一念岩をも通す | (一社)極真会館 田畑 道場 KYOKUSHIN KARATE UNION TABATA DOJO

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1979年4月に18歳で極真会館創始者の大山倍逹総裁の内弟子に入寮し、以来40年間、カラテ一筋で歩むことができました。
カラテ修業40年を節目として、大山総裁に教えて頂いたこと、習ったこと、学んだことを皆様にお伝えしたいと思います。

 

                           【2003年3月 Russia】

 大山総裁が、中国の弓の達人のお話をされました。弓の道を極めようと、毎夜、山に踏み込んで木々に矢を放って、それは厳しい修業をしている人がおり、ある月の出ている夜に、背中に気配を感じ、振り返ると虎がまさに背を低め、襲い掛かる瞬間に出くわしてしまった。その刹那、矢をつかみ間髪入れずに弓を引き放ち、虎の眉間を貫いた。夜が遅かったので、そのまま山を下り家に帰ったが、次の日の朝に矢で射抜いた虎のことを思い出し、確かめに行くと達人は驚いた。矢が突き刺さっていたのは、虎ではなく、虎に似た岩だった。
 精神を集中した時の人間が持つ潜在能力、未知なる力は凄いものがあるのだと、おっしゃいました。
 普段の稽古でも、疎かにしないで心を込めること。精神を集中してやらないと、絶対に強くならないと。
 
 弓の達人が虎に襲われて、死ぬか生きるかの絶体絶命の状況になっても、普段からの厳しい稽古修業のおかげで、全精神を全集中することができ、その結果無我の境地に立ち、一念岩をも通すとなったのだと思います。
 日々の稽古の中での心の置きどころも、生温くやるか、必死にやるかによって集中力を向上させることも出来るし、下げることも出来ると思います。
 決死の覚悟で挑む稽古こそ、身に付くのだと思いました。