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今年は、超暖冬ですが、これは昨年(1月)の登頂記です。

朝一番のあずさに乗り小淵沢で降りる。
 
2006年1月22日~25日

10:15 に竹宇神社出発。ここは、日向山の時の登り口だったな、と思い出す。少し歩くと雪道になる。ところが、関東地方も春の暖かさだった数日前にいったん溶けてアイススケート場状態になりその上に雪が2センチほど積もっている。ストックが刺さらない。いつもストックに頼りっきりの私としてはすごく神経を使う。

12:30 笹ノ平の少し先で昼食をとり、10本爪アイゼンをつける。4本爪しか使ったことがないから軽いアイゼンだったけど要領が悪い。八丁登りの長い急登を雪をかきながらよじ登っている内に、これはマズイと思い出し冷や汗がでそうになった。右足がつった。そのうちに左足もつる。刃渡り尾根にかかる。ここは意外に楽だった。刀利天狗の前後は梯子の連続でつった足が上がらない。30センチ程の梯子の幅がつらい。でも、右足を上げて腿の筋肉を踏ん張って使う前に左足を上げてしまう、左足の筋肉を使う前に右足を上げる。また、雪の急斜面では片足が落ちる前に反対側の足を上げる、10本爪アイゼンの前面の甲虫の角みたいな爪を直角に雪の斜面に蹴りこんでいくようにしたら、つった足がもどってきた。

16:30 黒戸尾根の五合目小屋。ここから下って二度登り返すと、今日の宿泊予定の七丈小屋に着く、と言われる。知人はこの小屋で寝て雪の深さに敗退した、と聞く。何もない物置小屋のようだったので、さぞ寒かったと思いつついったん下りだす。登り口から七丈小屋まで標高差1400メートル余りなので、きついルートのようだ。屏風岩は本当に直角で梯子と鎖の連続だ。ただし雪で凍っている。七丈小屋主人の、後で聞いた話では梯子を付ける前は懸垂下降で下りるしかなかった、とのことだった。

17:45 思いがけず突然七丈小屋が出現して、ああ助かった、と思った。小屋はとてもとても暖かい。翌日外は氷点下20度の時も中は13度。ただし、トイレが400メートルほど先で凍った道で、命がけで行きなさい、ペンギン歩きか四つん這いで、と山小屋主人。酔っ払って落ちたおじさんがいると聞いた。

翌日 は、しかし、吹雪いて上は何も見えない。小屋は貸切。もう十日誰も来ないそうだ。ご主人の話に耳を傾ける。「トリビアの泉」に推薦したいほど雑学王、何でも知っている。小屋は清潔で畳んだ毛布の模様が1ミリのずれもなくずらりと並んでいる。頭が痛いので高山病かな、と言ったら2300メートルくらいではありえないと言われた。午後2時に晴れてきた。風は少し強い。今日は登頂はあきらめて、明日のためにトレースを付けに行く。

翌々日。 やっぱり上は見えない。下は甲府、鳳凰三山のオベリスク、富士山がとてもよく見える。少しずつ天気が回復してきた。

12:15 七丈小屋を出発。手袋はもらった指なし手袋、やはりもらったフリース手袋、借りた3本指の手袋(これが、エベレストという名のとおり優れもの)、ホカロン。足元は靴下3枚(単に靴が大きいので)にホカロン。これで全く冷たさは最後まで感じなかった。

登りだしたら無風、快晴。だんだん八ヶ岳、車山等が見えてくる。青い空というより紺碧の空。黒い岩壁に白い雪と氷。今の時期だけの景色。

13:20 八合目。ダブルストックを雪に突き刺して、ここからは初体験のピッケルに換える。もちろんハーネスとザイル。落ちれば谷底という岩場と鎖場。横目でちらっと絶景を見ながら。

15:00 頂上。槍ヶ岳、穂高、常念の北アルプス、目の前は南アルプスの北岳、富士山、白山も見えるらしいがオンチの私にはわからなかった。今日は私の誕生日だった。すぐに下山を始めると急に雪煙が立ち始める。下から雪煙が殴りつけてくる。

16:30 小屋着。

4日目 8:15 黒戸尾根を下山。
   13:45竹宇神社着。やはり凍った道はアイゼンがたたなかった。
もちろん、自分の力で行ったのではなく連れられの本格的雪山体験でした。




黒戸尾根への登山口のつり橋。ここから標高差1400m。
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七丈小屋から見た、鳳凰三山。
オベリスクもはっきり見える。
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翌日は、吹雪のため、停滞。
翌々日の午後、やっと出発。
頂上が、見えてきた。
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ほぼ、直登。
落ちれば、谷底。
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すぐ前に、北岳と、その後には、富士山。
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登頂!
しかし、すぐに下山開始。
下から、ブリザードがなぐりつけてくる。
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