フランス・パリを基盤にパリとロンドンでレストランガイドブックを出版しているLebey ガイド。その2019年版の出版記念パーティが、4月8日にパリのパヴィリオン・ガブリエルで行われました。
招待された約300人のレストラン関係者などのために料理の腕を振るったのは、「アストランス」のパスカル・バルボシェフや、「ル・ムーリス」のセドリック・ガロレシェフなどの著名シェフたち。
そんな華やかなパーティの中のハイライトは、毎年発表されるベストシェフ賞というべき、ベストクリエイター賞。今年は14人が選ばれ、銀のプレートを受け取りました。
そして、デザート部門で選ばれたのが、パリのJoel Robuchon Dassaiのチーフパティシエ、中村忠史シェフ。事前の選考で、日本のみりんと青リンゴを使ったシュガーボールのデザートを作り、見事最優秀パティシエとなりました。
（ちなみに、日本人では「レストラン・ボタニック」の山口杉朗シェフも、骨つきヒレ肉のバターローストとベトナム風牡蠣のサラダで、肉部門のベストクリエイターに！）
受賞について中村シェフは、
「パリでチーフパティシエになるという夢が叶って1年。審査員からは、『軽くて、食べ進めるうちに色々味が変わっていくのが良かった』と評価してもらえた。この皿は、「高級なりんごジュース」のイメージで作った。すっきりとした甘みだけれど、口に入れた時にふわっと甘みが広がって、少し口の中に余韻が長く残るのはみりんのおかげ。カルヴァドスのムースのアルコールで甘みをきるように工夫しました。
みりんを使うことで、審査員の皆さんに、感じたことのない甘みと思ってもらえたのだと思います。
他の受賞者には20〜30代のシェフも多く、刺激を受けました。一昨年の9月にパリに来て、ガストロノミーの本場でロブションさんの看板の下、自分の味を出せるのは刺激的。ロブションさん、獺祭の櫻井会長、スタッフに感謝したいです」
とコメント。
青リンゴをかたどったごく薄い飴の球体に、角切りにした生の青リンゴを、砂糖を使わずにみりんだけで軽く煮てコンフィに、りんごのソルベ、カルヴァドスのエスプーマ。そして下には日本の三河みりんのゼリーが敷いてあります。すっきりとしたりんごの甘みと酸味、そして泡の中の空気に包まれたカルヴァドスの香り高さ。みりんが、さっぱりとした皿に、米の旨味とコクを加えます。
故・ロブション氏の愛弟子の一人でもあった中村さん。「デザートを作るときは、ロブションさんにいつも言われていた、『キレのいい甘さ』を表現しようと思っています」と語ります。口の中に甘みが残るからと、トレハロースなどの合成甘味料は使わず、食感などの工夫で、今の時代にあった「甘いけど甘すぎない」味を表現しています。
手間を惜しまず、フレッシュさを保つために少しずつ丁寧に作られているお菓子。ショーケースにはケーキ類やマドレーヌなどの持ち帰りのお菓子も。
個人的なお気に入りは、きめ細かい、軽やかでしっとりとした生地が魅力のダックワーズと淡雪のような食感のマカロンです。どちらも壊れやすい繊細な作りなので、紙袋のまま持って帰るか、その場でパクリと食べてしまうのがおすすめです。
今後は「ロブションさんに教えてもらったのは『お客さんに喜んで帰ってもらうのが一番大切なこと』地味なことではあるけれども、手を抜かずに真摯に毎日の仕事に向き合うこと。レストランにもっとお客さんが来て欲しいですし、日本酒を世界に広めたいですね」。と話しています。
今は、日本酒を使った「曙」というデザートも提供中。獺祭のジュレに、シュガーボール、中にいちごのソルベとヘーゼルナッツ、アーモンドのムースが入っているそうです。
パリで活躍する中村シェフ、また楽しみにお邪魔したいと思います！
＜DATA＞
■ Dassai Joel Robuchon La Boutique
営業時間：ランチ12:00〜15:00(L.O.)、ディナー 19:00〜22:00(L.O.)、9:00〜21:00（ブティック）、土曜、日曜休
住所：184 rue du Faubourg Saint-Honoré, 75008 Paris
電話： +33 176 74 74 74（ブティック）http://robuchon-dassai-laboutique.com/
Joel Robuchon Dassaiについて、去年５月の訪問はこちら。ロブションさんにもお目にかかりました↓