こんばんは。

 

森澤恭子です。

 

東京都議会議員(品川区選出)、

無所属(東京みらい)で活動しています。

 

一昨日の厚生委員会の質疑について。

 

まず、冒頭と最後の言葉を紹介します。

 

<冒頭>

福祉保健局の事業には、社会的に弱い立場にある人たちのセーフティーネット、最後の砦というべきものがたくさんあります。その制度・事業を本当に必要としている人に届いているのか、その制度・事業によって、その方々の暮らしは良い方向に変わっているのか、そのために、常に検証し改善をしていかなければならないと考えます。そういった観点から質問をしていきます。

 

<最後>

今、現行の制度や仕組みに当てはまらないような課題であふれかえっています。社会的に弱い立場にある人たちの暮らしがさらに厳しさを増し、目に見える形で、課題として明らかになってきています。制度上は正しくやっている、自分の担当する範疇ではない、というモノの見方、制度から社会を見るのではなく、社会から制度を見る。どうしたらその人を救えるのだろうか、という視点をもっていただきたい。コロナ禍で出てきた課題は、今後の都民生活を向上させていくための、ヒントでもある。

社会的な弱い立場にある人たちのために、様々な独自政策を打ち出している、兵庫県明石市の泉市長の言葉を紹介します。

目の前でおぼれている人がいたら、助ける。
国に助けていいですか、と聞く必要はない。
浮き輪がなかったら、

あるもので助けるしかない。

市民の声を聞いて、それをカタチにしていく。


もちろん、市長と都の立場や状況は違います。

ただ、都民と同じ目線で、小さな声も聞き逃すことなく、困っている姿を見逃すことなく、その解決に実直に取り組んでいく、そういった福祉保健局であり、都政であって欲しいと、心から願い、質問を終わります。


ことさら強調したのは、職員のみなさんと

質疑に向けて、意見交換している中で、

こういったことを強調しないといけないと

感じる場面が度々あったからです。

 

前半の主なポイントです

 

コロナ軽症者向け宿泊療養施設の運営

現在、他局の職員の応援も得て主に福祉保健局職員が担っているが、本来業務を全うするため、民間委託を進めるべき。

 

災害時の心のケア

東京DPAT(常設で、災害時に特別な配慮が必要となる精神障がい者に適切に医療を提供するチーム)の隊員のさらなる養成と、日頃からの情報共有・連携体制の構築を

 

✓災害時要配慮者支援
要介護度の高い高齢者や重度の障がい者などの避難行動要支援者一人ひとりの避難支援プラン(個別計画)を策定促進のため、区市町村にさらなる働きかけを

✓在宅人工呼吸器使用者の災害時のバッテリー(蓄電池)補助

→災害時のための蓄電池購入について、国の診療報酬が改定されるまで、都が補助を

✓災害時備蓄

→日頃から区市町村と連携し、要配慮者については配分計画を

 

✓未受診妊婦同行支援

→さらなる周知と、居場所確保について民間団体支援を

 

✓産後ケア

→妊産婦に接する専門職の知識の更新を、産後ケアの質の向上を

 

✓在宅子育て支援

→家事支援や食を通じて家庭につながるアウトリーチ施策の推進を

→子育てひろばで、障がいや発達について気軽に相談できる仕組み、拡大を

 

✓医療的ケア児への支援

→区市町村に着実に配置されるよう医療的ケア児等コーディネーターのさらなる養成を

→より多くの区市町村の保育園での医療的ケア児の受入が進むよう、取り組みを



〇コロナ対応の宿泊療養施設
福祉保健局を始めとする都の職員のみなさまが、軽症者を受け入れるための宿泊療養施設の運営について、日々ご尽力いただいていることは心より感謝を申し上げるところです。
一方で、当初は緊急的な対応で、都職員で全てを行うということも致し方なかったと考えますが、その負担により、本来なすべき、業務全体を俯瞰しながら、施策ひとつひとつの着実な執行と検証、改善といった司令塔的役割を果たせているのか、という懸念もあります。
そこで、適切な宿泊療養施設の運営体制の整備を求め、いくつか質問いたします。

厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアル」によりますと、収容人数100名程度の宿泊施設で、全体統括1名、健康管理の医師、看護師・保健師の他、入退所対応・管理担当4~8名、生活支援担当4名、施設管理担当1名が目安とされています。
Q1)現在、都における宿泊療養施設の開設状況と、都の宿泊療養施設ではどのような体制をとり、どの部分を都の職員が担っているのか、伺います。

答弁概要)
〇 現在、区部に8施設、多摩地域に1施設を開設
〇 宿泊療養施設には、入所者の健康管理を行う医師や看護師を配置
〇 医療リエゾンとして、都の公衆衛生医師が、感染防止対策や健康管理に関する指導・調整を実施
〇 入所者の生活支援等を行う事務局職員として、日中に10名程度、夜間に5名程度を配置
〇 日中は、関係機関との連絡調整を行う運営総括担当が2名程度、入退所の準備や手続きを行う入所管理担当が4名程度、弁当の準備や廃棄物の処理を行う集配担当が4名程度、夜間はそれらをすべて担う事務局職員が5名で運営


厚生労働省のマニュアルには「外部企業への業務委託に加え、必要に応じて、人材派遣業者との派遣契約により、生活支援等の業務に従事するスタッフや、施設設備の管理等、専門的な業務に従事するスタッフを確保することも考えられる」とあり、例示として、食事の配膳等、ゴミの回収等の生活支援や緊急時の対応やリネン交換、客室対応などの施設管理などをホテル側が対応している例が例示されている。つまり、必ずしもすべてを都の職員が行う必要がないわけです。ぜひホテルを始めとする民間への委託を進めていただきたいと考えます。

Q2)今後、事態が長期化する中で、ホテル側に対応の協力を依頼することや、民間の人材を活用した体制構築について、都の見解を伺います。

答弁概要)
〇 4月7日に第1号となる宿泊療養施設を立ち上げて以降、多くの都職員が運営に携わるとともに、業務についての改善を図り、マニュアル化するなど宿泊療養施設の運営方法を確立
〇 集配業務等の定型的な業務については、ホテル事業者等への委託化を進め、より少ない人数の都職員で運営可能な体制の構築を推進
〇 引き続き、効率的な宿泊療養施設を運営


責任者などは引き続き職員を配置する必要はあるのだと思いますが、できるだけ早く、委託化を進めていただきたいと思います。

Q3)また、宿泊療養施設の運営にあたって、ホテルや協力事業者に業務を依頼する場合は、、契約や役割・業務分担について明確に定めると共に、わかりやすく説明し、委託内容の理解が不十分なことによるトラブルがおきないよう取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁概要)
〇 宿泊療養施設の定型的な業務については、ホテル事業者等に委託し、効率的に運営を行っていくことが必要
〇 委託契約に当たっては、入所者の個人情報の管理、感染防止対策の徹底や作業内容の詳細などを仕様書に盛り込むことで、宿泊療養の円滑な実施を確保


これまで都としてやったことがない契約や依頼について、ホテルが所在する地元の事業者にご協力いただく部分も多くあると思います。地元の方々の理解や協力が不可欠です。契約や依頼において、慎重で丁寧な対応をお願いいたします。

〇災害時の心のケアを行う東京DPAT 
災害時の心のケアについて伺います。このコロナ禍にあって、精神的な不調をきたす方も増えている中で、災害がおきた時を考えると、さらに重要性は増していると考えます。都では、これまでに都内30の民間精神科病院等と協定を締結し、常設で、災害時に特別な配慮が必要となる精神障がい者に適切に医療を提供するチーム、いわゆる「東京DPAT」を創設しています。
Q4)災害時にはどのように展開をされるのか、また、災害時に機動的に派遣されるよう日ごろからの情報共有・連携体制の構築も重要だと考えますが、見解を伺います。

答弁概要)
〇東京DPATは、精神科医等の4人程度を一チームとして編成し、精神保健医療のニーズアセスメント、被災精神科病院からの転院搬送など実施
〇都内発災時には、二次保健医療圏域ごとに設置するDPAT活動拠点本部に参集し、区市町村の要請に基づき支援活動に従事
〇発災時に精神保健活動の支援が行えるよう、マニュアルを整備。訓練に参加


Q5)これまで、どのように隊員の養成を行い、どれくらいの隊員を確保しているのか伺います。

答弁概要)
〇隊員としての登録を希望する者を対象に、東京DPATの活動内容などの基本的な知識と技能を習得するための養成研修を実施。令和2年3月31日現在で295人
〇東京DPAT隊員の技能の維持や習熟を図ることを目的に、3年ごとの隊員登録の更新の際に、フォローアップ研修を実施


更新の際にもフォローアップ研修を行い、スキルのアップデートを行っているということでした。災害時の心のケアの重要性は増しています。引き続き、隊員を増やし、実際に動けるよう養成に取り組んでいただきたいと思います。

〇災害時要配慮者対策の推進 
要介護度の高い高齢者や重度の障がい者など、災害時において特に配慮を要する人が災害時に決してとり残されることのないよう、どこに避難すべきなのか、どこに協力してもらうのか、平時に確認する意味もこめて、避難行動要支援者一人ひとりの避難支援プラン(個別計画)を策定することは非常に重要です。
Q6)都は、この個別計画策定を推進するため、区市町村に補助をしていますが、個別計画作成済みの自治体数について、伺います。

答弁概要)
令和元年6月1日時点で、全部作成済みが4自治体、一部作成済みが35自治体

まだまだ取組が進んでいないということがわかりました。

新型コロナウイルスの感染が続く中で災害が発生した際には、避難所が三密にならないよう、より多くの避難先を確保するなど、これまでとはまた違った方向から検討する必要も出てきており、よりいっそうこの個別計画の重要性が増していると考えます。

政府は、法的根拠が弱いことが作成遅れの一因となっているととらえ、来年の通常国会で、「法定計画へと格上げ」するとともに「市町村の努力義務とするなどの規定を追加する方針」だということです。これにより、区市町村が取り組みが進むことを期待したいですが、一方で、根本的な課題を解決しない限り劇的に進むことはないのでなないかと危惧しています。

Q7)広域行政として、各自治体で取組が進まない要因を把握し、その課題を克服できるよう支援すると共に、取組が進んでいる区市町村の事例やノウハウを共有するなどして、より多くの区市町村が取り組むよう、また、作成率が向上するよう取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁概要)
・都は、個別避難計画の作成が進まない理由については区市町村に調査
・主な課題として、支援者の選定が困難であること、避難行動要支援者本人の同意が得られないことが挙げられている
・都は、各市町村の担当者を対象とした研修会を毎年開催し、計画策定に関する先行事例等を紹介するなど、区市町村の取組を支援


本人の同意については、その重要性を理解していただけるようどう取り組むのか。支援者の選定については、町会・自治会や地域の防災人材など、地域の理解や連携が必要であり、引き続き、取組が進んでいるところの知見を共有するなど、区市町村の取組を支援を強化いただきたいと要望します。

〇在宅人工呼吸器使用者療養支援
在宅人工呼吸器使用者やその家族にとって、災害時の避難は物理的にも精神的にもハードルが高く、特にコロナ禍に災害が発生した場合には、自宅もしくは地域の通いの場である放課後等デイサービスなどに、非常用電源装置を補助してほしいという声が上がっています。
都では、医療保健政策区市町村包括補助事業などで、非常用電源整備を推進しているとのことですが、現状では取り組んでいない区市町村も多く、さらなる活用を促していただきたいという点は、先日の一般質問で取り上げさせていただきました。
さらに、本補助事業では蓄電池を対象としておらず、都内ではマンション等に居住する場合、発電機の使用には騒音等の困難があるという指摘があります。
札幌市や神戸市などでは、在宅人工呼吸器使用患者非常用電源整備事業において、発電機に加え、ポータブル電源(蓄電池)購入費用を助成している自治体もあります。
Q8)都においても、都心の住宅事情や、コロナ禍で、在宅避難や宿泊施設での避難が見込まれることもふまえ、ポータブル電源(蓄電池)の購入も補助の対象とすべきと考えますが、見解を伺います。

答弁概要)
〇 都では、「在宅人工呼吸器使用者療養支援事業」において、難病患者以外の在宅人工呼吸器使用者の停電時の安全確保を図るため、区市町村が自家発電装置や吸引器等を在宅人工呼吸器使用者に無償貸与、または給付するための経費を、包括補助により支援
〇 人工呼吸器使用者が療養にあたって必要となるバッテリーについては、医療機関が人工呼吸器使用者に給付や貸与を行った際に診療報酬を算定できることとなっており、補助対象品目に蓄電池を含めていない
〇 国に対しては、人工呼吸器に装着する外付バッテリー等の予備電源等に関し、実勢価格を精査し適切な評価とすることを提案要求


都としては、診療報酬で適切に評価されることを国に要望していることは理解しました。一方で、今困られている現状があること、他の自治体では実際に蓄電池購入を助成している自治体があることなども鑑み、ぜひ、国が対応するまでの間、この蓄電池購入の補助について検討いただきたいと改めて要望しておきます。

〇災害時備蓄 
昨年の千葉県の台風被害では、各市が県が発電機を所有し貸し出してくれることを知らなかったというケースを耳にし、県と市の日ごろからの情報共有や連携に課題が大切であることを改めて認識しました。また、被害が大きい場合、区市町村に余力がなく、都に対しすぐに物資支援の要請できないことが想定されます。東京都地域防災計画には、「プッシュ型支援ができるようあらかじめ必要な品目を備蓄するなど支援体制を整える」とあります。
Q9)そういった意味で、日ごろから、都の備蓄についての区市町村との情報共有、実際に機能的に配布がされる連携体制の構築などが重要だと考えますが、取組について伺います。

答弁概要)
〇 東京都地域防災計画では、発災後3日間は原則として地域内備蓄で対応するものとしており、区市町村は避難所等で備蓄を行うとともに、都は広域的な観点から区市町村を補完するため、備蓄を行っている。
〇 発災時には都災害対策本部の下に物資・輸送チームを設置し、関係者間で必要な情報共有や調整を行い、迅速に被災地の要望を把握して、物資を提供できるよう対策を講じることとしている。
〇 また、都の備蓄状況については、区市町村の防災担当者との会議を通じ、必要に応じて情報提供を行うとともに、関係機関等と連携し、定期的に輸送訓練を実施するなど、体制の構築を図っている。


非常時には担当者同士の日頃からの「顔のみえる関係性」もきいてくるものです。ぜひそういったことも念頭に引き続き日頃からのこまめな情報共有、連携について取り組んでいたきたいと思います。

Q10)また、地域計画には「避難所の多様なニーズに対応できるよう、備蓄・調達品目及び数量等について検証」とありますが、乳児や女性、高齢者や障がい者など要配慮者の割合などを考慮した物資配分計画も重要であると考えます。どのような検証を行ってきたのか、見解を伺います。

答弁概要)
〇 都では、令和2年4月1日現在、高齢者や飲み込みが困難な嚥下障害の方に配慮した食料の供給を図るため、白粥のアルファ化米46万食の備蓄をしているほか、たんぱく質の摂取が制限される被災者を対象に、難消化性タンパク質の相対的割合が高い品種の米を原材料とするアルファ化米15万食の備蓄をしている。
〇 さらに、食物アレルギーの方に配慮した備蓄品として、アレルギー特定原材料27品目未使用のアルファ化米75万食、米粉のクッキー 80万食の備蓄をしている。
〇 その他、乳幼児用及び要介護者用紙おむつなど、要配慮者に考慮した備蓄を行っている。
〇 今後とも要配慮者向けの備蓄食料の確保に努めていく。


一定程度備蓄していることは理解しました。一方で、非常時に適切に、必要な方々に着実に届くよう、区市町村と連携し、配分計画も考えていただきたいと申し述べておきます。また、先ほど質問した個別計画の作成が進むとより要配慮者への支援の必要性が見えてくると思います。連携した取組を求めます。



★子育て施策

まずは、未受診妊婦の支援について伺います。

〇妊娠相談ほっとラインの同行支援
Q11)都では、今年から、予期しない妊娠、経済的困窮、社会的孤立、DVなどの様々な背景により、妊娠・出産についてご自身で周囲への相談や受診をすることが難しいと判断された、いわゆる未受診妊婦について、産科受診同行支援を開始しています。これにより、駆け込み出産の防止につながり、適切な受診、支援へとつながることを期待しているものですが、これまでの実績について、伺います。

答弁概要)
○ 都は、妊娠相談ほっとラインで、妊娠や出産に関する相談に、看護師等の専門職が電話やメールで対応しており、特に継続的な支援が必要な場合は、区市町村の保健所や保健センターへの相談につなげている。
○ このほっとラインの相談の中で、区市町村への相談に抵抗を感じている妊婦や産科受診等が困難な妊婦がいた場合に、民間団体を活用して産科等医療機関などへの同行や初回産科受診料への支援を行う、特定妊婦等に対する産科受診等支援事業を本年1月から開始した。
○ 事業開始から9月までに、ほっとラインから同行支援を行う民間団体に引き継いだ相談は、16件である。
○ 引き継いだ民間団体が相談支援を行う中で、区市町村の支援や自発的な通院につながり対応が終了したケースもあり、産科への受診同行を行ったのは3件である


ニーズがあることがわかりました。引き続き、この取組が必要な方に届くよう広報の強化もお願いしたいと思います。

Q12)そういった妊婦の中には、背景に、DVなどもあり、居場所がない方もいると聞きます。同行支援の対象となった方について、分娩までに時間がある場合、その際の居場所の確保については、どのように取り組んでいるのか、見解を伺います。

答弁概要)
○ 本事業では、支援を行った妊婦をその後も継続的に支援につなげていくため、必要に応じて、区市町村の関係窓口への同行支援や地域の関係機関との情報共有を行うこととしており、お話しのように、居所の確保が困難な妊婦がいた場合には、民間団体が、保健センターや福祉事務所等と連携して、生活保護申請や婦人保護施設への入所などにつなげている。

居場所確保が困難な妊婦がいた場合は、民間団体が、行政等と連携し、生活保護や婦人保護施設への入所につなげているということでした。一方で、施設を利用する際の様々な制約から、利用に抵抗感がある妊婦さんもいらっしゃり、ひとりひとりの状況に寄り添ったより柔軟な形での居場所確保を一時的に民間団体が行っている場合があります。そういったところへの支援なども検討していただくことを要望いたします。

〇産後ケアについて 
コロナ禍で、「産後うつ」のリスクが深刻化しています。10月の専門家の調査では、産後うつを発症している可能性のある割合が従来の2倍以上との結果が出ています。そういった中で、「産後うつ」で退院した後、ある区から様子を見に派遣されてきた保健師さんの対応が通り一辺倒で、決して「産後うつ」の母親に寄り添う形でなかったという事例を耳にしました。
「産後うつ」になった方に対しては、より慎重な接し方が重要であり、そういった妊産婦に接する専門家は常に最新の情報や研究を更新すべきだと考えます。
Q13)都のみならず、区市町村の母子保健に関わる専門職に対して「産後うつ」への理解に対する研修等を行っていくべきだと考えますが、見解を伺います。

答弁概要)
〇 都では、保健所、区市町村及び医療機関等の母子保健医療に従事する職員に対して、最新の母子保健、医療技術等に関する専門知識等を習得させ職員の資質向上を図る、母子保健研修を実施
〇 研修では、母子の心身の健康についての理解を促進し、産後うつにも適切に対応できるよう、「母親のメンタルヘルスについて」や「産後ケアの更なる推進について」などをテーマとして取り上げている


ベテランであるほど、過去の情報ややり方にとらわれているといったことも耳にするところだあります。ぜひ新人の方からベテランの方まで、まんべんなく研修に参加することで、最新の情報を取り入れ、「今」の母子に寄り添えるよう取り組んでいただきたいと思います。
また、最近では、父親の「産後うつ」も注目され、厚生労働省は、父親の「産後のうつ」の実態を調べ支援策を検討するため、母子保健の専門家や精神科医などでつくる研究班を設置したということです。今後、都においても、「母子」だけでなく、父親のケアについても頭に入れていっていただきたいと申し述べておきます。

関連して、そういった近年社会課題となっている事柄に対して、母子保健に関わる専門家の専門性の向上も非常に重要です。児童虐待についても、早期発見が間違いなく必要であり、早期の段階で、その芽を見つけ、支援につなげていく必要があります。
Q14)児童虐待の対応力の向上の取組について見解を伺います。

答弁概要)
〇 先ほどお答えした母子保健研修では、悩みを抱える母子を早期に発見して、地域で連携した対応して児童虐待防止に取り組めるよう、「支援につながりにくい妊婦への支援」」や「『育てにくさ』を感じる親に寄り添う」などをテーマとして取り上げている
〇 また、児童虐待の発見に関連の深い医療機関関係者に対して、児童相談所や子供家庭支援センター等の地域の関係機関との連携強化を図り、医療機関における虐待対応力を向上させるため、要支援家庭の把握と適切な支援に関する児童虐待対応研修を実施している。


母子保健研修で取り組むと共に、医療機関の虐待対応力向上にも取り組んでいるということでした。あらゆる場面で早期発見ができるよう取組、早期の段階で適切な支援につなげていくことが非常に重要です。引き続きの取組をお願いいたします。

産後ケア事業について伺います。
Q15)今年度、とうきょうパパママ応援事業における産後ケア事業について、専門職による妊婦への面接等とあわせて本事業を行う場合、区市町村負担分を都が全額補助するよう補助率を引き上げました。産後ケア事業について、とうきょうママパパ応援事業の前身である、ゆりかご・とうきょう事業が開始された平成27年度以降の区市町村の取組状況について伺います。(昨年度33区市町村)

答弁概要)
〇産後ケア事業の実施自治体数は、平成27年度は3区のみであったが、年々増加し、令和元年度は33区市町、今年度は42区市町の予定

取り組む区市町村が着実に増えてきていることは非常に重要です。
一方で、やはり産後ケアの内容、質、についても着目し、質の高い産後ケア事業をより一層広げていく必要があります。
本当の意味での「切れ目のない」支援という意味で、兵庫県丹波篠山(たんばささやま)市で始まった、産前産後を一貫して同じ助産師でケアする「My助産師制度」のような取組に注目しています。第1回定例会の一般質問でも申し上げましたが、産後ケアのその手法ごとの効果や課題を把握し、より一層適切な支援を講じるべきと改めて、要望いたします。

在宅子育て支援
就任最初の一般質問でも、保護者の就労の有無にかかわらず、誰もが安心して子育てできる東京の実現のため、在宅で子育てしている家庭に対する支援を充実すべき、と取り上げさせていただきました。特に、保育園を利用していなかったり、幼稚園に通っていない3歳未満の家庭が孤立しないよう、引き続き取り組んでいくことが必要です。

Q16)
都は、家事支援を通じて、保護者の負担軽減とともに、支援が必要な家庭を適切な行政支援につなぐ「在宅子育てサポート事業」を行っています。また、食の支援をきっかけとして家庭の中の問題を把握し、必要な支援につなげ、子供の養育環境を整える「子育て家庭に対するアウトリーチ型の食事支援事業」を行っています。これらの事業の区市町村における取組状況と、実際にサービスや支援につないだ具体的な事例について伺います。

答弁概要)
〇都は、育児負担の大きい3歳未満の子供を在宅で育てる保護者の負担を軽減するため、区市町村を通じて家事支援サービスの利用を支援する在宅子育てサポート事業を実施
〇 昨年度の実績は4自治体であり、今年度は5自治体が本事業の活用を予定。取組自治体からは、利用者から育児不安についての相談がヘルパーにあり、子供家庭支援センターの相談窓口につないだ事例があったと聞いている
〇 また、未就園児のいる家庭等を対象に、食事の調理を行うヘルパーを派遣する区市町村の取組を支援する、アウトリーチ型の食事支援事業を実施しており、昨年度の実績は1自治体であり、今年度は3自治体が本事業の活用を予定している。
〇 取組自治体からは、家庭に派遣されたヘルパーが家庭の状況を把握し、生活保護の部署や養育支援訪問事業等のサービスにつないだ事例があったと聞いている


何れも、当初の事業の目的である、行政の支援につながった事例があることがわかりました。在宅子育て家庭の負担軽減、児童虐待未然防止の観点からも、こういったアウトリーチ施策については、非常に重要で、都としてメニューを用意してくださっていることは本当に大事なことであると思うのですが、区市町村がその意義を理解し、優先順位をあげてくださらない限り、結局、支援が必要な都民・区民につながらないという現実があります。区市町村に対して、今、ご答弁いただいたような実際に出てきている好事例などを紹介しながら、事業の意義について丁寧に説明し、導入していただけるよう、取り組んでいただくことを強く要望します。

〇ふらっとひろば事業
育休中であったり、在宅で子育てしている家庭が、地域や他の子育て家庭とつながる場所として「子育てひろば」の存在は重要です。一方で、特別な支援が必要なお子さんであったり、そういった可能性があるお子さんがいる保護者はなかなか足を踏み入れるのが難しい、といった声を聞くところでもあります。また、保護者が障がいや発達についての不安や悩みがある場合に、気軽に相談できる仕組みも必要です。

Q17)そういった中で、都は令和元年度から子育てひろばを気軽に利用できる環境を整備することを目的とする「ふらっとひろば事業」を開始しています。この事業の取組状況と実際に支援につないだ具体的な事例について、伺います。

答弁概要)
○ 都は、障害の有無にかかわらず、就学前の子を持つ全ての親子がより気軽に子育てひろばを利用できるよう、心理士や保健師などの専門職を配置する「ふらっとひろば事業」を、令和元年度からモデル実施
〇 モデル事業は3自治体で実施しており、取組自治体からは、保護者から子供の発達に関する相談を受けた心理士や保健師が、子供の接し方などを示しながら保護者の不安の軽減に取り組んでおり、状況に応じて保健センターや児童発達支援センターにつないだ事例があったと聞いている


こうやって敷居を低くして身近な場で、発達の不安を軽減し、行政の支援にもつなげる仕組みはとても重要だと思います。モデル事業を経て、多くの区市町村で取組が広がることを期待したいと思います。

次に、医療的ケア児の支援について伺います。

〇医療的ケア児コーディネーター 
医療的ケア児が年々増えていく中で、保健、医療、福祉、子育て、教育等の必要なサービスを総合的に調整し、医療的ケア児等とその家族に対しサービスを紹介するとともに、関係機関と医療的ケア児等とその家族をつなぐといった重要な役割を担う医療的ケア児等コーディネーターの存在は、より重要度をましています。以前、小児総合医療センターでも、その存在の重要性を伺いました。
国は、「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な方針」の中で、「医療的ケア児に対する総合的な支援体制の構築に向けて、市町村においては、コーディネーターとして養成された相談支援専門員、保健師、訪問看護師等の配置を促進することが必要」としています。
実際に、令和元年8月現在の厚労省の調査によると、医療的ケア児等コーディネーターの都内区市町村での配置状況は特別区で3区、多摩地域・島嶼で8市町村ということです。この他に事業所に配置されているということですが、医療的ケア児を育てる複数の保護者から、コーディネーターにお会いしたことがない、という話を伺うところであります。

Q18)都内の医療的ケア児に対し、きめ細かい支援を行うためには、都として、養成後の配置状況についても実態を調査し、より多くの区市町村、また事業所にコーディネーターが配置されるよう養成をさらに促進していくとともに、区市町村にも働きかけていくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁概要)
○都は、平成30年度から、障害児・者のサービス利用計画の作成等を担う相談支援専門員等を対象に「医療的ケア児コーディネーター養成研修」を実施。
○本研修の受講修了者は、平成30年度は52人、令和元年度は114人であり、2か年で166人。 
〇医療的ケア児が適切な支援を受けられるよう、今後とも、区市町村に医療的ケア児コーディネーターの制度について周知を図るととともに、医療的ケア児コーディネーターの養成を進めていく。

周知をしっかりお願いしたいと思います。また、相談支援事業所で医療的ケア児コーディネーターとして働く際に、計画策定に報酬がないということもあり、せっかく養成研修を修了しても働き続けられる方が少ないという課題も伺っています。このあたりも、実態を把握し、都からも国に要望していただきたいと思います。

〇医療的ケア児の保育園受け入れについて  
保護者の就労継続、また、インクルーシブな環境で子どもが育っていくという中で、保育園で医療的ケア児を受け入れていくことは重要です。また、医療的ケア児とひとことでいっても、重度な方から、動くことができる軽度の方まで、様々なお子さんの状況に合わせた支援が必要である。
都は、保育所等に看護師等を増員し、医療的ケア児の受け入れに取り組む事業者を支援するため、独自に、平成29年度から、区市町村への包括補助として「医療的ケア児支援事業」を実施しています。一方、国事業である「医療的ケア児保育支援モデル事業」も平成29年度から実施している。


Q19)そこで、令和元年度における「医療的ケア児保育支援モデル事業」の都内の活用状況と、さらにより多くの区市町村において保育所での医療的ケア児の受け入れが進むよう、取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁概要)
〇 「医療的ケア児保育支援モデル事業」は、保育所等において医療的ケア児を受け入れる体制を整備するため、保育所での看護師の配置経費等を区市町村を通じて支援しており、令和元年度は2市で実施している
〇今年度からは、区市町村が看護師等を雇用して医療的ケア児を受け入れる保育所へ派遣する場合も補助対象とするとともに、医療的ケア児の受入れについて検討する関係者会議等の設置経費を支援しており、8区市から、事業の実施計画等が提出されている。
〇 また、区市町村が医療的ケア児の保育ニーズに応えられるよう、東京都待機児童対策協議会では、先進的な取組の紹介を行うとともに、それぞれの自治体が受入れ対象としている医療的ケアの内容等について、情報共有しており、医療的ケア児の受入れが進むよう、引き続き、区市町村へ働きかけていく。


より多くの区市町村で、できるだけ多くの医療的ケア児の受入れが進むよう、さらなる働きかけを求めます。

 

 

(後半へ続く)

 

 

 

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