YouTube角川シネマコレクションにて
『黒い家』
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監督 森田芳光 
脚本 大森寿美男 
出演者 
内野聖陽 大竹しのぶ 西村雅彦 他


予告編を視て面白そうだなと初めて視聴してみたが、怖いというよりシュールでブラックな笑いと感じてしまう僕がどうかしているのだろう。
原作である貴志祐介の小説が改変されているらしいと知ってもまあそうだろうなとしか思わなかったのは、僕が原作を読んでいないから。
後から原作を読んで原作の方が何倍も面白い!と思うタイプの映画だと思われる。

大竹しのぶが演じる主婦のユルフワ熟女な喋り方がなんとも良い味で冒頭の電話のシーンから彼女を気に入ったし、西村雅彦が演じる彼女の夫も喋り方や動きで主人公を自宅に招く場面から気に入った。
だがそれはサイコサスペンスとして怖いというよりは、シュールでブラックな笑いとしての好き。
大学助教授の金石も同じ意味で好み。
内野聖陽が演じる保険会社の社員が水泳が趣味で、
大竹しのぶが演じる主婦がボウリングが趣味という点も、シュールな画を作っている印象。

『13日の金曜日』のベッツィ・パーマーのようにまさかこの人が!な意外性があるならともかく、
明らかに大竹しのぶなのは冒頭からわかっているので、怖いより笑いの方が僕は先に来る。
若い頃に同棲していた女が包丁持って僕に襲いかかってきたことがあるし、器物破損などの破壊行為もやっていたしで、既視感があってね……。
大竹しのぶの怪演が絶賛されているが、リアルに危ない女に免疫がある僕にはさほど恐怖ではない。

足を引きずる松田刑事がなんか見覚えがあるなと思ったら町田康だったり、出前持ちが山崎まさよしだったりも、え?まさか?を確認してニヤリ。
松田刑事の出番の時は彼が誰かばかり気になって話は流し聞きしていたようなもの。

桂憲一が演じる金石助教授や同じ大学で働いている、田中美里が演じる主人公の恋人が語る犯罪心理学の視点からの考察は興味深く聞いたが、それを聞いて僕自身のサイコパス度を測ったり。

ラストシーンも主人公の心理を映像で表現したのだろうが、僕は笑った。

面白いけどサイコサスペンスやホラーとしての面白いとは違う、斜に構えて楽しめる面白さ。
スタンリー・キューブリックの『シャイニング』を視た後で、原作であるスティーブン・キングの小説を読んでからキューブリックの映画を視返した時に近い感じの面白さと言うのが、僕の感想。
監督が清水崇だったら僕が怖いと思う映画になったかもしれないが、なぜ?森田芳光とも思った。
まあ、大竹しのぶ最高!が1番言いたい。