バイストンウェルの物語りを覚えている者は幸せである。 心豊かであろうから・・・ 私達はその記憶をしるされてこの地上に生まれてきたにもかかわらず思い出す事の出来ないサガを持たされたから・・・


サンライズYouTubeチャンネルにて

聖戦士ダンバイン総集編OVA全3巻

期間限定配信中







83年~84年にかけてTVシリーズ全49話をリアルタイムで視聴していた頃は、オーラバトラーに興味がいっていた。プラモデル(後にHGも)作った。
ただしリアルタイムで観たアニメから受けた衝撃の大きさという点では、Zガンダムに比肩する。

*(余談だが同じ富野由悠季監督作品では、低学年の時に再放送で視聴した、無敵超人ザンボット3も大きな衝撃を受けたトラウマアニメ。)

なんだ…この…恐ろしいアニメは?!
土曜日の17時30分からTVで放映されている!
プラモデルの宣伝アニメを視ていたはずが!!
前作『戦闘メカザブングル』の明るさから一転、
異世界ファンタジーとガンダム系ロボットアニメを合わせた作風や昆虫がモチーフのオーラバトラーに惹かれながらも、作中の複雑な人間ドラマを理解するには僕は子供過ぎた。

88年2月~8月にかけて3本発売された総集編OVAを
レンタルビデオ店から借りて視聴した時、僕はようやくダンバインのストーリーを理解できた。

*(放映当時コミックボンボンで連載されていたコミカライズ版を読んでいたが、ページ数と対象年齢に合わせた描き方なために印象がまるで違う。)

富野由悠季監督がお好きではないとインタビューで話していた主人公ショウ·ザマに共感する年齢に、
ビデオを視聴した頃にはなっていた。
そしてあらためて、なんて狂ったアニメ(褒め言葉である)なんだ!!とより強い衝撃が刻まれた。

*(伝説巨神イデオン 全39話ビデオ化も同年であり、放映当時は幼すぎて理解できなかった内容がようやく理解できたのと同じ時期。思春期に視聴できて良かった作品達と思っている。)

今回約35年ぶりに3本まとめて視聴して最初に思ったのは、総集編なのでこれだけ視ても初見さんにはわからない部分もあるだろうなということと、
それでもエルガイムの総集編よりは面白かったなと思ってしまう自分の好み。
そして3本イッキに視聴してひと息ついて冷静に考えて思うのは、ショウのダメさ加減が痛い!! 

ショウ・ザマ

実家が吉祥寺の金持ちの坊っちゃんがアメリカに渡ってモトクロスのレッサーをやっているって冒頭から、そんなボンボンがオーラロードに引き寄せられるだと?と他の地上人に比べて僻み混じりに思ってしまったし、着いてそうそうバーンに空手で挑むもののアッサリと返り討ちというしまらなさ。
チャムやリムルやマーベルの説得にもなかなか煮えきらず(省略された本編ではもっと酷い)、散々周りに迷惑をかけた後でドレイク側から寝返る流れは短くまとまっているものの、寝返った後でもまだ吹っ切れずにウジウジしていた省略されている場面を思い出して、1巻からコイツは…と軽くイラッ。
状況に流されて気分で生きているような若い男というか、芯を感じないんだよなぁ……。
ガラリアとの戦闘中に不本意で地上に戻ってしまった時、自らの保身に必死な母親から発砲されるのは酷いなと思うが(Zのカミーユの父親かよw)、
駆け足でラストまで視てもその時々で良いこと言ってる風に見えて、どこまで本気なんだ?と勘繰りたくなってしまうような男。それでいて不意に見せる優しさが罪な男いうか、妙にリアルな若者像。
僕はショウより一回り近く下の世代だが、僕にも覚えのある優柔不断で気分屋な面が嫌だわ。

*(ニーも初期の省略されている部分ではリムルのことばかりで大丈夫か?コイツ?と思うし)

自らの最期を覚悟してショウを戦場へと追い立てた後の、マーベルの最期のセリフもグサッときた。

反対にドレイクを始め敵側の人間は魅力的!!
さすがは!富野由悠季!!
人間の描き方をわかってらっしゃる!!
と盛大な拍手を送りたくなる人物描写!!

男では
ドレイク・ルフト

バーン・バニングス

トッド・ギネス

女では
ルーザ·ルフト

ミュージィ・ポー

ガラリア·ニャムヒー

二次元なのに生々しさを感じるのは声優さんの力もあるだろうが、作画も良いところを繋いでる。

*(戦艦一隻と数機のオーラバトラーで米軍に取り入って自軍を立て直そうとするドレイクの命ある限り諦めない不屈の精神に敬服。娘溺愛のパパの顔は省かれているが、部下を統率する力量は明らかに他より上だし、セリフの一言一言に重みがある。)

*(トッドはZのジェリド級に好きだし、バーンも落ちぶれてから黒騎士として再起する様が良い。
ドレイクに至っては自分がオッサンになって、彼の発する言葉がようやく理解できた。)

*(自らの命を狙いに来たミュージィへの手向けに、
ルーザにおまえほどの可愛げがあればと妻の不貞に傷ついた男の心を覗かせるドレイクにウルッ。)

*(母ルーザの不貞を許せない娘リムルに対し、
たぶらかされた男共が悪いとなぜ思えない!と言い返すルーザが、今視ると最高だ!)

美女、美少女が多いアニメでもあるが、
マーベルを含めた未成年組はマーベルは大人びたお姉さんといった感じで、チャムは可愛い妖精といった感じだが、ドレイクの娘であるリムルの純真さや、エレ、シーラの清純な少女でありながら女王として気高く気丈に振る舞う背伸びしたいじらしさが痛々しくも切ない。

マーベル・フローズン

チャム・ファウ

リムル・ルフト

エレ・ハンム

シーラ・ラパーナ

もう彼女達に恋する年齢ではない僕だが、
ドレイクが娘リムルを溺愛しているのと、
視聴者ばかりか制作スタッフも狂わせた!
シーラ王女の魅力には激しく納得。

富野アニメのTVシリーズでガンダム以外だと、
ダンバインは間違いなく最愛のアニメだ。

富野由悠季本人が失敗作と発言していてもw