バレエ音楽「眠りの森の美女」組曲
「眠れる森の美女」はシャルル・ペローによる童話を題材とし、チャイコフスキーが作曲したバレエ音楽です。
物語のあらすじ
[プロローグ]
フロレスタン国王夫婦の間にオーロラ姫という
かわいらしい姫君が誕生した。
お城では盛大な祝宴が行われ、祝福を授けようと、6人の妖精がやってきた。
最後にリラの精が祝福を授けようとしたとき、悪の精カラボスが遅れて登場すると、自分が祝宴に招かれなかったことに怒り狂い、
「オーロラ姫は16歳の誕生日に、糸紡ぎの針に刺されて死ぬだろう」と呪いをかけてしまう。
リラの精は「カラボスの呪いを消し去ることはできないが、弱めることはできる。姫は死ぬのではなく眠りにつき、100年後に王子の口づけによって目覚めるだろう」と予言する。
[第1幕]
オーロラ姫の16歳の誕生日を祝う宴には、求婚者である4人の王子も招待されていた。
王子たちと踊り終えると見知らぬ老婆がオーロラ姫に近づき、花束を手渡した。
花束に隠された針がオーロラ姫の指に刺さり、とたんに倒れ込んでしまう。
老婆の正体は悪の精カラボスだったのだ。
カラボスは正体を現すと、勝ち誇ったように笑いながら姿を消す。
そこへリラの精が現れ、約束通り死の呪いを眠りに変えた。
そして城全体が生い茂ったいばらの生け垣につつまれ、100年の眠りについたのだった。
[第2幕]
オーロラ姫とお城全体が眠りについてから100年の歳月が過ぎたころ、
近くの森にデジレ王子一行が狩りにやってきた。
一行から離れ、一人になったデジレ王子のもとへリラの精が現れ、オーロラ姫の幻影を見せると、デジレ王子はたちまち恋におちてしまう。
デジレ王子はリラの精に導かれながら、いばらの生け垣を通り抜け、眠っているオーロラ姫のもとにたどり着く。
王子が姫に口づけをすると、呪いが解け、オーロラ姫は100年の眠りからふたたび目を覚ました。
[第3幕]
オーロラ姫とデジレ王子が結婚することになり、盛大な結婚式が催されている。
金銀の精、宝石の精の妖精たちや、長靴を履いた猫と白い猫、赤ずきんと狼など
おとぎ話の登場人物たちが個性的な踊りを披露する。
人々が祝福する中、オーロラ姫とデジレ王子がグラン・パ・ド・ドゥを踊り、最後は妖精たちを讃えるアポテオーズの中、物語は幕を閉じる。
今回はこの眠れる森の美女から9曲を京都吹奏楽団オリジナルの組曲で演奏をします。
・序奏〜リラの精(プロローグ)
怒れる悪の妖精カラボスのテーマと対照的な穏やかなリラの精のテーマが演奏されます。
リラの精のテーマが盛り上がり行進曲へ続いていきます。
・行進曲(プロローグ)
オーロラ姫の誕生を祝う祝宴に招待された貴族たちが入場します。
王と王妃も登場し、オーロラ姫の入ったゆりかごも運びこまれます。
・バラのアダージョ(第1幕)
求婚者の4人の王子たちとオーロラ姫が優雅に踊るシーンです。
オーロラ姫の最大の見せ場のひとつで、
王子たちからバラを受け取るシーンがあるため、「バラのアダージョ」と呼ばれています。
・カナリア(プロローグ)
オーロラ姫に祝福を授けるためにやってきた6人の妖精たち。夾竹桃の精(美の精)、三色ひるがおの精(優雅の精)、パンくずの精(食物の精)、歌うカナリアの精(呑気の精)、激しさの精(健康の精)、リラの精(知恵の精)その中の一人がカナリアの精です。
カナリアが歌うような細やかなピッコロとフルートの動きが見所です。
・ワルツ(第1幕)
オーロラ姫の誕生日に庭園で若者たちが手に花を持って踊る優雅なワルツです。
ディズニー映画「眠れる森の美女」の「いつか夢で(Onece upon a dream)」でも使用されているので、聞いたことがある方も多いと思います。
・長靴をはいた猫(第3幕)
個性的な踊りという意味のパ・ド・カラクテール
猫の手脚を模した振り付けがとてもコミカルです。メロディも猫の鳴き声を描写しされています。
第3幕では長靴をはいた猫の他にも
赤頭巾と狼、シンデレラ姫とフォーチュン王子、親指小僧と人食い鬼、青い鳥とフロリーネ姫、白い猫が登場します。
シャルル・ペローの童話のキャラクターたちが登場するのもバレエならではの遊び心です。
・銀の精(第3幕)
結婚式の御祝いにかけつけた金、銀、サファイア、ダイヤモンド4人の宝石の精。
その中の銀の精の踊りです。
キラキラした音が印象的な軽快なポルカです。
・パノラマ(第2幕)
王子が真珠貝の船にのってオーロラ姫の城へ向かうシーンです。
シンプルな作りながら、100年の時空を超えて城へ向かうような幻想的な情景が思い浮かびます。
・終曲〜アポテオーズ(第3幕)
豪快に弾むリズムを持ったマズルカに乗って、これまでに出てきた登場人物がカーテン・コールに応えるように次々とステージ上に登場します。
その音楽の途中、ファンファーレが鳴り響き荘厳な音楽に変わります。
ここからアポテオーズ(大団円)になります。アポテオーズは「アンリ4世賛歌」というフランスの旧国歌が引用されています。
物語がアンリ4世の時代から100年後のルイ14世の時代に変わったことを表しているそうです。
妖精たちへの賞賛とオーロラ姫とデジレ王子の結婚を祝福してバレエ全体の幕となります。