大津市「無防備都市宣言条例」本会議否決(12/22) | 極論

大津市「無防備都市宣言条例」本会議否決(12/22)

無防備地域宣言をめざす大津市民の会 」より

2005年12月23日(金)のエントリー『会ニュースNO.43


>12月22日(木)に、市議会本会議が開催され、無防備条例は賛成7人退場1人賛成29人で否決となりました。(原文ママ 満場一致で賛成ですね。故意?これは故意なの?)

 

~~以下、本会議討論要旨を引用~~やはりこちらで適宜改行を入れます。

 

政新会(園田議員)署名は一定の評価をするが

①条例は法令(地方自治法、国民保護法、自衛隊法等)に反する

②地方公共団体は宣言できない

③この条例で安全を保障できない(条約不参加国 アフガンでの病院攻撃等米軍の蛮行)ので反対。
 

共産党(八木議員)条例は自治権、条例制定権の範囲内であり、ジュネーブ条約からしても地方公共団体が制定することを妨げていず、政府は宣言を承認しなければならない。市民の平和と安全を守るため条例の制定を。

 

※政新会園田議員の①②については、条例案とジュネーブ諸条約の自国民保護の意図的無理解によるものですが、③については、ジュネーブ条約に違反する米軍の蛮行を「これが現実」と免罪し正当化した上で、条約違反者を処罰し国際人道法による法の支配を通じて世界・地域の平和と安全を確保しようとする取り組みを切り捨てる本末転倒かつ法秩序の破壊と住民殺戮を容認する犯罪者の論理にすぎません。

 

~~引用終了~~

 

う~んと、どこから突っ込もう…

>③については、ジュネーブ条約に違反する米軍の蛮行を「これが現実」と免罪し正当化した上で、…

 

えーっと、こちらをご覧下さい。http://www.foreignaffairsj.co.jp/document/q_and_a/iraq/pow.htm

フォーリン・アフェーズ 日本語版のQ&Aコーナー「戦争捕虜」の項目です。


すべての国が国際人道法の規則に同意しているのか。

すべての国が同意しているわけではない。たとえば、アメリカとイラクはともに一九四九年のジュネーブ条約を批准しているが、どちらも一九七七年の追加議定書は批准していない。一般的に、戦争に関する規則は、条約のみでなく、国際的な合意や実行によって定められている。



確かにアフガニスタンにおける米軍の病院の爆撃はジュネーブ条約第4条約第14条・18条に違反している。

しかし、無防備地域宣言はジュネーブ条約追加第1議定書59条にその根拠を置くので、追加議定書に批准していない米国軍はそもそも対象外。 米国軍に対しては無防備地域宣言は意味をなしません。



>ジュネーブ条約からしても地方公共団体が制定することを妨げていず、政府は宣言を承認しなければならない

承認するもなにも、地方公共団体が宣言できるケースというのが、政府が無政府状態に陥るなど、機能を停止した状態に陥った時のみに限られています。その上軍当局との完全な合意が必要ですから、承認を受ける必要があるのはむしろ軍当局からという事です。(参考:週刊オブイェクト「無防備」 )


これも。

>世界・地域の平和と安全を確保しようとする取り組みを…

「ジュネーブ条約には罰則規定はあるものの、運用されていないのが現実」。(『無防備地域宣言には有効性が低い 』「無防備地域宣言運動への反論 」 )。


※少し気になるのがここ、「…、条約違反者を処罰し国際人道法による法の支配を通じて…」の部分。

 「国際人道法」はジュネーブ四条約(1949)、2つの追加議定書(1977)、ハーグ陸戦条約(1907)によって構成される。そのうちハーグ陸戦条約の第25条に「無防備都市、集落、住宅、建物はいかなる手段をもってしても、これを攻撃、砲撃することを禁ず」という記述がある。

「市民の会」のブログタイトルは「無防備宣言地域」であるが、エントリー内は「無防備都市」法案も「無防備都市条例」。もしかして追加議定書からハーグ陸戦条約にその根拠を鞍替えしたのでしょうか?