World’s 50 Best Bars2017のランキングで31位に輝くJoe Schofield ヘッドバーテンダー率いるバー、Tippling Club。

その上のラボ兼プライベートルーム、Bin38では、数ヶ月に一度、テーマを決めたイベント、Once Upon A Time が行われています。

Joeさんの1年半年下の弟、Daniel さんが、ロンドンでカルバドスやサイダーなどの品揃えも多いカクテルバー、Coupetteのアシスタントマネージャーをしているということで、With Schofiled Brothersと銘打って、兄弟での一晩限りの共演が行われました。

 

 

兄の後を追いかけるようにバーテンダーになったというDanielさんは、マンチェスターのバーなどで働いた後、69 Colebrooke Rowのヘッドバーテンダーを経て、パリでバーテンダーをしている中で出会った、カルヴァドスやアルマニャック、コニャックなど、フランスの味、中でも北部ノルマンディーの味に惹きつけられたのだとか。

兄Joeさんと同じ、著名なバー・Savoy(サヴォイ)でヘッドバーテンダーとして働いていたChris Mooreさんのオープンしたバー、Coupetteで働き始めます。Coupetteでは、「ロンドンではバーの棚の一番上で埃をかぶっていることがほとんど」のカルヴァドスを31種類も揃えているのが魅力。音楽はフレンチヒップホップ、肩肘張らない「ご近所バー」として、季節に応じた10種類のカクテルを提供しています。

 

 

「兄の背中を追ってバーテンダーになったんです。いくつものバーで、一緒に働いてきました。カクテルを通して、幸せな気持ちを届ける、ホスピタリティの仕事が好き。兄はとってもクリエイティブなタイプで、ほとんどクレイジーと言っていいくらい。僕もそういうところはインスピレーションを受けますが、もう少しクラッシックなのが自分らしいスタイルですね」と話します。

 

カクテルは二人が交互に提供するスタイル。JはJoeさん、DはDanielさんのカクテル。

Sonic Negroni(J)

 

 

まず、ウェルカムドリンクは、ビターさと渋みが心地いい、甘さ控えめのネグローニ。Botanist ginを使い、真ん中にネグローニのゼリーが入っています。

 

 

続いては、Cocoa Collins(D)

 

 

甘みと酸味をしっかりと立てた、カカオが香る、ラム・コリンズを、バニラのニュアンスが濃厚なMount Gayのラムで作り、ココアバターとカカオニブ、バニラを味わいのアクセントに、さらにアレンジしたカクテル。

クリアなカクテルで、ココアバターをどうやってカクテルに?と思ったら、ホワイトチョコレートを溶かしてラムに入れ、更にフリーザーに入れて分離させ、液体部分をカカオニブとバニラをいれて、真空パックに入れて低温調理したものがベース。それにソーダを混ぜて作ったのだとか。

 

 

スナックは、Sausage Roll。二人の出身地、北イングランドの軽食がソーセージロール。それをバースナックにアレンジして、パンの代わりに揚げた春巻きの皮、アジアの一部、インドのエッセンスとして、マドラスヨーグルトエスプーマのソースを添えて。エキゾティックなカクテルにスパイシーなソースという、インパクトある組み合わせ。

 

Peace(J)

 

ここからぐっとトーンを穏やかに、Botanist gin、レモンバーム、パスティス、アーモンドミルクで作ったカクテル。アジアで親しまれているアーモンドミルクの味で、子供の頃を思わせるような落ち着く味わいに仕上げています。上のメレンゲは、ライムの酸味のあるパウダーをまとわせて、甘いだけではなく、穏やかな味わいのカクテルのアクセントになっています。

 

合わせた軽食は、leek & Potato Vichyssoise。Ryan Cliftエクゼクティブシェフの母のレシピが元になっている、リークとジャガイモのスープ。下には少し食感を残したパースニップを添えて。上には、パセリのピュレと、パセリのチュイルを。

 

 

見た目も(メガネまで!)そっくりの二人ですが、Danielさんも、そんな兄のカクテルに寄り添うような見た目のカクテル。

 

Ramos/ Gin/ Figue(J)

 

 

バーの裏のご近所さんからいただいたイチジクの木の葉をインフューズして作ったシロップが入っています。

ジン・フィズの生みの親、Henry C.Ramosの名前からとった、Ramos Gin Fizz。アーモンドミルクとまるで兄弟のような、乳製品のクリームを加えたまろやかな味わいが特徴で、イチジクの葉の甘い香りが残ります。「フランスのイチジクの葉のリキュール、イチジクの葉のソーダを加えて、様々なイチジクの葉のレイヤーを表現しました」とDanielさん。

それに合わせるのは、イギリスといえば忘れてはならない、フィッシュ・アンド・チップス。

 

 

酸味の効いたタルタルソースのような味わいのリゾット。蒸したヒラメの仲間、Halbutとボテトチップスのパリパリ感、ディルの甘い香りが、イチジクの葉のニュアンスと重なります。

 

Night Train(J)

 

 

ここから、ぐっとダークな色合いのカクテルに。エイジドラムにウィスキー、梅酒、ドライベルモットなどを加えたカクテル。

 

軽食は同じくダークな色合いの、Wagyu Hot Pot、野菜の甘みが生きた、和牛のビーフシチューです。下にはマッシュポテト、上には、乾燥させたジャガイモで作ったクリスピーなチップが乗っています。チーズのコクやベーコンのスモーキーさも重なり、ボリューム感のある味わい。

 

全体的にやや甘めで、梅酒の甘みに、エイジングの香りのあるラムやスモーキーな香りのあるウィスキーが奥行きを与え、キャラメリゼしたシロップの印象が感じられるのが、ブラウンソースのシチューとあっていました。

 

 

最後のカクテルは、

Board Room (D)

 

 

胡桃のビターズに、コーヒーとチョコレートのリキュール、グラスを桜の木でスモークして香りをつけてから提供しています。赤ワインにキナを漬け込んだデュボネが苦味をプラスしています。

レミー・マルタンのコニャックの樽のニュアンスに、コーヒーが合います。

食後に飲むブランデーとコーヒー合わせた印象のカクテルです。

 

Manchester Tart

 

 

二人のふるさと、マンチェスターのデザート。元々は、タルト生地にラズベリージャムとカスタードを流し込んだものですが、アーモンドパウダーを使ったタルト生地で周りを囲った中には、杏仁豆腐が流し込まれ、ラズベリーとミントの葉が飾られていました。

 

兄弟での初のコラボレーション、シンガポールの著名なバーテンダーの姿もちらほら。席はかなり早い段階から満席だったようです。数ヶ月に一度、テーマを決めて行われるOnce Upon A Timeシリーズ、これからも楽しみです!

 

 

 

<DATA>

■Once Upon A Time With Schofiled Brothers

イベント日時:2018年2月10日(土)19:00〜(終了)
■Tippling Club
営業時間:ランチ 12:00〜15:00(平日のみ)、ディナー 18:00〜深夜 (日曜休)
住所:38 Tanjong Pagar Road, Singapore 088461
TEL:+65 6475 2217
URL: http://www.tipplingclub.com/
アクセス:MRTタンジョンパガー駅から徒歩7分程