1968年(昭和43年)の日本シリーズ(巨×急)の後、巨人はカージナルスと対戦。
星飛雄馬とオズマの対決をテレビで観戦した明子は、飛雄馬が「野球人形」であることに気づき、青春がない弟を可哀そうと思って涙した。

飛雄馬は翌1969年新春から「野球人形」である自分を変えようと試みた。
オーロラ三人娘の橘ルミ、宮崎の看護婦・日高美奈と付き合いだした。
このとき、飛雄馬は明子へのてがみで「練習は人並みにやっている」「やるだけのことはやっている」と報告。
明子は「今までの飛雄馬は人のやらないことまでやって今の地位を築いたのに」と嘆いて、人並みで満足するようになった飛雄馬を心配していた(この場面はアニメでは割愛され、川上監督が直接、飛雄馬に「お前は人並みの練習でよかったのか」と檄を飛ばすした)。

明子は「お父さん(一徹)も同じ心配をするはず」と思っていた。
しかし「人のやらないことまでやっていた飛雄馬」とは、飛雄馬が「野球人形」だった時期の話である。
明子はそれを「野球に縛られて人間らしさを失った」として否定していたはずだ。

オズマが大リーグボール1号を打倒したとき、明子は一徹を恨んで泣いていた。
しかし、飛雄馬がオールスターを辞退し、野球に対してやる気を失っていると、明子は飛雄馬を平手打ちにしてまで叱責し、再起をうながした。
明子は男たちの戦いを嫌がるようでありながら、その男が戦意を失うと、強引に「戦場」に戻そうとする二重人格的な傾向があった。

これは『あしたのジョー』における林紀子と白木葉子のジョーに対する態度を考えると参考になる。
特に白木葉子はジョー対ホセの試合の直前にはジョーに試合をやめるよう忠告しながら、それが受け入れられないと、今度はリングサイドでジョーに最後まで戦うよう声をかけ続けた。

 

2014年06月05日(木)
@mahownokotoba @penewax 日テレの「忠臣蔵」で毛利小平太が家族に止められて討ち入りに行けなかったという解釈があり、真偽は別にして、劇中、小平太を止めた妻は正しかったことになります。映画「武士の献立」でも夫が謀叛に参加しようとしたのを妻が止める場面がありました。
posted at 05:03:23
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@penewax 思うに戦時中の日本の女性は戦争に反対できない以上、逆に「あおる」ことで日本を早目に敗戦に追い込んで終わらせた立役者とも言えます。梶原一騎の作品で星明子や白木葉子が男の戦いを止めたいと思いながら、最終的には逆に発破をかけていたのを思い出しました。
posted at 05:11:08
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@kyojitsurekishi 大河ドラマでは戦国武将の妻たちが戦いを嫌いながら男を戦いに送り出していた。梶原一騎原作のスポ根の女たちもその意味では似ていた。
15:48 - 2014年12月8日

 

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関連語句

野球人形〕〔野球ロボット〕〔星明子と白木葉子

明子 葉子〕(twilog)

 

参照

星飛雄馬が「野球人形」から脱却したのはいつか

 

〔『はだしのゲン』における光子の台詞〕 - teacup.ブログ“AutoPage”

2014/6/6  4:19

 

星明子と白木葉子

 

星飛雄馬が17歳から18歳になった過程