仮面ライダー(1971年代)~
~仮面ライダーストロンガー(1975年)
までの5作を第1期シリーズとして、
仮面ライダーX(1974年)は世界観と物語が良い線行っていながらも、テコ入れで少しずつ崩されていった惜しい作品として愛して止まない。 


新しいヒーローを創造しようとする意気込みが強く感じられた、旧本郷ライダー。
主演の宮内洋が変身前のヒーロー像を完成させた、仮面ライダーV3は別格としての話。
Xはより年齢層の高い視聴者を意識したドラマ作りが試みられ、前2作とは異なる世界観が良かったのだが、試写の段階でストーリーが大人向けでわかりづらいなどと局側から意見が出て、
放映開始前から途中で路線変更が決まっていたと知った時は今さらながらガッカリ。
個人的には放映開始当初の路線で全話制作して欲しかったほど、Xは初期が好きな作品。
今回は東映公式YouTubeで無料配信が始まったのを良い機会に、最初期である8話までを視聴し返した感想を書き残しておきたい。

【仮面ライダーXとは?】

世界の対立する大国同士が密かに手を握り、
改造人間を使って日本全滅を狙う、
恐怖の秘密組織『GOO』。
海洋工学と人間工学の権威である神啓太郎は、
GOOへの協力を拒んで瀕死の重傷を負うが、
GODにより目前で殺害された息子の敬介を自らの命も顧みずに改造手術を施し、
深海作業用改造人間カイゾーグとして蘇生させることに成功。
生まれ変わった敬介は仮面ライダーXと名乗り、
単身GODの悪に挑む。

仮面ライダーX


Xライダーに変身する神敬介


右手にレッドアイザー
左手にパーフェクター


セタップ

愛車クルーザー

普段はベルトに装着されており用途に応じて形を変わる武器ライドル、海上を走り海底に潜ることもできるクルーザー(バイク)、変身ポーズだけではなくレッドアイザー、パーフェクターと名付けられたアイテムを顔面に装着するなど新機軸が盛り込まれ、GOD戦闘員が秘密工作員のような見た目であったり、GOD総司令から怪人への連絡の取り方が米ドラマ『スパイ大作戦』のようだったりと、前2作とは異なる設定が魅力。

初期はギリシャ神話をモチーフにした
神話怪人が魅力
画像は第1話よりネプチューン


【水城姉妹編(仮面ライダーX·1話~8話)】

今回取り上げるのは僕の大好きな初期編。
Xライダー/神敬介の恋人で父/啓太郎の助手でもあった水城涼子は神父子を裏切って2人を危機に陥れ、GODの手先として敬介の前に現れる。
恋人の裏切りが信じれない敬介は自らの使命を忘れて涼子を追うが、そこへ涼子に瓜二つの女が現れて霧子と名乗り敬介に使命を説く。
助けた男の子に化け物呼ばわりされた敬介はすっかり意気消沈し、肉体を捨てて人格のみ海底基地のコンピューターに移植した父に泣きつくが、
父は息子を突き放して海底基地と共に自爆。
仮面ライダーXとして決意を新たにGODと戦う彼は、5話で立花藤兵衛と出会う。
藤兵衛との出会いにおいても喫茶店内で小さな声でつぶやいた独り言を通りかかった敬介が耳にしたことや、まだ力の加減ができない敬介が軽く肩を叩いたつもりが力一杯叩いてしまったことを不審がられるが、変身して仮面ライダーを名乗って戦う姿を見られて協力関係が生まれる。
双子と明かされた水城姉妹がGODに殺害されたことで第1章は終わるが、ここまでは敬介のダメ男ぶりが目立つドラマが秀逸。
改造人間として蘇生してもバイク呼ばわりされて父に泣きつき!
元恋人の姿を追って使命を忘れ!
元恋人も双子の妹も彼を庇って死亡し!
ようやく仮面ライダーとしての自覚を確立させるといった展開は、確かに子供には難解だ!
難解だが連続ドラマ形式で人間を描く手法は、
2000年の『仮面ライダークウガ』で結実することを思えば早過ぎたのだろう。
補足すると誕生~登場を描いた1話と2話。
水城姉妹の謎に迫る7話と8話の4本は、
同じ石ノ森章太郎原作の東映制作の特撮ドラマ、『人造人間キカイダー(72年)』のメインライターとして知られる長坂秀佳が脚本を執筆。
子供向けとは思えない人間ドラマの素晴らしさは、彼によるところが大きい。

立花藤兵衛の経営する喫茶店COLでの
運命の出会い


敬介を裏切った恋人の水城涼子
その真相は8話で明かされる


敬介に協力する水城霧子

番組終了後の1975年。
神敬介を演じた速水亮さんと、
恋人役の美山尚子さんが御結婚。

9話からテコ入れの路線変更で大幹部が登場するのだが、8話までのメロドラマ路線が大好きだ!!


2023年12月3日の旧ブログより
転載しました