おはようございます。虚海と申します。今週の仕事も昨日で終わり、やっと2日間のお休みです。どうも天気が怪しいので、いつもであれば月曜日の朝に札幌に帰るのですが、雪の様子を見ながら明日の夜のうちに帰ってしまおうかなと思います。それでも久々にゆっくりできるので、しっかりと体力も精神も回復させたいと思います。それにはやはり家族の力を借りるのが一番なので、明るく賑やかに過ごしたいと思いますね。
さて、土曜日は棋書レビュー。予定では、必至シリーズラストを飾る「寄せの手筋200」だったのですが、先週読み終わった素晴らしい本があるので、そちらを紹介させていただきたいと思います。ツイッターでも何回か書いてしまったので、お分かりの方もいらっしゃるかと思いますが… そもそも、ブログのタイトルを見れば一発か(笑)。
藤森哲也五段が去年書かれた「将棋放浪記から学ぶ 最速!最短! わかりやすい将棋の勝ち方」という本です。最近の私の将棋を激変させてくれた(少し誇張入る(笑))名著だと思っています。
この本の一見の特徴
この本を買ったり立ち読みをしたりする人は、おそらく将棋放浪記とか藤森先生のファンの方が多いと思います。念のために将棋放浪記について説明しますと、藤森先生がほぼ毎日更新しているユーチューブチャンネルで、大体平均20分くらい。解説付きでウォーズを1局指してくれる動画になっています。私は個人的には動画で勉強ってほとんどしないので何回か見た事しかありませんけど、級位者にもわかりやすい解説と軽妙な語り口でとても人気の有るチャンネルですね。
そういう方がこの本をパッと開いてみると、多分イメージと違うんじゃないかなと思います。問題1問につき全体図1ページ+解説1ページのよくある次の一手問題集にしか見えませんし、実際そうですから。全部の問題は将棋放浪記の中で実際に出てきた局面で、当該の動画をすぐ見れるようにQRコードも付いています。全100問で、巻末には将棋放浪記の用語集も付いているので、ファンの方はより楽しめるようになっていますね。
この本の真の特徴
ここまでは全く褒めていませんね(笑)。よくある次の一手問題集ですってしか言ってませんからね。でも、この本の神髄は、形式やファンの方が楽しめるオマケではなく、解説の内容なのです。ハッキリ言うと、答えの中には、ソフト的には、あるいは高段者的にも最善手ではない答えがたくさんあると思います。もしかしたら級位者的にも棋風によってはほかの手を指したくなる(しかも評価値的にはよくなるかもしれない)かもしれません。
でも、この本の問題のチョイスも答えも、藤森先生の「将棋観」を読者に味わってもらうことが主眼になっているのではないかと感じたのですね。攻め一本というとちょっと違いますが、「思い切って踏み込んで攻めをつないで勝つ」という感覚を自然と身に付けることができると本いうのが私の感想です。正直、1周目は「これでいいの?」って答えがたくさんありました。でも、2周目になると、「当然ここでは角を切って攻めをつなげるにきまってるよね♪」みたいに、そんな感覚にきっとなれます。ツイッターのフォロワーさんはご存知かと思いますが、私は極端な攻め将棋なので、この本による意識改造がもっとも効果的なタイプなのかもしれませんね。
「そういうのって動画を見てもいっしょなんじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、動画は1本見るのに20分。でも本なら最も重要な部分を1問1分です。時間的なコストパフォーマンスを考えると、圧倒的ですよね。もちろん動画には動画のいいところがあるのはよくわかります♪
おすすめできる対象
級位者の方はぜひ読んでみてください。きちんと読めばきちんとわかります。それほど難易度は高くありません。ただし、先ほども書きましたけど、答え=最善手 では必ずしもないと思いますので、あんまり正答率は気にしないでいいのかなと思いますね。攻めの意識を高めたい方や攻めをつなげる手を身に付けたい方には特におすすめしたいと思います。
私はこの本を読んで、将棋放浪記を観はじめました(笑)。