短編小説「京のおんな」ガラシャ物語<1> | 京こね☆ニュース

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秋分の日。

 

お昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。

 

これからは、どんどん日暮れが早くなっていきますね。

 

さて、新たな短編小説がどうにか間に合いました(笑)。

 

つい先日、明智光秀の書状が新たに見つかったという話題が

 

ありましたので、それにちなんで娘のガラシャのお話。

 

「ガラシャ物語」にしていますが、中身はガラシャになるまでの

 

エピソードとなっています。

 

5話までです。(つまり、5週続きます)

 

前回までのお話は↓から。
 
 

※フィクションの部分もあります。あと、現代の言葉を使っています。

 ご了承下さい。

 

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ガラシャ物語<1>

 

 嫉妬か、もしくは束縛か・・・

 

 細川忠興(ほそかわただおき)は頭を悩ませていた。

 

 幼い頃から織田信長(おだのぶなが)にかわいがられ、その信長に「今後もますます励んでほしい」と書状をもらうほどに戦上手であった忠興だが、こと愛する妻に関してはどうすればいいのか思い悩むことが多かった。

 

 忠興の妻の名は、珠(たま)という。 あの明智光秀(あけちみつひで)の娘にあたる。

 

 忠興と珠の結婚は、お互い十六歳という若さ。 この縁談は、明智と細川のつながりを深めさせようとする信長の政略であったが、戦上手な夫と、絶世の美女である妻。 二人はお似合いのカップルであり、当人同士もまた、幸せをかみしめていた。

 

 結婚後しばらくして長女・長男が誕生。 その頃、細川家は丹後十二万石を与えられ、これまでの住まいであった山城の勝竜寺城から、宮津へと移っていた。

 

 「珠、こちらの生活はどうじゃ? もう慣れたか?」

 

 忠興の言葉に、珠はにこやかにこう答えた。

 

 「海というのは、いいものです。 その色、その音、何をとっても宮津はすばらしいところ。 本当にこちらへ来ることができて、珠は幸せ者です」

 

 子供を二人産んでもなお、美貌に磨きがかかる妻と、その周りでキャッキャ声をあげて遊んでいる二人の幼き子。

 

 忠興は、その様子をみながら、妻と子たちを守るのは自分なのだと、心に言い聞かせたのであった。

 

 

 そんな平和が崩されたのは、そろそろ長雨に入ろうとしている時期だった。

 

 「一大事にございまする!!」

 

 京からの飛脚は、その一大事ゆえか、土足のまま広間に駆け上がり、知らせの文を差し出した。

 

 三日前に、珠の父である光秀が、主君・信長を本能寺で討ったという知らせであった・・・・。

つづく

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