こんばんは。

 

森澤 恭子です。

2022年12月より品川区長です。

2月20日、令和6年第1回品川区議会定例会開会にあたり、施政方針演説を行いました。

以下、全文です。(長いので、2回に分けます)

 

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令和6年第1回区議会定例会の開会にあたり、区政運営の基本方針及び施策について、所信と決意を申し述べ、議員各位ならびに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

本年1月1日に発生した能登半島地震は、多くの方の生命や財産を一瞬にして奪い、甚大な被害をもたらしました。いまなお不自由な生活を余儀なくされる方も数多くおられます。犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
品川区では、今般の震災にあたり直ちに「被災地支援本部」を立ち上げ、義援金の募集や4度にわたる輪島市への救援物資の搬送、罹災証明書発行支援や被災宅地危険度判定従事のための職員派遣、被災者の公営住宅への受入等も開始したところです。今後も区民の皆様のご協力のもと、一日も早い復興に向けて、全力で被災地への支援に取り組んでまいります。また、義援金については、「被災地に届けて欲しい」とすでに区民、そして多くの区内団体様からもお預かりしています。ありがとうございます。


令和6年度 区政運営の基本方針
「今日と同じ明日が来ることは当たり前ではない。」

能登半島地震は、私たちに多くの教訓と課題を突き付けました。首都直下地震のリスクが現実のものとして危惧される中、強い危機意識をもって、実効性のある防災対策を進めていく必要があります。
一方、現下の社会情勢に目を向ければ、2025年には日本の人口の5人に1人が75歳以上、後期高齢者になり、介護・医療ニーズのさらなる急増が想定されます。私たちは、超高齢社会の到来を直視し、介護の担い手不足や健康寿命の延伸など、喫緊の課題に迅速に対応していかなければなりません。
また、自殺や孤立死などを含めた社会的孤立、精神的不安を抱える人たちへの対策も重要です。
「自らの生活に満足しているか」を問う世界幸福度調査によると、日本の幸福度は世界47位と依然として低い状況にあります。指標のひとつである「一人当たりのGDP」などは相対的に高い水準にあるものの、「人生の選択の自由度」や「寛容さ」といった指数が幸福度を押し下げています。  
誰もが生きづらさを感じたり、選択を阻まれることなく、自分の望むように生き、幸せを感じることができる社会。人がつながり、支え合うことができるやさしく寛容な社会。そうした社会をつくるために、人々の抱える不安を少しでも取り除き、未来に希望が持てる、そうした政策を打ち出していくことこそが政治や行政の責任であると考えます。
まさに、区民ひとり一人の思いに寄り添い、「区民の幸福(しあわせ)」、すなわちウェルビーイングの視点から施策を展開していくことが求められているのです。
世界に目を向けると、ニュージーランドでは、2019年、子どもの幸福の向上、メンタルヘルス、経済の転換などを柱とした世界初となる「ウェルビーイング予算」が編成されました。イギリスやフランス、イタリアでは「満足度・生活の質を表す指標群」、いわゆるウェルビーイングダッシュボードが政策立案に活かされるなど、ウェルビーイングを基軸とする政策展開は、既にグローバルスタンダードとなりつつあり、ます。SDGsの次なるグローバルゴールとも言われています。
人々の不安や不満などの「不」の解消をすること。多様なニーズに応じた多様な選択肢を提示すること。それによって区民のウェルビーイングを実現したいと、私は考えています。
「幸福(しあわせ)」を予算に。
区民の「不」を取り除き、未来に希望が持てる社会をつくる。そのために、今般、「しながわウェルビーイング予算」を編成いたしました。



令和6年度予算
(1)ウェルビーイング予算の編成について

まず、ウェルビーイング予算の編成についてご説明いたします。
今年度、中長期的な視点からの施策の不断の検証・見直しやアップデートを図るべく、区政の全665事業を対象とした事務事業評価を実施いたしました。事業のスクラップ・アンド・ビルドや無駄の削減を行った結果、区長選でお示しした「一般会計予算の1%、20億円」の財源を捻出することができたところです。
この事業評価によって捻出された果実を「区民の幸福(しあわせ)」につながる事業に振り向ける。そのために、従前の予算編成プロセスとは別に、区民のウェルビーイング向上の観点から新たな施策等を構築すべく、編成作業を進めました。
施策の企画立案に際しては、昨年8月に実施した全区民アンケートの調査結果を分析し、区民が「自分らしく幸せに暮らしていくために重要だと考える」、優先度の高い政策課題を「安全・安心を守る」、「社会全体で子どもと子育てを支える」、「生きづらさをなくし住み続けられるやさしい社会をつくる」、「未来に希望の持てるサステナブルな社会をつくる」の4つの領域に整理した上で、配分したところです。

(2)ウェルビーイングの視点からの施策展開
それでは、主な施策についてご説明いたします。
①「安全・安心を守る」
まず「安全・安心を守る」です。区民生活の不安に直結する地震や水害などの自然災害はもとより、近年、頻発する高齢者等を狙った凶悪犯罪などから区民の命と生活を守るため、防災・防犯、感染症対策等の重点的な強化を図ってまいります。
防災対策ですが、まず減災の取組として、木造住宅の耐震診断助成の補助率を10/10に引き上げるとともに、非木造住宅の耐震診断・補強設計の助成額についても拡充を図ることで、住宅の耐震化を加速させてまいります。さらに、小山2丁目、中延4丁目地区を整備地域不燃化加速事業の実施エリアとし、不燃化を推進してまいります。
加えて、地震時の電気火災を予防する区独自の感震ブレーカーの設置助成および旧耐震木造住宅の除却助成の対象エリアを区内全域に拡大いたします。
災害に備えた自助・共助の取組強化も肝要です。能登半島地震で顕在化した様々な課題を捉え、自助、共助を促す観点から、まず断水時に必須となる携帯トイレを防災ハンドブックとともに全世帯に無償配布いたします。また、マンション防災の観点から、エレベーターの閉じ込め対策として希望する共同住宅に飲料水や食料、非常用トイレ等を備えたエレベーター用防災チェアの無償提供を行います。あわせて、区としても、飲料水や食料、生活必需品の備蓄はもとより、女性視点での備蓄や避難所運営の見直し、ペット同行避難を前提とした資器材などの備蓄の強化に取り組んでまいります。また、発災時に迅速・適切に医療提供体制を構築すべく、平時より医師会など関係機関との連携強化を図ってまいります。
加えて、地域防災力の向上に向け、幅広い世代や事業者、NPOなど多様な主体が参加する新たな共助の枠組づくりを進めてまいります。
他方で、犯罪等のリスクから区民を守るため、住まいの防犯対策として、個人住宅への防犯カメラ・録画機能付ドアホンの設置にかかる費用助成を新たに開始いたします。
健康の面からは、新型コロナ感染症対応の検証を踏まえ、健康危機管理体制を構築すべく、健康推進部に新組織を設置いたします。また、65歳以上の高齢者のインフルエンザワクチンについて接種費用を無償化し、感染症からの不安を解消できるよう支援いたします。さらに、地域のコンビニエンスストアと連携し、AED設置場所の大幅拡充を図るなど、多角的な視点から、区民の安全・安心を守ってまいります。

②「社会全体で子どもと子育てを支える」
二つ目に、「社会全体で子どもと子育てを支える」についてです。
まず、本年10月、子どもや子育てを支援する最前線の拠点として区立の児童相談所を開設すべく、その準備を加速させてまいります。地域の子どもたちを地域全体で守り育てていく。地域社会とつながり、子どもや子育てを支えていくパートナーとして、区民の皆様のご理解、ご協力をお願いする次第です。
また、品川区では昨年4月より、他自治体に先駆け学校給食費の無償化を実施したところですが、義務教育にかかる経済的負担の軽減を図る観点から、来年度、新たに、書道用具や絵の具、ドリルなどの副読本等、必ず授業で使う学用品、いわゆる補助教材費についても所得制限のない完全無償化を実施します。これは都内初となる取組であり、「子育て・教育で選ばれるしながわ」に向けた政策を加速してまいります。
次に保育料の負担軽減についてです。品川区では昨年4月より東京都に先駆け第2子の保育料無償化を実施したところです。来年度は、認証保育所、認可外保育施設、企業主導型保育事業についても、所得制限なしの一律給付に制度を改正し、子育て家庭の負担軽減を図ります。
次に、乳児を育てる家庭への支援です。産後に体調不良や不安を抱える方はもとよりすべての方が心身のケアや育児サポートを受けられるよう、「産後ケア事業」の対象者や利用回数を拡充するとともに、ケアメニューの充実や自己負担を軽減します。また、他自治体に先駆けモデル実施している「未就園児の定期預かり事業」を来年度は、22施設に拡大して本格実施いたします。他児と遊ぶ経験から子どもの育ちを促すとともに、育児疲れを抱える保護者の負担軽減につなげてまいります。
すまいるスクールにおける長期休暇中の昼食については今年度、仕出し弁当の導入につき夏休み期間中にモデル実施を行い、課題の検証を行いました。来年度は、全すまいるスクール37ヶ所で夏休み期間内の仕出し弁当配達を実施し、保護者の負担軽減を図ってまいります。
次に、子どもの健康づくりについてですが、インフルエンザワクチンの接種費用助成について対象者を拡大いたします。HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンに関しては、女性の接種率向上に向け確実に勧奨を進めます。また、新たに男性の任意接種への助成を実施し、集団免疫の向上などを図るべく促進していきます。
加えて、子どもを産み育てたいと望む人たちの経済面での不安を軽減できるよう、不妊治療にかかる区独自の助成制度を新設し、安心して子どもを産み育てられる社会の実現を目指します。

(後半に続く…)

 

 

 

 

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品川区長 森澤 恭子

(2022年12月4日~)

 

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