フランキストやサン=サーンスで、常に問題になるのが、フランス的な音色が必要かどうか?です。
なぜなら、彼らのようなフランス近代黎明期には、19世紀ロマン派が基礎にあるので、ドイツ=オーストリア系の演奏家でも、けっこう違和感がないからです。 特にフランクは、リストから影響を受けているので、取り上げる題材まで、リストやワーグナーと似ています。 そこで、有名な交響詩「呪われた狩人」で、2種類聴きくらべてみようというわけです。
まずは、クリュイタンス指揮ベルギー国立管弦楽団。 ブリュッセルにあるこのオーケストラは、どちらかというと、オランダに近いため、音作りは、オランダ的、もっと言うと、ドイツ系に近いです。 クリュイタンスも、オケの伝統を尊重するタイプなので、フランスよりは、重心が低く渋い響きです。 あえて言うなら、ドイツか日本の中堅オーケストラと、言うところでしょうか? フランス近代なのに、これでも、違和感がない。 おもしろいですね~。
今度は、プラッソン指揮トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団。 こちらは、フランスの伝統を受け継ぐことを公言している指揮者と、フランス中央部にあるオケなので、100%フランス的です。 すべてのパートの音が、明るく伸びやかで、重量感はありません。 そのため、トゥッテイでも、ベルギー国立管弦楽団とは、まったく違う音が聴こえます。 そう、こちらが、フランスのセンスなのです。 初演された時の響きは、間違いなく、これに近いでしょう。 さて、あなたは、どちらがお好き?