みなさんこんにちは。前回からの続きです。
来月16日の「北陸新幹線 敦賀〜金沢間開業」と入れ替わり、長年親しまれた在来線特急が姿を消す、敦賀から先の「北陸本線」。

全国的にも稀少な「特急街道」を最後に味わいたいと、大阪発「特急サンダーバード」に乗り、昨年11月に石川・金沢周辺をさまざま日帰り乗り鉄した際の道中記をお送りしています。



早朝6時30分に大阪始発の「特急サンダーバード1号」に乗り込み、一路金沢へと向かう車中です。

びわ湖に別れを告げ、滋賀・福井県境の険しい「深坂峠(ふかさかとうげ)」に差し掛かりました。関西と北陸との境界でもある難所です。



車窓は緑一面の山の中。そういったことからでしょうか、こまめなアップダウンとカーブが連続することがわかる車窓が続きます。

右手には上り線(近江塩津・長浜・米原・湖西線方面)。ところどころでこちら下り線と高低差をつけながら、つかず離れずです。


そんな中、再びのトンネルに進入。


2〜3分走っている最中に「北陸ロマン」が流れ、敦賀到着のアナウンス。ようやく北陸に来たなと感じますが、この険しい峠に差し掛かる度に、関西を離れるのだなと感じるところ。旅情のひとつです。




くだんのトンネルを抜けました。

いや、すっかり快晴。これは気持ち良いなと感じるのですが、さっきまで右手に見えていた、上り線の姿がどれだけ探してもありません。


敦賀市街地を目前にした、深坂峠最後の山道。トンネルを抜けたのは、①あたり。



しかし、どれだけ目を凝らしても上り線が見当たりません。単線区間を走っているよう。


実はこの深坂峠を越える区間では、くだんの上り線は「ループ線」と呼ばれる配線を採用しているのでした。



高低差のある峠を越すに当たり、ぐるぐると山のまわりを周回しながら高低差を稼ぐという、現在、我が国の鉄道では大変稀少な設備です。


敦賀を出た上り列車は、いま乗車している下り線(敦賀・福井・金沢方面)をまたぎ、鳩原(はつはら)という山裾をぐる〜っとまわりながら、経由して来た下り線を再び越えます。




動画をこま送りしていましたら、山中で上り線が跨いでいました。②地点。単線の高架です。


架線柱が建っていますので、ここに線路が敷かれていることがわかります。



地図にはないですが、冒頭のトンネルに入る前右手に確かにあった上り線は、トンネル内で下り線の真下をくぐり、反対の左側へと移りループ線に至っていたのでした。


目を凝らしても、見当たらぬはずです(汗)



そのまま、列車は下り線を進みます。




峠を抜けるところで、ようやく右手に上り線が戻って来ました。良かった、良かった。



地図では、③地点。深い山々は、ちょうどここいらで終わりになるというところ。


山地の多い日本に鉄道を敷くに当たっては、その黎明期からさまざまな工夫がなされて来た訳ですが、これもそれを克服するための方法。



加えて興味深いのが、山岳路線然としたこの特殊なループ線のすぐ間近まで市街地が迫っている、ということでしょうか。
逆にいうと、これら県境の山々がよほど急峻なものだった、ということになるのでしょう。

いやしかし、車窓から見えるものというものを掘り下げてみると、実におもしろいものです。いささか、病みつきになります(笑)


さて、難所の深坂峠とループ線を無事に通過した「サンダーバード1号」。

まわりはすっかり開けて来て、機関区が右手に見えて来ます。ラッセル機関車ですね。




そして、来月に開業する「北陸新幹線」の重厚な高架。敦賀開業後は、この高架直下に「サンダーバード」や「しらさぎ」といった、在来線特急が発着することになっています。

上下移動のみで、在来線特急と新幹線との乗り換えを可能にするためです。


7時59分、北陸の玄関口・敦賀に到着。

大阪からは、1時間半の旅路でした。


次回に続きます。

今日はこんなところです。