2023年3月15日(水)


タエちゃんが死んでしまってから、

もう何年経っただろうか。


うちの父と

タエちゃんところのおじさん

(タエちゃんのお父さん)がイトコで、

とても仲が良かったので、

小さな頃からよくタエちゃん姉妹と遊んだ。

タエちゃんの姉妹たちとうちの姉妹たちは

年齢がすごく近いのだ。


うちの長姉 12歳(小6)

うちの次姉 10歳(小4)

タエちゃん姉 8歳(小2)

わたし    7歳(小1)

うちの妹   6歳(幼長)

タエちゃん  5歳(幼小)

タエちゃん妹 3歳(未就学)


といった具合に。


その頃(きっと誰でも経験はあると思うが)、

とにかく私は上の歳の子に付いていきたかったので、

(私はもう、大きい子と同じ小学生だし!!)

姉たちや、タエちゃんのお姉ちゃんに

くっついて行っては

小さいから危ない、邪魔だと除け者にされ、

仕方なく一つ下の妹やタエちゃんやその妹と 

遊んでいた。


姉たちは歳が上だったので、

次々と、

私たちがやった事のない

少し危ない遊びを生み出しては、

楽しく遊んでいる。


私が妹やタエちゃんたちと遊ぶ時には

私が一番歳上だったので、

遊びを教えてやらなければいけないし、

一番下があまりに小さいので

危ない遊びはできない。


今ならわかる。

小さいからダメと姉たちに言われ、

わたしは小さくないのに!と

認めてもらおうとしていたが、

わたしは単純に面倒を押し付けられていたんだろうと思う。


一番小さな子がトイレに行きたいと言えば

連れて行ってやらなきゃならないし、

転んで怪我でもしようものなら

大人に怒られるかもとビクビクしながら

状況報告に行かなければならない。


何だかつまんない、、、

もっと大きい子達がやってる危ない遊びを、

下の子達の面倒を見ずにやりたい!


そんな風にいつも私は思っていた。


でもそんな日々も小学生まで。


私が小学校高学年になる頃には、

姉達はもう中学生や高校生となり

小学生の私たちとは当然遊んでくれない。

姉たちが次々と生み出してくれた楽しい遊びも

せっかく一緒にできる年齢になったのに

1人抜け2人抜け、頭数も揃わず、

やったって面白くない。


それに私は高学年にもなると、

自転車という便利な乗り物に乗り、

行動範囲が広がり、

姉妹達とではなく、少し遠方に住む友達と

遊ぶ方が楽しくなった。

自然と、タエちゃんたちが遊びに来る事も

なくなっていった。

とは言え、同じ学校に通っていたので、

学校で会うことはあったのだけれど。


小学校の高学年くらいからだろうか。

タエちゃんはみるみるうちに綺麗になっていった。

中学生に上がる頃には

誰も文句のつけようのない、とびきり可愛い子。

また天真爛漫な性格で

何かタエちゃんの周りだけ

光がキラキラ当たっているみたい。


その後、地元の大学に進んだ私は

タエちゃんの家庭教師をしていた事がある。


高校生になったタエちゃんは

噂になるほどの可愛さで

一週間に5人の人に告白されたとかいう

伝説を持っていた。

それを自分であっけらかんと言っちゃうところも

タエちゃんらしく、

愛されキャラだったのだと思う。


高校生のタエちゃんは

ファッションもオシャレだし、

自分の部屋もとても美しく飾っていた。

わたしとは大違い。





ある時。

タエちゃんが

「恭子ちゃん、見てみて。

タエ、お年玉使ってこれ買おうと思うんよね、

どう思う?」

とインテリア雑誌を見せてくれた。

そこに写っていたのは10万円近くのラグマット。

ギャッベみたいなの。


もう衝撃!

高校生がお年玉で何万もするラグマットを買う、、

既に私は大学生だったけれど

驚いて驚いて。

今でもそのラグマットの柄を覚えているくらい。


私がインテリアというものを初めて強く意識したのは

あの時かも知れない。

何か良いな。

部屋を素敵にするとか良いな。

タエちゃんみたいになりたいな。


大学生の私は

可愛くなった歳下のタエちゃんに、

お年玉で自分の部屋を美しくしようとする

高校生のタエちゃんに、

天真爛漫で誰からも愛される彼女に、

憧れていたのだ、きっと。


タエちゃんはその後

東京の大学に進み、

女子大生を充分に謳歌し、

望み通り出版業界に就職し、

ちょっとした著名人と結婚し、

1人の子供の母親となった。

でもある時、不慮の事故で死んでしまった。

確か30代後半頃。


お葬式は本当に悲しかった。

あの綺麗なタエちゃんは

死んで棺に入っても変わらず綺麗で、

でも生きてなくて、

タエちゃんの子供はまだ4歳くらいで

お母さんが死んじゃった事を

分かっていなさそうで。


いまタエちゃんが生きていたら。

ちゃんとインテリアの相談に乗れるくらいには

成長したんだけど、私。

高校生のタエちゃんのラグマットの相談には

乗れなかったけれど、

今ならきっと良いアドバイスができるんだけどな。


最近よくタエちゃんのことを思い出すのは

きっと娘がもうすぐ東京に行ってしまうから。

東京の大学に進むタエちゃんを

羨ましく地元に残って見ていたから。


今日から娘の引越し荷物を部屋に入れる。

希望に溢れた娘、ピアスも開けて、髪も明るく染め、

ちゃんとお化粧をして、、、

飛行機の隣で寝ている。

このくらいの歳の子の変化は凄い。

あの頃のタエちゃんみたいに

その子の周りだけキラキラ輝いてる。


お部屋綺麗にしようね。

貴女の未来が更に明るく希望に満ちたものになることを願ってね。





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