東映特撮YouTube公式チャンネルにて

『侍戦隊シンケンジャー』
全49話視聴終了


『未来戦隊タイムレンジャー』(2000年)
『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年)
に次いで、2000年代にハマった戦隊の
3本の指に入る戦隊がシンケンジャー。


タイムレンジャーでその作風のファンになった
小林靖子がメインライターを務めているのも大きいが、俳優陣の演技が素晴らしい!!
侍戦隊なので刀や槍がメインの殺陣も素晴らしいが、現代に生きる侍という時代錯誤な設定がされているのに日常の芝居を織り交ぜて各侍の個性を描くことで人物像が際立ち、俳優陣も戦隊ヒーローを演じるのは若手だが脇を実力派の大御所が固めるという強力な布陣。
この世とあの世の狭間にある三途の川に生きる、
人ではない外道衆と呼ばれる怪物との戦いが長きに渡り侍の時代から代々続いているという設定から好みな戦隊だが、外道衆側もただの悪役ではなく、元は人間だったが理由あって人の道を踏み外し外道に落ちた者達が強敵として立ちふさがるなど、敵側の人物像や物語も僕好み。

新兵器や新ロボが大量に登場する流れもハードかつシリアスなストーリーの中に個々の成長の成果として上手く取り込み、登場に説得力がある。
唐突に新兵器や新ロボが出てくる戦隊も笑って流してきたが、人物と物語を重視した作風こそが、
僕が最も好みとするところ。
折神や侍ディスクといったメカや武器は戦隊と並行して仮面ライダーシリーズで培われた要素でもあるが、東映特撮の進化の過程が面白い。

さらに特筆すべきはリアルタイムで番組を視聴していた時に度肝を抜かれた、掟破りの信じられないほど斬新な設定が明かされる終盤の展開。
これについてはリアルタイムでは1話から巧妙に張られた伏線によるミスリードにまんまと騙され、薄々オカシイとは思っていたがまさかそんな企みがあったとは!と驚くと同時に、丁重に描かれてきた人物描写で架空の人物への思い入れが
育まれていたのでショックが大きかった。

シンケンジャーは現代に侍として生きる若者達が戦いの中で成長していく物語であり、若者達がぶつかりあいながらも絆を深めていく物語。
ヒーロー物であり青春群像劇であるから、掟破りなあり得ない展開に翻弄される若者達の心情を想って心を痛め、どうせ最後は正義が勝つんでしょ?と思っても見せ方が執拗にエグい。
最後の方は完全に高学年以上の視聴者向けに作られているなと、制作側が描きたいのはヒーローではなく人間というのがよくわかる終わり方。
今のところラストシーンが1番好きな戦隊かなとは、全話視聴2周目の今回はネタを全部わかっているうえで復習して小林靖子脚本に感服。
ちゃんとネタのフリも回収して終わっているし、
後味の悪い終わり方にしない爽快な描き方。

とここまでベタ褒めしてから思い出したが、
放映当時はキャラでハマれていた戦隊だった。
2周目の今回はネタもオチもわかったうえで楽しめたが、放映当時はSFではなくファンタジーの色が濃い世界観にハマれてはいなかった。
回想シーンに登場する初代シンケンジャーが
江戸の街をカラフルなバトルスーツで駆け抜ける絵とかマジで笑ったしね。

更に当時の恋人がシンケンジャー激ハマりで、
シンケンレッド/志葉丈瑠を演じる松坂桃李に惚れ込んでいて、番組終了後に彼が出発したエッセイ本のサイン会にまで出かけるほど。
正直これには引いていた。
そんな…15歳近く下の若い男に…と。

そんな苦々しい思い出もあるが、2000年代最後を飾る戦隊であり、かろうじて0年代のベスト3に入った本作の素晴らしさを復習しましたよと、
この記事は締めよう。