人もいるだろう。自分では渾身の力をこめて必殺技を繰り出しているつもりでも、相手は倒れてくれない。それはすなわち、パワーが足りないのである。
 極真カラテは「一撃必殺」を旨とする。である以上、必ず一発で敵を為留めなければいけない。これが原則といえる。それがいくら叩いても蹴っても相手が倒れないというのであれば、それはもはや極真カラテではない。少なくとも、きびしくいえばそういうことになる。
 現在、極真の門にいる者は、断じて小手先だけのフライ・テクニック(カンフー流の踊りのようなものがその代表例といえよう)を覚えるべきではない。まずは、すべての基礎となるパワーを養成すべきである。華麗な飛び二段蹴りや、豪快な回し蹴りを放つ稽古をするのと違って、その練習過程では泥にまみれるような地道さが必要とされるだろう。しかし、それでもなおやらねばならない。王道を進むために。
 少なくとも、それをもって空手の初心とする「千日」ないしは〝石上十年〟、地道なウェイトトレーニングに励んでおれば、先刻私が述べた力の基準に、一部なりとも到達できるだろう。