短編小説「京のおんな」静御前物語<1> | 京こね☆ニュース

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またまた、台風がきてますねぐるぐる

 

 

さて、毎週土曜日に、短編小説を書いてきましたが、今回の

 

静御前で一旦終了となります。

 

今回は、タイムスリップものということで、完全フィクションです。

 

10話までです。(つまり、10週続きます)

 

前回までのお話は↓から。
 
 

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静御前物語<1>

 

 私は一人の男性から目が離せないでいた。 この感情は一体・・・。

 

 私の人生は、ほんの数時間で180度変わった。 今、自分がここにいる理由も、目の前にいる男性への感情も何もかも分からない。 頭が真っ白になったと思えば、目の前も真っ白になった。 私はその男性に抱きかかえられるようにして、気を失ったのであった。

 

***

 

 「雪葉(ゆきは)、あんた今年の時代祭の静御前(しずかごぜん)に選ばれたんやって!?」

 

 「姉さん、そうなんどす。 うちの念願が叶ったわぁ」

 

 京都の三大祭の一つ、時代祭は約2000名の行列から成る。 その中でも、江戸時代婦人列、中世婦人列、平安時代婦人列は京都の5花街が輪番で受け持っている。 今年は、私が所属している花街から出すことになっており、私が静御前に選ばれたと連絡があったのだ。

 

 京都に来て、もう4年が経とうとしている。 私が舞妓さんを初めてみたのは、中学校の修学旅行だった。 その華やかな憧れがどんどん強まり、中学校の卒業と同時に、舞妓さんになりたいと考えるようになった。 もちろん、両親は反対。 まだ15歳の子供を心配するのは当たり前のことだ。 しかし、私はその反対を押し切って京都に来た。 でも、華やかな憧れはすぐに崩れ去った。 京言葉に日舞に作法に着付け・・・。 何一つお習い事をやってこなかった私にとって、覚えることは山ほどあった。 逃げ出したい時もあった。 学校帰りにファーストフード店で恋バナでも、おしゃべりをしているであろう同級生とは、全く違う生活となったのだから。 でも、反対を押し切って出て来た手前、歯を食いしばって頑張った。 そして、あっという間に4年が経ち、来年はいよいよ舞妓から晴れて芸妓になる襟替えが決まった。

 

 「静御前はあんたが一番なりたがっていた役やもんなぁ。 良かったなぁ。 静(しずか)」

 

 そう。 私が静御前になりたかった理由。 それは私の名前だった。

 

雪葉というのは舞妓の名前だけど、本名は静というから。 小さい頃から、同じ名前の静御前に、勝手に親近感を持っていた。

 

憧れの静御前。 その衣装合わせは、京都独特の蒸し暑い日。 突然の雷が光ったかと思ったら・・・。 なぜか私は外にいた。

 

つづく

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