以前、再放送で見た女占い師・霊蝶の話。そのときは副題を「あんたこの無法をどう思う」だと思っていたが、最近出たDVDマガジンで「この世をどう思う」「無法をどう思う」を確認したら「無法」は別の話だった。
最近の再放送のときに本当の副題を確認できた。
 
かつておひろめの半次が瓦版屋で主水の協力していたが、半次が去ったあとは他の瓦版屋は報道を悪用した悪人になっている(もっとも『必殺仕置人』の半次は文化・文政時代に活動し、『暗闇仕留人』の半次は嘉永年間に活動したのでおそらくは1世代違う別人で、『仕業人』は第1話で又右衛門の見ていた占いの本から天保時代と思われる)。
 
半次は仕置人にかかわることで世の中の悪を始末していただろうが、仕置人の活動は非合法である。
一方、この仕業人の的になった瓦版屋はゆすりのようなことをしながら瓦版の活動自体はギリギリ合法だっただろう。
放送には善と悪、合法と違法の2面性がある。シリアの例もあるように報道者は命がけである。
 
霊蝶が又右衛門の来訪で喜ぶときの音楽は『仕留人』のそれであり、『仕留人』最終回「別れにて候」の冒頭シーンや、『仕業人』最終回「あんたこの結果をどう思う」で果し合いを終えた主水が去る場面でも使われた。
 
80年代初めの「奥の手をどう思う」に再放送を見て、1両の4分の1の1分が結構「大金」であることをこれで知った。
 
劇中の瓦版が映ったが元号などは確認できなかった。
 
『暗闇仕留人(くらやみしとめにん)』では仕事料は「仕留料(しとめりょう)」だったと思うが、『仕業人(しわざにん)』の「奥の手をどう思う」で出陣前に又衛門はアジトで仕事料を「仕事料(しごとりょう)」と2回言っており、「仕業料(しわざりょう)」ではなかった。
『必殺仕置屋稼業(ひっさつしおきやかぎょう)』第10話でも市松と主水は仕置を「仕事(しごと)」と呼び、『新必殺仕置人(しんひっさつしおきにん)』第1話でも主水は鉄に「俺は仕事(しごと)はしねえぞ」。
『仕業人(しわざにん)』というタイトルは一般公募によるものらしいが、本来なら『仕置人(しおきにん)』(1973)、『必殺必中仕事屋稼業(~しごとや~)』(1975年)、『仕置屋(しおきや)』(1975年)の次だから『仕業人(しわざにん)』(1976)が『仕事人(しごとにん)』というタイトルでもおかしくなかった。
『仕事人(しごとにん)』は1979年に採用された。当時『必殺仕事人(ひっさつしごとにん)』は最終作として作られ、好評のため必殺終了は撤回され、連続枠の終了は8年後の1987年『剣劇人』であった。主水シリーズのタイトルは『仕事人』が最後だったのはもともと最終作の予定だったからか。
スタッフが1978年の『必殺商売人』まで『仕事人』というタイトルを思いつかなかったのか、または敢えて避けていたのか、これも不思議ではある。
『仕業人』の最終回「あんたこの結果をどう思う」では裏稼業を表す詞(ことば)として「商売人」も出てきた。
 
「奥の手をどう思う」での仕置の場面だが、まず主水が瓦版屋を刺殺。外におびき出した捨三は周りに顔を見られている。奉行所がその気になれば捨三を重要参考人として手配することもできたはずだ。
主水によって背後から刺された瓦版屋は背中を上にして倒れ、捨三が物陰に隠れたあと、階段を下りてきた男がこの瓦版屋を見て「なんでそんなところで」。この男は瓦版屋が酒に酔って寝ているのと勘違いしたのか。主水に刺された瓦版屋の背中の傷がその男には見えたはずだ。次に瓦版屋は仰向けになったが、血も出ていないし服も切れていない。
『必殺!三味線屋・勇次』(1999)のパンフレットである作家が書いていたように、歌舞伎から受け継がれた時代劇の「お約束(刀で斬られた人や刺された人が無傷で流血もない)」が話の設定にも及んでいて、主水に刺された犠牲者がその場で倒れても流血もなく傷もないので周りはなぜその人物が倒れているかわからないというケースは結構ある。
 
そしてこの仕業人・主水の的になった瓦版屋は散切り頭なので剣之介の「指輪の刃物で相手の元結を切って相手の髪の毛で首を絞める技」は通用せず、又右衛門か主水が仕置する以外になかった。
剣之助の標的は月代さかやき)を剃った普通のチョンマゲ姿であり、服屋に入っていた。お歌が服を選ぶ間に標的が試着室に入っており、剣之介がそこで仕置。剣之介がその場を離れるとお歌も一緒にその場を離れたのだろう。これでは「あの男女が怪しい」と思われて当然である。
 
最後は又右衛門で、霊蝶を使っていた男(月代を剃ったマゲ姿)がまたストリップショーのような出し物で金儲けをしようとリハーサルをしているところに又右衛門が忍び込み、その男を針で仕留めた。半透明の幕の向こうで踊っていた女性は幸か不幸か前で又右衛門を見ていなかった模様。
 
最終回では又右衛門が現場に落としたおみくじで足がついて、剣之介とお歌の殉職、仕業人解散となったが、それなら『仕留人』の大吉が握りつぶした胡桃(クルミ)の破片や『横浜異人屋敷』の朝吉が飛ばした紙吹雪も危ないし、『仕切人』でお国が投げた占いの棒数本も回収しなければ足が着くし、『新仕事人』の勇次も当初は標的の首に三味線の糸を巻きつけたまま手元で糸を切っていた。これでは足が着かないほうがおかしい。
 
 この「奥の手」では占いにとって主水とりつは七夕の夜まで夫婦の営みは禁止された。
『仕業人』第1話では雪が降っており、第27話「逆恨をどう思う」では季節が夏だった。
『仕置屋』が天保12年(1841年)の夏~同13年(1842年)正月で『仕業人』が天保14年(1843年)正月~夏とするとこの七夕は1843年の旧暦の七夕であろう。
今の日本の七夕は陽暦の7月7日で本州は梅雨の真っ最中だが、昔は陰暦なので梅雨明け後である。
 
TeaCupより
-------- AUTHOR: kyojitsurekishi TITLE: 「必殺仕業人」第19話「あんたこの奥の手をどう思う」 DATE: 07/10/2021 16:21:00 PRIMARY CATEGORY: 作品、ジャンル別 STATUS: Publish ALLOW COMMENTS: 1 ALLOW PINGS: 1 CONVERT BREAKS: 1 CF50_USERNAME:navy.ap.teacup.com/monogatarekishi/ ----- BODY: 
 
必殺仕業人の「あんたこの奥の手をどう思う」で主水に背後から刺された瓦版屋の男を演じた俳優。どこかで見た顔だと思ったら映画「必殺!」で鎖筒を使う仕事人を演じていた。それと別に恐怖の大仕事、仕事人大集合、必殺!(映画)で同じようなスキンヘッドの悪役が出ていたような気がするが誰だろう。
午後9:50 · 2012年9月12日
└→ 草野大悟👤
└→大前均

「仕事人大集合」では棺桶の錠と中村主水の再会シーンがなかった。敢えて会話を想像すると例えば、主水「念仏の鉄は死んだぜ」、錠「そうか…」となっただろうが、その続きを考えると「暗闇仕留人」で主水が半次・おきんと再会したのはこの「大集合」の前なのか後なのか、前後関係が混乱してくる。
午後0:37 · 2012年10月17日

「仕置人」「新仕置人」は文化文政の話らしいので1804年から1830年まで。「大集合」が「仕事人アヘン戦争へ行く」より前とすると1842年より前。主水が半次・おきんと再会したのは1853年の黒船来航時で1842年のアヘン戦争終結から11年後になる
午後0:48 · 2012年10月17日

11月12日テレ玉「新必殺仕置人」の「助人無用」。「助人」は「すけっと」だろう。「助け人」は「たすけにん」。「助人無用」で虎と死神が鉄に老仕置人の助っ人を依頼したが確か死神が仕置料のことを「仕事料」と言っていた。
午前10:07 · 2012年11月12日

「仕事料」という詞(ことば)は「必殺必中仕事屋稼業」の最終回でおせいが既に使っているし、「必殺仕業人」でも「あんたこの奥の手をどう思う」で又右衛門が使っていた。「新仕置人」で「仕事料」という詞を使っても不思議はないがそれでも少し意外だった。
午前10:09 · 2012年11月12日

仕置人と新仕置人の中村主水は文化文政時代に裏稼業を始めたのに対し、仕留人の主水は嘉永年間に裏稼業を初め、大集合はアヘン戦争の時とすると天保時代に裏稼業を始めた主水の話。パラレルワールドだろう。
午後5:23 · 2017年3月20日

「恐怖の大仕事」「仕事人大集合」等に出演していた、スキンヘッドの役者は大前均(おおまえ きん)だった。
午後11:06 · 2017年11月27日

「仕業人」は本放送当時は見ておらず、仕事人ブームの時の再放送で2回見た。「仕業人」の「奥の手」で千勢先生(演:岸じゅんこ)が歌っていた歌は当時から印象に残っていた。
午後11:14 · 2017年11月27日

仕業人
第19話 「あんた この奥の手をどう思う」
西暦2021年(令和3年)7月14日夕方5時台、BS朝日で再放送。西暦1976年5月21日本放送。女占い師により、せんは七夕まで主水との「夫婦の営み」が禁止された。本作の劇中の季節は冬から夏まで、期間は半年間であろう。
午後7:29 · 2021年7月14日

「仕業人」第19話「奥の手」で岸じゅんこが歌っていた歌は「野菊の丘」だろうか?
午後7:44 · 2021年7月14日


 
TWEET(壱)〕〔TWEET(弐)〕〔TWEET(参)〕〔TWEET(肆)〕〔TWEET(伍)〕
TWEET(陸)〕〔TWEET(柒)〕
 
前後一覧
平成24年/2012年9/11前後(Yahoo!Blog)
/平成24年9月/(AmebaBlog)
令和3年〔2021年7月〕(T-CupBlog)
 
関連語句
ものがたりの歴史III>仕業人 

参照
AmebaBlog>『仕置屋』~『仕業人』の流れと『仕事人
2020-10-03 18:29:36